新たな研究で、フレイルに該当する高齢者はそうでない人に比べて、転倒や転落などの事故を起こしやすいことが明らかになりました。
フレイルとは、加齢とともに心身の機能が衰えた状態のこと。要介護状態の前段階とも呼ばれていて、適度な運動など対策をすることで元の健康な状態に戻れると言われています。
今回の研究は、東京都健康長寿医療センター研究所の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Geriatrics and Gerontology International」という学術誌に掲載されています。
研究グループは、東京都内のシルバー人材センターに登録している7265人の高齢者の事故に関するデータを分析。その結果、全体の9.4%が過去1年間に事故を起こしていたことがわかりました。
フレイルに着目してみると、健康な人に比べてフレイル予備軍の高齢者は1.57倍、フレイルの高齢者は2.31倍も事故を多く経験していたことが明らかになったのです。
また、事故の種類別に分けて分析した結果、特に転倒・転落事故を経験した人が多いことが判明。転倒・転落事故を経験した人は、健康な人と比べ、フレイル予備軍の高齢者で1.92倍、フレイルの高齢者では3.1倍にも上ることが明らかになりました。
一方、物損事故など転倒・転落以外の事故については、健康な人とフレイルの人でそれほど大きな差がないこともわかりました。
それから研究グループは、フレイルのある高齢者はそうでない人に比べて、安全就業について学ぶ機会を得られていないことも突き止めました。
例えば、安全就業についてのチラシを読んでいないフレイルの高齢者は、健康な人に比べて1.39倍多いことが判明したのです。
また、安全就業に関する研修会についても、健康な人に比べて、フレイルの高齢者は1.14倍参加しない人が多いことが示されました。
研究グループは「フレイルの度合いに応じた就業内容の選択ができる機会を設けたり、フレイルの度合いが高い人に対して、安全就業に関する働きかけを積極的におこなったりすることが重要だ」と話しています。
フレイル状態になった人は身体機能が低下しているため、体を機敏に動かせず事故につながるリスクが高まります。フレイルの進行を予防して事故を未然に防ぐためにも、運動習慣を身につけ、栄養バランスの取れた食事を摂ることが大切ですね。
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