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#介護のトラブル集

介護職が「大変」と言われる理由│よくある悩み・解決策・やりがいも紹介

介護職に興味があっても、「介護職は大変」というイメージがあり、踏み出せない方もいるでしょう。 介護職には大変な面もありますが、それには理由があります。また、大変なことと同じくらいやりがいもあります。 この記事では、介護職が大変だと言われる理由を解説します。また、解決策とやりがいも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 介護職の仕事内容は? 介護職の主な仕事内容は「身体介護」と「生活援助」の2つです。 身体介護とは、食事、入浴、排泄、移動の手伝いなど、体に触れるお世話のこと。寝たきりの方や一人での生活が困難な方など、要介護度が高い利用者のお世話をする際に求められる業務です。 生活援助とは、生活面に関わる援助をおこなう業務です。主な内容は掃除、洗濯、食事の支度など、快適な生活を送るための事柄です。生活援助は利用者の体に触れないお世話を指します。 身体介護も生活援助も資格はいりませんが、資格を持っていない人が身体介護をおこなう際には有資格者の監督が必要です。 利用者の身の回りのお世話をするだけでなく、相手の立場になって考え、利用者がその人らしい生活を送れるようにすることが大切です。 介護職が「大変」と言われる理由 介護職が大変と言われる理由にはいくつかありますが、特に「人手が足りない」との声が多く挙がっています。 出典:「令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について」(公益財団法人 介護労働安定センター) ほかにも、身体的・体力的な負担や、精神面での理由もあります。介護職が大変といわれる理由を6つの視点でそれぞれ見てみましょう。 人手不足による仕事量の増加 介護が大変と言われる理由で多いのが人手不足という点です。 高齢化によって要支援・要介護の方が増えているため、介護業界は人手不足の傾向にあります。そのため、ごく一部の介護施設では職員一人当たりの業務量が多くなることもあります。 職員の業務量が多い環境だと常に忙しさを感じ、大変だと思う人もいるでしょう。また、休憩時間や休みが十分でなかったり、シフトの負担が大きいなどの問題が起きます。 体力的な負担 介護職が大変と言われる理由のひとつに、体力的な負担が挙げられます。 介護職は利用者の体を支えることが多く、立ちっぱなしの時間も長いので、体力的な負担が大きいです。腰痛になってしまったり、介助量の多さに疲れてしまったりして、介護職を続けるのがつらくなる方もいます。 また、介護施設では24時間体制で利用者の生活を見守るため、夜勤など不規則な働き方を求められることもあります。夜勤は拘束時間が長いことが多く、少人数の職員で利用者の対応をするため、体力的な負担がかかります。 精神的な負担 介護職では精神的な負担もかかります。 利用者は高齢の方が多く、体調が急変することがあります。利用者の体調の変化は見逃してはいけないので、普段から体調に気を配る必要があります。 また、利用者の体調が急変したときの対応には、迅速かつ的確な判断が求められます。 いつ体調が変化するかわからないといった状況の中では、精神的な負担がかかりやすく、ストレスを感じる方もいるでしょう。 人の死に立ち会うことがある 看取りに対応している介護施設で働く場合、利用者の最期に立ち会うこともあります。 看取りケアは利用者が幸せな最期を迎えるためのサポートです。やりがいを感じる方もいますが、利用者が亡くなった後の喪失感が大きく、なかなか気持ちを切り替えられない人もいるでしょう。 また、利用者が突然亡くなってしまうケースもあります。 利用者の最期に立ち会うのがつらい方は、デイサービスやショートステイでの勤務が向いているかもしれません。 人間関係の構築が大変 介護職が大変と言われる理由に人間関係の構築も挙げられます。 介護の現場では幅広い年代が働いているため、価値観の相違などが原因で衝突しやすいという特徴があります。 介護職員に限らず、さまざまな職種の人とひとつのチームを組んで働いているため、利用者へ提供する介護の方針が異なることが原因として挙がります。 また介護職は、利用者本人はもちろん利用者の家族などとも関わります。