老人ホームの入居者同士や介護スタッフとの人間関係のトラブルは少なくありません。この記事では、人間関係のトラブルの原因と発生時の対処法、トラブルを回避するためのポイントなどを解説していきます。ぜひ参考にしてください。
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入居者の数と同じほどに生きてきた人生パターンや価値観はさまざま。さらに年齢を重ねるごとに、高齢者は頑固で我を通す傾向があるとも言われています。
そのため、施設内で日常生活をともにしていくうちに「この人のここが気に入らない」「あの人と仲良くしたくない」といった対人間関係のトラブルが発生してしまう場合があります。
個室タイプに入居していても交流ルームやイベントなどで交流することがあるため、対人トラブルが発生しないとは限りません。
トラブルの主な原因には以下のようなものがあります。
これらのトラブルについて詳しくご説明します。
相性が悪い入居者に対して、陰口を言ったり、無視、いじわる、喧嘩をしようとする入居者も中にはいます。ご近所トラブルと同じような事象が、日常をともにする老人ホーム内でも発生する可能性があると言って良いでしょう。
なかには小さなきっかけが発展し、最悪の状態になってしまうケースも。最初は相性が合った者同士でも、ちょっとした誤解から仲たがいしてしまうことで周りの人達が変に気を遣い、疲れてしまう場合もあります。
入居者の誤解や思い込みなどから、施設スタッフとトラブルになる場合もあります。
「意地悪をする」「無視をする」「嫌味な言い方をする」「えこひいきする」など、トラブルの内容はさまざま。両者の相性もありますが、施設スタッフが忙しくて対応しきれず入居者にそう感じさせてしまった場合もあります。
とはいえ、第三者が見ても違和感があると感じた時は、スタッフの上司や施設長へ相談すると良いでしょう。
認知症特有の症状から人間関係のトラブルが発生することもあります。
認知症を持つ人から、突然大きな声で怒鳴られたり暴力をふるわれた場合、「病気が原因だから仕方ない」と被害者側が簡単に割り切れない場合もあります。
心配した被害者側の家族からも「認知症の方とは別室にしてください、距離を十分に取ってほしい」と要望が出るケースもあります。
携帯電話を持った高齢者が、大きな声で先方と通話しているのを見たことがありませんか?
高齢者は耳が遠くなったり耳鳴りが日常的にある人もいるため、施設内でも同じようにテレビやラジオの音量や話す声を大きくしてしまうことがあります。周りの入居者が耐えられず「音量をもっと下げて」とクレームを入れる場合があります。
介護施設内でも金銭紛失によるトラブルが発生する場合があります。鍵がついている居室もありますが、危険防止から鍵がついていない介護施設もあるため、入居する要介護者には大金を所持させない方が賢明でしょう。
このトラブルは、持ち主本人が勘違いした場合と認知症が原因で盗んでしまう場合とに分けられます。
持ち主本人の勘違いから起こる金銭紛失トラブルです。
本人が「ここにあったお金がなくなった」「あの人が取った」と勘違いしたり思い込んだりしてしまうケースです。軽い認知症や物忘れなどが原因であることがほとんどで、お金や物に執着してしまう高齢者に多く見受けられます。
認知症の症状により、他人の金品を「自分のものだ」と思い込み、無断で取ってしまうケースもあります。
施設の介護スタッフが説得してもなかなか受け入れてくれないことが多いため、心を許しているご家族に説得してもらうことで早期解決に繋がる場合があります。
施設での人間関係のトラブル原因は、入居者の寂しさや嫉妬心にあることが多いと言われています。
住み慣れた自宅から介護施設に住み替えたストレスや寂しさから、まわりに八つ当たりや暴力をふるう入居者もいます。また、家族の面会が多い入居者や、楽しそうに仲良くお話する入居者達に嫉妬を抱いて、問題行動を引き起こしてしまう入居者もいます。
トラブルが発生した場合は、あくまで冷静に対処するのが鉄則ですが、その上で、以下の点に気をつけて対処してみると良いですよ。
気になる点があったら、早めに信頼できる施設スタッフに相談しましょう。
「大きな問題になりそうだ」と感じる場合は、ご家族の同席のもとリーダー職や施設長に相談することをおすすめします。早めに施設側が対応すれば、事態が大きくなる前に沈静化するはず。
施設側が、当事者の事情や不満をしっかりヒアリングしたうえで冷静に判断し、円満な解決法を導いてくれるでしょう。
