「親の介護、すぐにでも投げ出したい」などと、在宅介護に限界を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では親の介護に心身ともに疲れを感じている方に向けて、介護負担を軽減するための情報を紹介します。
公的な介護サービスで割安に利用できるものもあります。それらのサービスを有効に使って、いまの状況を改善するための参考にしてください。
親が高齢になると身体機能が弱ってきたり、認知症を発症するなど、介護が必要になります。
急に介護が必要になった場合、子どもがすぐに介護を引き受けるのは困難です。しかし、親の介護は子どもの義務なのでしょうか。放棄したらどうなるのか解説します。
介護放棄とは、介護を必要としている人のケアを放棄していることです。
具体的な例としては、食事をあたえない、汚れたおむつを交換しない、長期間入浴させない、医療機関を受診させない、存在を無視してコミュニケーションをとらないなどです。
虐待の定義には、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待があり、介護放棄はネグレクトに該当します。介護しなければ生きていけない状態だと知りながら介護を放棄した場合は、罪に問われる可能性があります。
家族には、自分の資産や労働だけでは生活を送れない近親者を養ったり、経済的に援助する「扶養義務」があります。
上の図は扶養義務者の範囲を表していて、直系血族および兄弟姉妹と配偶者が該当します。ちなみに子どもの配偶者には扶養義務がありません。
親の扶養義務は子ども全員に等しくあり、親との同居の有無や生まれ順などは関係ありません。
扶養義務は、身のまわりの介護だけではなく、生活費や医療費などの援助も含まれます。そのため、仕事が忙しく介護ができない場合は、金銭的な援助をすることで義務を果たすこともできます。
介護を1人で担うのは困難。だからこそ、さまざまな協力を得るように心がけたいものです。
以下、介護放棄を防ぐための方法について詳しく解説していきます。
介護に悩んだときはひとりで抱え込まず、すぐに介護の窓口で相談するのがおすすめ。介護の知識を豊富に備えたスタッフが有益な情報を教えてくれたり、相談に乗ってくれます。
以下、介護のおもな窓口を紹介します。
地域包括支援センターは、介護を必要とする人の日常的な生活支援を提供する施設。介護や医療、福祉などの専門的な知識を持ったスタッフが在籍しており、相談や情報提供、各種手続きなどをおこないます。
運営主体は市区町村で、地域利用者にとって身近な施設となっており、地域福祉の拠点としての役割も果たしています。全国で約5,000ヵ所に設置されています。
市区町村の役所では、介護を必要とする人に対し、介護保険制度や福祉サービスなどについて相談・情報提供をおこなっています。
利用方法や手続き、費用などについても説明してくれます。電話での問い合わせの際、担当部署がわからなくても、役所の代表番号に電話して要件を伝えれば、担当部署へつないでくれます。また、各地域の社会福祉協議会でも相談ができます。
医療機関でも介護の相談に対応している場合があります。病気やケガで入院や通院をしているのであれば、医療機関に相談して介護のサポートを受けましょう。
おもに在宅介護に関するアドバイスや介護技術の指導、介護サービスの提供先の紹介をしてもらえます。医療機関での相談は、疾患や障害に合った適切なアドバイスを受けられます。
居住する市区町村から要支援・要介護状態の認定を受けると介護サービスを受けられるようになります。
自宅に介護スタッフが来てお世話をしてくれたり、施設に通って介護してもらうこともできます。
次の項目では介護サービスについてくわしく説明します。
自宅に住みながら受けられる介護サービスはおもに「デイサービス」と「訪問サービス」です。
デイサービスは、要介護者が介護施設で身体機能の維持・向上のための機能訓練をしたり、ほかの利用者と交流する場を提供します。いつも自宅で介護している家族はその間つかのまの自由時間を過ごすことができます。
訪問サービスは、訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。訪問介護は、職員が利用者の自宅に訪問して、入浴、排せつなどの介助や、調理、洗濯、掃除などの家事をおこないます。