利用者や家族と円滑なコミュニケーションが取れなければ、より良い介護サービスは提供できません。利用者が何を求めているのか、どのようなサービスが適切なのかを掴めないと介護職を大変と感じるかもしれません。 介護方針の相違がある場合がある 介護職が大変な理由として、自分のやりたい介護と施設の介護の方針が合わない場合があることも挙げられます。 介護職に就く人は、高齢の方とのコミュニケーションが好きだったり、人に感謝されることが嬉しいと感じる方が多いです。自分の中で「こういう介護をしたい」という理想がある方もいるでしょう。 しかし、現実では決められた施設の方針の中でサービスを提供する必要があります。例えば、自分は、利用者としっかりコミュニケーションを取って信頼関係を築くことを重視したいのに、施設が効率重視のため会話する時間がない、なんてことも。介護職へ就く際には、就業先は自分のしたい介護ができる環境なのか見るのが良いでしょう。 介護職の「大変」を解決するには 介護職をしていて、「大変」「つらい」と思ったとき、自分が行動を起こすと解決することもあります。 介護職が大変だと感じたときの解決策を4点紹介しますので、参考にしてください。 周りに悩みを相談する 介護の仕事をしていて、「大変」「つらい」と感じたら、まずは働いている施設の上司や同僚、家族などに相談しましょう。 同じ施設の上司や同僚に相談すれば、仕事の理解も早く、適切なアドバイスをもらえる可能性があります。 職場の人に話しにくい内容なら家族や友人に話を聞いてもらいましょう。 自分が「大変」と感じていることを誰かに話すだけでも気持ちが楽になったり、頭の中の整理ができることもあります。自分一人で抱え込まずに、誰かに話してみることが大切です。 働きやすいシフトへ変更や配置換えをしてもらう 職場の人間関係に悩んでいる場合には、配置替えやシフト変更が可能かどうか、上司に相談してみましょう。人間関係の悩みは、自分一人では解決できない場合も多いです。 職場の人間関係に悩んでいる場合には、配置替えやシフトの組み方によって、苦手な相手との接触を減らせれば、悩みも減らせます。 また、体力的に夜勤がつらいと感じている方は夜勤の回数を減らせるか、上司に相談してみましょう。 自分の意識を変える 介護職が大変と感じた際に職場へ改善を求めることも重要ですが、自分の意識を変えることも大切です。 自分の普段の仕事の姿勢を客観的に見て、反省点があれば改善に努めましょう。反省点を意識して今よりも効率的に働ければ、仕事へのストレスが軽減する場合もあります。 また、私生活の環境を整えるのも良いことです。 介護職は不規則な勤務により生活のリズムがバラバラになりがちです。生活習慣が乱れていると体力にも精神面にも影響が出ます。できるだけ睡眠時間を確保し、体をしっかりと休めましょう。食べるものにも配慮し、偏った食生活で体調を崩さないように注意することも大切です。 介護職でストレスがたまったときには、趣味に打ち込んだり、運動したりと、自分に合ったストレス解消方法を見つけることも重要です。 自分に合った介護事業所・施設へ転職する 上司に勤務環境の改善を求めたり、自分自身で自分の仕事ぶりを改善しても、なかなか仕事の大変さが変わらない場合は、現在より良い条件の施設に転職するという方法もあります。 例えば、夜勤や不規則なシフト制に不満を感じている方は、デイサービスや訪問介護事業所が良いかもしれません。 働き方を変えれば介護職の大変さも軽減されることもあります。自分の仕事の価値観や生活スタイルに合った施設を探してみるのもよいでしょう。 介護職のやりがいとメリット 介護職は大変な面もありますが、大きなやりがいとメリットもあります。主には以下の4点です。 人の役に立てる 利用者との関わりが自分の成長につながる 未経験・無資格から始められる さまざまなところでスキルを活かせる それぞれ見てみましょう。 人の役に立てる 介護職のやりがいは人の役に立てることが挙げられます。 介護職は、利用者や家族から直接、感謝の言葉が聞く機会が多いです。感謝の言葉は、自分が役に立ったことの証でもあり、関わることができて良かったと実感できるでしょう。 利用者や家族に寄り添い、適切なサポートをおこなうことは多くの人の助けにつながります。利用者へ介護サービスを提供することにより、利用者は自分らしい生活を実感できます。介護サービスの提供を通して感謝の言葉を聞けると、「介護職になって良かった」と思えるはずです。 利用者との関わりが自分の成長につながる 介護職では利用者とのコミュニケーションは欠かせません。