冷静に見ても「施設の対応がおかしいのでは?」と感じる場合は、相談窓口に早めに相談しましょう。
相談先は以下の通り。
入居者本人の心身状態が著しく悪化したり大きなストレスが見られる場合は、住み替えを検討してみるのも良いでしょう。
とはいえ、高齢者は大きな環境の変化に耐えられる能力が衰えていることが多いです。
そのため、すぐ住み替えるよりは一時的に家族のもとに戻ったり、当事者とフロアを替えてもらうといった、本人の負担が少しでも少ない形でトラブル解決することをおすすめします。
仕事が多忙な場合もありますが、できるだけ入居者とコミュニケーションをとることをおすすめします。
実際に会わずとも、テレビ電話やSNSでのやり取りを良いでしょう。人間トラブルの原因となることが多い「さみしい思い」を入居者に感じさせないようにしましょう。
また、対人トラブルが発生しそうな場合は、早めに施設側にお伝えください。相談する際は、感情的にならず事実のみを冷静に伝えてみましょう。
施設側も「配慮が必要」と判断した場合は、居室やフロア、食事、イベントなどの双方の場所を配慮してくれるはずです。
なるべくトラブルに見舞われない施設に入居したいもの。それでは次に見分け方をご説明します。ぜひ、チェックしてみてください。
入居者と介護スタッフの関係が良好であれば、介護施設での要介護者の生活も快適なものになります。
介護スタッフとの摩擦が発生しそうな施設は避けたいもの。「介護スタッフが雑なお世話をしていないか」「両者の会話が落ち着いているか」「楽しそうに会話をしているか」といった点を、見学時にチェックしましょう。体験入居するのもひとつの手ですよ。
介護施設の見学時にトラブルの事例について職員に質問すると良いでしょう。
「入居者同士のトラブルはあるのか?」「具体的な事例とその時の解決策を教えて欲しい」「認知症の方が暴言や暴力をふるわれた場合、どのように対応を行っていますか?」と職員に質問してみてください。職員がしっかりと説明できるかごまかすかで、トラブルに対する施設側の姿勢がわかります。
対応策がしっかりしている施設は、職員内で情報共有や勉強会、研修が定期的に行われているため安心感があります。
近年少人数制のグループ単位(ユニット)での介護サービスや生活介助を提供する施設が増えてきました。ユニットケアは、孤独感も感じることなく共同生活を送りながら一人ひとりにきめ細かなケアが受けられるメリットがあります。
一方、共同生活であるがゆえに相性が合わないと双方にストレスが溜まってしまうというデメリットも。そのため、入居を検討する場合は、入居希望の施設側に対人トラブルの対応策や対応能力、対応した事例があるかどうか確認してください。
要介護者が介護生活を送るうえで家族や施設側のサポートは必須。人が集まるところ…介護施設での人間関係トラブルは何かしらあると言っても良いでしょう。
そのため、家族がまめに連絡したり面会を怠らないようにして、なにかあれば施設側に早めに相談してください。施設側に完全に任せきりにせず、施設スタッフと情報共有やコミュニケーションを取ることをおすすめします。
また、入居者の希望があれば医師の指示のもと、外出や外食、外泊に連れ出してあげれば、良い気分転換になるでしょう。日頃溜まっている愚痴など、傾聴してあげてください。
老人ホームの入居者は集団で生活しており、いくら個室タイプに入居していても共用部分やイベントなどで交流することがあるため、対人トラブルが発生しないとは限りません。少しでも違和感を覚えたら溜め込まず、信頼できるスタッフに相談しましょう。
主に「入居者同士の相性によるトラブル」「施設スタッフとのトラブル」「認知症を持つ人によるトラブル」「騒音トラブル」「金銭紛失トラブル」などが挙げられます。
特に施設スタッフとのトラブルは、放置しておくことで高齢者虐待にもつながる可能性があります。何か不信感を覚えたら、施設長や運営元に問い合わせてみるのが良いでしょう。
トラブルが発生した場合は、「信頼できる施設スタッフに相談する」「住み替えも検討する」「家族ができるだけコミュニケーションをとる」といった対処法が挙げられます。
まずは信頼できるスタッフに相談をして、問題解決のために動いてもらいましょう。また施設の対応に不満がある場合は、老人ホームの運営元に直接問い合わせるか、市区町村の相談窓口でも対応できることもあります。
そのときの状況に合わせて、入居者本人、家族とで何が最適かを考えましょう。
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