介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴が異なります。本人の身体の状況や希望に沿って、適切な施設への入居を検討したいものです。
各種の詳しい説明はリンクから進んでご覧ください。
親の介護費用は親の資金でまかなうのが基本になるため、介護が始まる前に親の資産状況を把握しておくことが大事です。
家族にお金の話はしづらいかもしれませんが、資金が足りなければ子どもが資金援助をしなければならなくなるため、親の将来の介護に備えるためと理解を求めましょう。
資産状況を知るためには、次のような項目について教えてもらうと良いでしょう。
親の介護費用が無い場合は次のような公的な軽減制度を利用することができます。
親も自分もお金がないという場合は、生活保護の受給も検討しましょう。生活保護を受給している場合は介護サービス費用の自己負担分は介護扶助が支給されるので、自己負担なしで介護サービスを利用できます。
介護にかかる手間と時間や費用を具体的に洗い出して、それを協力しあえる家族や親族で分担することが大事です。
まず、メインで介護をしたり、かかりつけ医師やケアマネジャーとやり取りをする人を決めます。中心となる介護者の負担が大きくなりすぎないように、ほかの家族は資金援助をしたり、週のうち何回か手伝いにきたり、定期的に親に電話をするなど、少しでもできることを考えましょう。
また、家族の勤め先の会社の介護休暇や介護休業、会社独自の介護サポートを使えないかについても調べて積極的に介護に参加しましょう。
介護放棄が起こってしまう理由とは何でしょうか。介護放棄を防ぐためにはまず理由を知ることが重要です。おもな3つの理由について解説します。
要介護者が歩いたり、軽い手助けで日常生活を過ごせるときは、それほど大きな負担はかかりません。しかし、時がたつにつれ身体機能や認知機能が低下し、身の回りのことが自分で出来なくなると、介護者は身体的にも精神的にも非常に負担が大きくなります。
介護者は気が休まる時間がなくなり精神的に追い込まれ、介護放棄につながってしまいます。
介護保険サービスには要介護度に応じた利用限度額があります。限度内であれば、自己負担額が1割〜2割ですみますが、低所得世帯であれば1割〜2割でも大きな負担になります。
低所得で介護者自身の生活もままならない場合には、親のことまでかまっていられなくなってしまうこともあります。
また、遠方に住んでいる場合には親を訪ねる費用さえも捻出できないという場合があります。
親との関係が悪く介護をしたくないという人や、親との関係が悪くないのに親の介護をしたくないという人もいます。
親が介護しなければ生きていけない状態ということを知りながら放置した場合は、罪に問われる可能性があるので、親の介護が必要になった場合は地域包括支援センターなどに相談して入居できる施設を紹介してもらいましょう。
家族はお互いに近親者を養ったり、経済的に援助する「扶養義務」があります。扶養とは、自らの資産や労力だけでは生活を維持できない人に対する援助のことをいいます。親が子どもを扶養するのも、その逆に子どもが親を扶養するのも義務です。身のまわりの世話だけではなく、生活費や医療費などの援助も含まれます。
そのため、仕事が忙しく介護ができない場合は、金銭的な援助をすることで義務を果たすこともできます。
介護放棄が起こってしまう理由はおもに3つあり、1つ目は要介護状態が悪化し介護する人の負担が大きくなることによって、介護する人が心身のバランスを崩して介護をしなくなってしまうケース。
2つ目は所得がもともと多くなかった世帯が要介護者の世話をすることで生活が圧迫されてしまうケース。3つ目はもともと親の介護をしたくないケースです。その場合も施設に預けるなどの方法があるので介護の窓口に相談しましょう。
介護放棄をしないためには、自己ケアが重要です。介護ストレスや疲れが溜まると、介護者自身が病気やうつ病になってしまうことがあります。
介護に関して悩んだときはひとりで抱え込まず、介護の窓口で相談しましょう。適切なサポートを受けることで、介護が続けられるようになります。
定期的な休息やリフレッシュ方法を見つけることも大切です。介護者本人が健康であることが、介護を続けるための必要条件です。
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