利用者との関わりが自分の成長につながるのもやりがいのひとつです。 介護職として業務に携わると利用者が心身ともに回復していく様子を見守ることができます。利用者の日々の生活を手助けしていくうちに、利用者が前向きになり笑顔が増えるなどの変化も見られます。「利用者の回復の手伝いができた」と実感することが多いので、その分仕事のやりがいも感じるでしょう。 また、高齢の利用者と接すると多くの学びがあります。ときには人生の先輩として話を聞いてもらったり、生活援助につながる家事のアイデアを教えてもらえる場合もあります。 未経験・無資格から始められる 介護職は、資格がなくても未経験でも働くことが可能な職種です。年齢・性別・学歴を問われることも少ないため、介護職に対する意欲があれば就職や転職は十分可能です。 さらに、仕事を通じて資格を取ることも可能です。幅広く業務をおこなえるよう、資格取得のバックアップをしてくれる職場も多くあります。 介護職として経験を積んで資格を取得していれば、キャリアアップのチャンスもあります。例えば、介護職員から介護福祉士として周囲をまとめる立場になったり、介護福祉士からケアマネジャーを目指すこともできます。 さまざまなところでスキルを活かせる 介護職の経験や資格があれば、全国でそのスキルを活かせます。 介護を必要としている高齢者は全国に居ます。もし、結婚など私生活での変化があったり、引っ越しをすることがあっても、就職先に困ることなく自分に合った介護職の求人を見つけられるでしょう。 介護職は老人ホームやデイサービス、訪問介護などさまざまな勤務形態があります。そのため、需要も多く、勤務時の年齢による体力を考慮して職場を選ぶことが可能です。介護職は年齢を重ねても長く続けられ、なおかつ経験を活かせる仕事と言えます。 また、介護職で得たスキルは介護施設の利用者のみではなく、家族などの介護にも活かせます。将来的に家族などの身近な人に介護が必要になったとき、介護の経験やスキルが役に立つでしょう。 よくある質問 介護職の大変な部分はどんなところですか? 介護職が大変と言われるのは、身体的・肉体的に負担がかかること、人手不足による仕事量が多いことなどが挙げられます。自分の理想の介護像がある場合、施設の方針によっては合わないと感じることもあります。また、介護職は人の最期に立ち会うこともあります。看取りケアは利用者が幸せな最期を迎えるためのサポートです。やりがいを感じる方も居ますが、利用者が亡くなった後の喪失感が大きく、なかなか気持ちを切り替えられない人もいます。 介護職の大変な部分は解決できますか? 介護職が大変でつらさを感じたときには、まずは働いている施設の上司や同僚、家族などに相談しましょう。同じ施設の上司や同僚に相談すれば、適切なアドバイスをもらえる可能性がありますし、悩みに合わせて勤務形態を変えてもらえるかもしれません。上司に勤務環境の改善を求めたり、自分自身で自分の仕事ぶりを改善しても、なかなか仕事の大変さが変わらない場合は、無理をせず、現在より良い条件の施設に転職するという方法もあります。 介護職に良い部分はありますか? 介護職には多くのやりがいとメリットがあります。大きなやりがいは利用者から直接感謝の言葉を聞けることです。また、利用者の回復を間近で見れるので、自分が利用者の役に立っているという実感もあります。介護職のスキルや資格は全国で求められているので、私生活が変わったり引っ越しをしても自分に合った求人を見つけられます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護職の大変な部分はどんなところですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/08/17

介護職員がハラスメントを受けたらどうする?|対策や相談窓口も紹介

