新たな研究で、さまざまな食品を食べていて、「食事の多様性が高い人」はそうでない人に比べて、認知症の発症リスクが低い可能性が示されました。
この研究は国立長寿医療研究センターと国立がん研究センターの研究グループが共同でおこなったもので、研究結果は「Clinical Nutrition」という学術誌に掲載されています。
研究グループは、食のバリエーションの豊かさが認知症発症にどのような影響を与えるかについて、調査をおこなうことにしました。
今回の研究は、日本全国の住民に対しておこなわれている、「JPHC研究」と呼ばれる大規模研究に参加した45~74歳の3万8797人を対象に実施。平均して約11年間の追跡調査をおこない、食事の多様性と認知症との関連を調べました。
なお、食事の多様性については、「133項目の食品やアルコール類を除いた飲料を1日に何種類摂取しているか」というアンケートのスコアに基づき、対象者を5グループに分類したと言います。
また、追跡期間中に対象者の約11%(4302人)が認知症を発症したことがわかっています。
研究グループが分析した結果、女性では1日に摂取する食品の種類が最も多いグループが最も少ないグループに比べて、認知症の発症リスクは33%低下したことがわかりました。
また、アルツハイマー型認知症など、脳卒中をともなわない認知症についても同様に、女性では食事のバリエーションが豊かであるほど発症リスクが低くなる傾向が示されました。
一方、男性では、一人暮らしの人のみ同様の傾向が一部みられることが判明。家族など同居者がいる男性では、食事の多様性と認知症発症との関連はほとんどみられなかったことが明らかになりました。
今回の結果について、研究グループは「食のバリエーションが豊かな人は栄養素をバランス良く摂取しており、脳内の栄養状態も好ましいため認知症の発症を防げた可能性が考えられる」と指摘しました。
食の多様性は、バランス良く栄養を摂るだけでなく、より毎日の食事を楽しめるという観点からも重要です。たまには最近あまり食べていないメニューを作ってみても良いかもしれませんね。
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