新たな研究で、ウォーキングなどの運動をすることで、脳内における糖の代謝を促すインスリンの値が改善し、認知機能も向上することが判明しました。
この研究は、ドイツ糖尿病研究センターによって発表されたものです。
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インスリンには、血糖を下げる働きがあります。運動不足などが原因で、筋肉や臓器、脂肪などでインスリンが効きにくい状態が続くと、やがて糖尿病になるのです。このインスリンが効きにくい状態のことを「インスリン抵抗性」と呼びます。
脳のインスリン抵抗性を放置していると、認知症の原因物質が脳内に溜まり、認知機能が衰え、やがてアルツハイマー型認知症の原因になるとも考えられています。
では、脳のインスリン抵抗性を改善すると、認知機能にどう影響があるのでしょうか?
それを検証したのが今回の研究です。
研究グループは、21~59歳の肥満傾向にある男女21人を対象に、持久力を鍛えるトレーニングに8週間取り組んでもらうという試験を実施。肥満や運動不足だとインスリンが効きにくくなることがわかっているため、肥満傾向がある人が研究対象となったのです。
今回の研究では、トレーニングの前後にはMRIと呼ばれる装置を使って、脳のインスリン抵抗性を調べました。
すると、運動することで、脳内のインスリンの働きが標準体重の人と同じくらいまで改善されたことが明らかになったのです。また、脳内のインスリンの働きが良くなったことで、代謝も改善され、内臓脂肪も減少しました。
テュービンゲン大学糖尿病・代謝疾患研究所のステファニー・クルマン氏は今回の研究について次のように述べています。「今回の研究で、わずか8週間の運動でもそれに取り組むことで、肥満で悪化した脳内のインスリンの働きが回復することが示されました」
今後、研究グループは、運動によって脳内のインスリンのはたらきが改善することで認知機能の向上につながるかどうかについて、さらなる研究を進めたいとしています。
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