「職場でハラスメントを受けていてつらい」「介護の仕事に興味があるけど、ハラスメントが多いと聞くから不安」と悩んでいる方もいるはずです。 そこで今回は、介護現場で起こるハラスメントの実態と原因を説明しながら、ハラスメントの予防策や起きてしまったときの対処方法をご紹介します。 より良い介護をおこなうためにも、本記事をきっかけにハラスメント対策を考えてみましょう。 ハラスメントとは 「ハラスメント」とは、相手が嫌がる行動や発言などをして、不快感や苦痛を与えたり、脅威に感じさせたりすることです。ハラスメントにはさまざまな種類がありますが、当事者にはハラスメントをおこなっている自覚や悪気がないことが多々あります。 また、ハラスメントを受けている側も、周囲に打ち明けにくいという点も問題です。 介護現場に多いハラスメントとは 介護現場におけるハラスメントとして主に、身体的暴力、精神的暴力及びセクシャルハラスメントなどが挙げられます。 介護の現場では、たたかれたり、蹴られたり、またはものを投げつけられる、唾を吐かれるなど、身体的な力を使って危害を及ぼす行為だけでなく、大声で怒鳴るなど威圧的な態度で文句を言ったり、無視をするなど、言葉や態度によって個人の尊厳や人格を傷つける行為が少なからず発生しています。 残念ながら、不快を与える性的な言動や不必要なボディタッチ、抱きしめるなどの性的いやがらせを繰り返すハラスメント行為もまた、存在しています。 介護現場でハラスメントが起きてしまう原因 介護現場でハラスメントが起きてしまう原因はひとつではありません。では、このようなハラスメントが起きてしまう原因はどのようなものがあるのでしょうか? ここでは「環境」「利用者・家族」「介護事業者」の3つの観点から詳しく説明していきます。 環境による原因 1対1もしくは1対多数の状況になりやすい 周囲の物がハラスメントの原因になりやすい 犬などのペットの管理がされていないことがある 介護がおこなわれる現場や環境が、ハラスメントの要因となってしまうことがあります。 利用者と介護者が1対1になる状況や他の職員が近くにいない場所、助けを求める声が周囲に届きにくい場所など、職員の安全が確認できない環境は、ハラスメントを起こしやすくなります。 また、コップを投げつけられるなど、介護サービスの身近にあるものが身体的暴力につながったり、訪問介護先のペットの管理がされておらず、職員の安全が確保されない状況もリスク要因となり得ます。 利用者・家族による原因 生活歴の影響で言動に配慮できない 介護の心理的ストレスによって自分の言動に配慮できない 医療・介護の適切なサポートを受けていない サービスの提供範囲を理解していない 利用者や家族の状態や生活もまた、ハラスメントを引き起こす原因になることがあります。 利用者やその家族の過去に、暴力行為や違法行為があったり、家族や人間関係でトラブルを抱えている方やアルコール依存症や薬の副作用の症状がある方はハラスメント行為を起こしやすい傾向にあります。 また、介護による心理的ストレスによって自身の言動に配慮する余裕のなさや、介護サービスに対する期待が過剰すぎる家族の不満が、職員へのハラスメント行為に発展することがあります。 介護施設の対応による原因 サービス提供範囲やルールの徹底を統一できていない 利用者・家族からサービスの理解を得ていない 職員にマナーの教育ができていない 個人情報の扱いの教育ができていない 苦情などがあったときの対応が不適切である コミュニケーション不足で、利用者・家族のニーズを理解していない 利用者側だけでなく、施設や事業者などのサービス提供者側もハラスメントの要因となり得ます。 介護施設が、利用者や家族に対して、提供するサービスの目的や範囲を充分に説明できていないことで過度な期待をさせてしまったり、ルールを徹底できないこと、また、コミュニケーション不足によって、利用者・家族のニーズをうまく汲み取れないこともハラスメントを引き起こす要因となります。 サービスを提供する職員への不十分な指導や教育もまた、ハラスメントにつながる可能性があります。時間通りにサービスを提供できていない、利用者や家族からの苦情や要望への対応や、事故などの問題が発生したときの対応が不適切だったなど、さまざまな要因が考えられます。 介護現場でのハラスメント予防法 あらゆるケースを想定し、ハラスメントを受けないための対策を講じておくことが大切です。ここでは、介護サービスを提供する側ができる以下の3つのハラスメント予防策を紹介するとともに、くわしく説明していきます。 コミュニケーションとケアの方法を見直す はっきり自分の意志を伝える 利用者・家族のサービス理解を促す コミュニケーションやケアの方法を見直す まずは、利用者とおこなうコミュニケーションやケアの方法を見直すことが大切です。相手の自尊心を傷つけてしまうような発言や行動は、ハラスメント行為を引き起こすきっかけになってしまいます。 利用者の意欲を削ぐような発言をしていないか、正しいケアや対応ができているかなど、自分の行動を振り返ってみると良いでしょう。 