十分に検討をして入居した老人ホームであっても、実際に入居して生活してみるとさまざまな問題が浮き彫りになり、他の老人ホームへ転居したいと希望するケースがあります。
この記事では、老人ホームを転居するときに注意したいことや探し方を解説しています。
「今の老人ホームの対応に不満があって転居したい…」「親を転居させたいんだけど次の入居先が中々決まらない…」など悩んでいる方は、是非、参考にしてみてください。
「思っていた老人ホームと違った」「老人ホームにいられなくなってしまった」など、転居の理由は人によってさまざまです。以下では、転居をする理由をまとめました。
身体状況が悪化すると、要介護度が上がったり医療的ケアが必要になったりと、施設によっては転居を余儀なくされるケースがあります。その背景には、施設に設備が整っていない場合や対応できるスタッフがいないといったことが挙げられます。
「介護スタッフが冷たい態度をとる」「ほかの入居者とトラブルになった」など、老人ホーム内での人間関係が発端となって転居を希望するケースもあります。共同生活を送る老人ホームではこういった問題が度々起こります。
「毎月の費用の支払いが厳しくなった」などの金銭的な理由で転居を考える方もいます。介護保険サービスの利用が増え金銭的に厳しくなったり、援助してくれる家族の経済状況が変化したりと、費用の支払いが厳しくなる理由は人によって異なります。
ホームページやパンフレットで見ていた居室が、実際に入居してみると思ったより狭く感じられ、不便さから転居を希望するケースがあります。
また、定期的に老人ホームへ訪問している家族にとっては立地の問題も気になるでしょう。老人ホームの場所が遠ければ通いづらく、家族が親の転居を考える場合も多いようです。
転居先を探す場合に一番重要視するのは、転居する理由を解消できるかどうかでしょう。転居をするということはそれなりの理由があるはずです。今の老人ホームに欠けている点を明確にし、希望条件を整理することが転居先を探すスタートと言えます。
では具体的に転居先を探すことになった場合、どういった手段で探せば良いのでしょうか。
以下では、転居先を探す手段をまとめました。
主にインターネットに掲載されている情報や施設パンフレットをもとに、自分で転居先を探します。特にインターネットでは、施設の口コミや評価などを確認でき、情報収集がスムーズにおこなえるでしょう。
入居中の老人ホームのケアマネジャーに相談をして転居先を決めるのも一案です。ケアマネジャーは介護に関する知識のみならず、老人ホームの情報も持ち合わせています。入居中の老人ホームのケアマネジャーに転居の相談をするのはためらいがありますが、一度、相談してみるのも良いでしょう。
老人ホームの紹介センターでは全国の情報を網羅しているため、広範囲の老人ホームを探すのに便利です。電話や対面相談だけでなく、メールでの相談を受け付けている場合も多く、気軽に相談ができるでしょう。
なお、老人ホームの紹介センターは施設からの手数料で運営しているため、利用者側の負担はなく無料で紹介してもらえます。
転居先の老人ホームが決まり次第、速やかに今の老人ホームの退去手続きをおこないましょう。退去の手続きは、原則として各老人ホームが設けている規定に基づきおこなわれますが、基本的には「退去予定日の1カ月前までに申し出る」というのが一般的です。
ただし、認知症の進行や要介護度が上がったことによる、老人ホーム側からの退去勧告の場合は猶予期間が設けられる場合もあります。
老人ホームを転居する際に注意したいことは以下の3つです。
転居を決断する前に、まずは老人ホームのケアマネジャーや生活相談員、施設長などと現状、不安や不満に感じていることを話し合いましょう。
また、転居する上で入居金の返還や居室の原状回復費用に関しての金銭トラブルはよくあるケースです。施設側と揉めないためには、契約内容を確認しておく必要があります。
老人ホームの転居は手間と時間がかかり、入居者本人や家族に大きな負担をもたらす可能性があります。そのため、どのような理由で転居を考え始めたかにもよりますが、まずは転居を考えるのではなく転居したい理由を解決できるか施設のケアマネジャーや施設長に相談すると良いでしょう。
老人ホームの規模によっては「苦情相談窓口」「お客様相談センター」のような窓口を設けていることもあります。直接、施設スタッフに相談しにくい場合は、そのような窓口を利用することで悩みを解決できる場合もあります。
老人ホームに入居する際に入居金を支払っている場合は、居住期間によって入居金が返還されます。入居後すぐに合わないと感じたり体調の変化により入院したりと、契約から90日以内に解約する場合は、クーリングオフにより入居金が全額返還されます。
一方で契約から90日を過ぎてから解約する際は、契約に基づいた初期償却と償却期間によって計算され、入居金の一部が返還されます。以下、計算例をまとめました。
上記のケースでは、600万円のうち初期償却の180万円は入居後すぐに退去しても戻ってこない金額です。残りの420万円を償却期間で等分すると1カ月7万円となり、この金額が毎月賃料に当てられます。
入居後5年以内は償却が終わっていないため、この間の退去では入居時費用から初期償却額と毎月償却された額を引いた金額が返還されます。仮に2年目に退去した場合は、252万円が返還される計算です。
老人ホームを転居する際は、利用していた居室の原状回復費用がかかるかを確認する必要があります。入居者側が負担するのは、造作の変更(新たにドアや棚を設置するなど)や「車椅子を壁にぶつけて壁紙を破いてしまった」などの入居者の過失による損傷の部分です。
一方で経年劣化や通常の使用による損耗は施設側で負担します。
ただし原状回復費用は、どこまでが入居者側の負担になるか線引きが難しくトラブルになるケースも多々あります。
「入居者の身体状況の悪化」「人間関係への不満」「金銭的負担の増加」「立地や設備に対しての不満」などが主に挙げられます。特に身体状況が悪化したことにより、介護保険サービスの利用が増え金銭的負担が増加したというケースが多く見られます。
施設の転居に関する相談は、ケアマネジャーや生活相談員、施設長にすると良いでしょう。
直接、施設スタッフに相談しにくいという方のために「お客様相談センター」を設けている運営会社もあります。
身体状況が悪化し施設の設備や人員不足により対応できない場合や、認知症の症状による暴力・徘徊・被害妄想が酷いケースは施設側から転居を促される場合があります。3カ月以内などある程度の目安を施設の担当者から告げられます。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。