現在、認知症には進行を遅らせる薬はありますが、根本的な治療薬はまだ開発されていません。そのため、早い時期からの予防が大切とされています。
そういった状況をふまえて、東北大学からはじまった企業のコグスマートが、認知症リスクを把握する人工知能(AI)システムを販売しました。これは、従来の脳ドックにプラスして、現在の脳の健康状態や認知症リスクを確認できるシステムです。
今後、国内の医療機関の1000施設に加えて、海外の施設への拡大を目指すそうです。
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東北大学の加齢医学研究所からスタートしたコグスマートは、脳機能に関するヘルスケアソフトを開発している会社です。
同社が開発したのは、「BrainSuite(ブレーンスイート)」というAIシステム。脳ドックで撮影したMR画像をAIが解析することで、今の脳の健康状態や認知症リスクを確認できます。
解析は、認知機能テストとMRI検査の2つの情報をもとにおこなわれます。その結果、今の脳の健康状態を教えてくれます。
また、健康状態が悪い場合は機能向上のため、健康な場合は状態維持のためのアドバイスを提供。結果レポートで、食事や運動などの脳に良い活動について助言をもらえるのです。
このシステムの目的は、若いうちから脳の健康状態を知っておくこと。認知症かどうかのチェックではなく、身体と同じように脳の健康診断をするということですね。
ちなみに同社によると、脳の衰えは認知機能の低下よりも先に、脳の記憶を司る「海馬」の体積に変化が出るそうです。そこで、このシステムではMRI画像をAIが分析し、医師の目視ではわからないほどの小さな変化を見つけて診断結果として提示します。
加えて、同年代の人の海馬の体積と比較。ランキング付けすることで、同年代と比べて体積が小さくなっているのかを客観的に判断します。
受診した人は、自分の脳の健康状態がどうなっているかが一目でわかるようになっています。
「認知症なんて、まだまだ先の話」と、思っている人も多いかもしれません。しかし、認知症のひとつであるアルツハイマー型認知症の原因物質は、発症の20年前から脳に溜まり始めるとされています。
この検査が、認知症を予測できるのかは明かされていませんが、認知症の根本治療法が確立していない以上、早めの予防をしておいた方が無難です。その予防のきっかけになりそうなのが、今回のシステムですね。
この検査は30代から受けられるそうですが、そんなに若いうちから検査を受けたいと思う人が多くいるのかは少し疑問ではあります。しかし中高年になると、漠然と自分の認知機能の変化を感じている人はいるのではないでしょうか。
そのため、「認知症テストはまだ早い」と思っている人でも、もう少し気軽な”脳の健診”で、自分の脳の状態を知っておくのは良いかもしれませんね。
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