はっきり自分の意思を伝える 最も重要なのは、介護職員がハラスメントを我慢しないということです。介護施設からすると利用者は「お客様」です。しかし、だからといってハラスメントを我慢してしまえば、表面化せずに長びかせてしまう可能性があります。 ハラスメントを受けた場合は決して我慢せず、「嫌です」「やめてください」などの自分の意思をはっきり伝えるようにしましょう。 利用者・家族のサービス理解を促す 介護施設側から利用者や家族に対し、理解を求めておきたいことや、協力を仰ぎたい事項について周知しておくこともハラスメント予防につながります。 円滑な介護と職員の安全を守るために、どのような行為がハラスメントにあたるのか、ハラスメント行為が発生した場合の対応方法などについてあらかじめ適切に、わかりやすく伝えておくことが必要です。 介護現場でハラスメントが起きてしまったら では、実際に介護現場でハラスメント行為が起きてしまったらどのような対応をしたらよいのでしょうか? これからは、ハラスメントが発生した際の対応について、以下の2つの方法を詳しく説明していきます。 上司や管理者に相談する 相談窓口、労働基準監督署に相談する 上司や管理者に相談する ハラスメントが発生した場合は我慢せず、施設の上司や管理者に相談しましょう。ハラスメント対策用対応マニュアルを作成している施設は、多く存在しています。 マニュアルに基づいてハラスメントの状況を確認し、場合によっては、ケアマネージャーや行政、警察などに通報することはもちろん、メンタル的な支援をしてもらえる可能性があります。 相談窓口、労働基準監督署に相談する 上司や管理者に相談できないときや、相談しても解決しない場合は、以下のような、介護現場でのハラスメントや労働基準監督署の相談窓口を利用することをおすすめします。 介護現場における利用者やご家族等からのハラスメント相談窓口 総合労働相談コーナー(厚生労働省) 「介護現場における利用者やご家族等からのハラスメント相談窓口」は、東京都や区市町村で働く介護職員が匿名で相談できる窓口です。ハラスメントについて相談できるのはもちろん、不快な行為がハラスメントにあたるかを確認することもできます。 厚生労働省がおこなう「総合労働相談コーナー」では、さまざまな労働現場で起こる不当な対応やいじめ、ハラスメント行為などについて、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づき、助言や指導、あっせんをおこなってくれます。 よくある質問 介護現場で起こるハラスメントにはどんなものがありますか? 介護の現場では、利用者や家族による行動や発言などによって、職員が不快感や苦痛を感じることがあります。 そのような介護現場で起こるハラスメント行為として、叩く、蹴る、唾を吐くなどの「身体的暴力」、言葉や行動によって個人の尊厳や人格を傷つけたり、おとしめたりする「精神的暴力」、好意的な態度を要求したり、不用意に体を触ったり抱きつくなどの性的な嫌がらせ行為をおこなう「セクシャルハラスメント」の3つが挙げられます。 どうして介護現場でハラスメントが起きてしまうのでしょうか? 介護の現場では、1対1もしくは1対多数になりやすい状況や他の人の目が行き届かない密室など、職員の安全を守れない「環境」が原因となるハラスメントが発生します。 また、利用者や家族がアルコール依存症や薬の副作用、もしくは介護によるストレスによって言動を配慮できないなど「利用者・家族」に関するリスク要因も考えられます。さらには、「介護施設による不十分な対応」も、ハラスメントを引き起こす可能性があります。 ハラスメントが起こったらどうしたらよいですか? 介護現場でハラスメントが発生した場合は、決してひとりで我慢することなく、ただちに施設の上司や管理者に相談しましょう。 ハラスメント行為に対して対応マニュアルを作成している介護施設も多くあり、マニュアルに基づいた対応や支援を受けられる可能性があります。 上司や管理者に相談できない場合や相談しても解決できない場合は、介護現場でのハラスメントや労働基準監督署の相談窓口を利用することをおすすめします。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護現場で起こるハラスメントにはどんなものがありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": ...

2023/07/31

義理の親の介護を理由に離婚はできる?|相続・財産分与の問題も解説

「義理の親の介護がしんどい‥離婚したい」「介護の負担を理由で離婚ってできるの?」 介護は精神的・肉体的に大きなストレスや負担がかかるもの。義理の親の介護を理由に離婚したいと考えてしまうのも無理はありません。 そこで、本記事では、介護を理由に離婚できるのかどうかを解説します。合わせて、離婚後の相続や財産分与についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 義親の介護は義務ではない そもそも、義理の親の介護は義務なのでしょうか?民法では以下のように規定されています。 第877条1項 直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 第877条2項 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。 出典:民法第877条 このように、子の配偶者が義理の親を介護する義務は、法律的にはありません。 例えば、妻は夫の直系血族にあたらないため、妻には義理の親を介護する義務はありません。義理の親の介護は、夫とその兄弟姉妹がおこなうべきものです。 介護を理由に離婚はできる? 介護を理由に離婚はできるのでしょうか? ここでは、介護を理由に離婚できるケースと難しいケースについて見ていきましょう。 離婚できるケース 介護を理由に離婚できるのは、次のようなケースのときです。 夫婦がお互い離婚に合意している 介護以外にも法定の離婚事由がある 介護が原因で夫婦関係が破綻している(長期間の別居など) 法定事由とは、裁判で離婚する際に認められる離婚理由のことです。 夫婦いずれかが離婚に反対していても、以下のような「法定離婚事由」に該当する行為があれば、離婚が成立します。 一 配偶者に不貞な行為があったとき。二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 出典:民法第770条 離婚が難しいケース 次のようなケースでは、離婚が難しいと考えられます。 夫婦いずれかが離婚を拒否している 夫婦いずれかが不倫などをしており有責配偶者である このような場合は、離婚ができない訳ではないものの、話し合いが進まなかったり、離婚までに相当長い期間がかかってしまう可能性があります。 離婚話が進まない場合には、弁護士への相談をおすすめします。弁護士に依頼すると、仲介役として話を進めてくれたり、代理人として交渉にあたってくれたりするので、精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。 離婚したら、相続・財産分与・年金分割はどうなる? 次に、介護を理由に離婚した際の相続と財産分与、離婚後の年金分割について説明します。 義親の遺産は相続できる? 例えば、夫の父母が亡くなった場合、妻は法律上の相続人ではないため遺産はもらえません。また、夫が受け取る義両親の財産は、夫の特有財産となるため、妻が財産分与でもらうこともできません。 妻が義親の遺産をもらうには、「義父母と養子縁組をする」「生前贈与してもらう」「実子の配偶者に遺産を残す旨の遺言を作成してもらう」などの準備をしておく必要があります。 ただし、妻が無償で義親の介護に貢献していた場合は、特別寄与料金を相続人へ請求できる可能性があります。 離婚をしたら財産分与はどうなる? 離婚の場合、財産分与の対象となるのは「共有財産」です。これは、夫婦が協力して婚姻期間中に形成した財産のことです。対象となるのは以下のような財産です。 <共有財産の例> 不動産 保険の解約返戻金 退職金 現金や預貯金 財産分与の対象から除外されるのは「特有財産」です。具体的には、婚姻前から一方が保有していた財産や、婚姻期間中に取得した夫婦の協力に関係しない相続、贈与が原因となる財産です。 <特有財産と考えられるもの> 婚姻以前から保有する財産 親族から相続した財産 自分の特有財産で購入した、もしくはプレゼントされたバッグやアクセサリー等 離婚後に年金分割 離婚した場合、夫婦二人の婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができます。 年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。 合意分割 分割の割合を夫婦が話し合い合意によって決定する方法で、2007年4月1日以降に離婚した夫婦に適用されます。 同意を得たら、離婚後に一緒に社会保険事務所へ行き、年金分割の手続きをします。一緒に出向くことが難しい場合は、公正証書で年金分割の合意書を作成しておけば、一人でも手続き可能です。 3号分割 3号被保険者であった妻や夫から請求することで、相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度。2008年4月1日以後の婚姻期間が対象です。 離婚した元配偶者の合意がなくても、第3号被保険者が単独で請求できます。 介護離婚を避けるためにできること 離婚する前にできることはあるのでしょうか? ここでは、介護離婚を避けるためにできることを紹介します。 家族・親戚に介護に参加してもらう 親の介護は、夫婦だけ、あるいは夫婦のどちらか一方が担うのではなく、子どもや兄弟姉妹などの親戚にも参加してもらいましょう。 前述の通り法律では「親族であれば、三親等以内は介護の義務がある」ことがはっきりとしています。 親族が近くに住んでいるのであれば、介護を手伝ってもらうようにしましょう。遠方に住んでいる、あるいは都合がつかないなどの理由で介護に関わることが難しい場合は、経済的援助を求めても良いでしょう。 家族や親族が協力的になると、介護離婚が回避できることもあります。 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスを利用することも、介護離婚を避けられるひとつの方法です。 デイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護サービスを利用すると、介護の負担を減らすことができます。 介護をしていると、自分の時間がなく、疲労やストレスが蓄積されます。また、認知症が進行すると、危険から守るために親の行動を監視し続けなければなりません。これが毎日続くとなると「介護から逃れるために離婚したい」と考えてしまうでしょう。 介護離婚を避けるためにも、介護サービスを利用して介護の負担軽減に努めましょう。 介護施設に入居する 介護施設への入居も検討してみましょう。施設入居が最も介護の負担を軽減できる方法。介護施設では、プロの介護を受けられるので義両親にとっても良い環境で過ごせるでしょう。 なお、介護施設にはさまざまな種類があり、施設ごとに入居条件が設定されています。例えば、特別養護老人ホームの入居条件は、原則として65歳以上、要介護3以上の高齢者です。 また、施設の種類によって、入居にかかる費用やサービス体制・内容も異なります。 介護施設の入居を検討するときは、さまざまな施設の情報を集めて、条件や希望に合う施設を選びましょう。 別居して介護から離れる 介護がつらく、離婚が頭をよぎっても、ひとまず別居することで介護から距離を置くことができます。このことも、介護離婚を避ける方法のひとつです。 介護から離れると、今後どうするか落ち着いて考えることができるので、離婚以外の解決方法が見つかるかもしれません。 また、別居して残された側の配偶者は、自分がメインで介護しなければならなくなるため、介護の大変さが理解できるでしょう。別居をきっかけに、介護に協力してもらえる場合もあります。

2023/07/31

介護現場のICT化を考える|メリット・デメリット、補助金制度を紹介!

幅広い分野で活用が進んでいる「ICT」。自分の介護現場でもICT技術を導入したいけれど、「どのようなものがあるのか?」「どう活用したら良いのか?」と疑問をもつ方も多いでしょう。 この記事では、介護現場のICT活用事例や、導入するメリット・デメリットなどを解説します。 また、導入コストを抑える補助金制度も紹介しますので、ICT化を検討している方は是非参考にしてください。 そもそも「ICT」とは? ICTとは、「Information and Communication Technology」の略語で、日本語では「情報通信技術」と訳されます。 「IT技術を活用して情報の共有・伝達をおこなうこと」を意味しており、インターネットを利用したメールのやりとり、オンライン会議などもICT技術のひとつです。 ICTは現在さまざまな分野で利用されており、介護現場での活用も期待されています。例えば、書類をデータ化して作成・管理しやすくしたり、介護業務の負担を軽減するために見守りセンサーを導入するなどの活用方法が考えられます。 ITとICTの違い ICTとよく似た言葉である「IT(情報技術)」は、ほとんど同じ意味を持っていますが、ICTには「コミュニケーション」の要素が含まれています。 わかりやすくいえば、ITはパソコンやスマートフォンといった「通信技術そのもの」を指すのに対し、ICTはそういった通信技術を活用する方法やサービスを指す、という違いがあります。 IoTとICTの違い ICT同様、よく耳にするようになった言葉のひとつに「loT」があります。loTとは、「Internet of Things」の略語で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。loTは、パソコンや家電などの「さまざまなモノをインターネットにつなげる技術」であるのに対し、ICTは「モノを利用する人同士をつなげる技術」というイメージです。このようにloTとICTは違う意味をもちますが、互いに結びつきがある言葉ともいえます。 介護におけるICT化のメリット 介護現場のICT化には、以下のようなメリットがあると考えられます。 業務の効率化ができる 事業所間や病院との情報の共有がしやすい 介護の質が上がる それぞれのメリットについて、事例をみていきましょう。 業務の効率化ができる 介護の業務には、利用者と接しない事務作業などの間接業務も多くあります。この間接業務の負担は、ICT化により軽減できると考えられます。 例えば、サービス提供記録やバイタルデータなどを手書きでメモしている場合は、後で改めて清書したりシステムに記録する必要があります。しかし、ICT技術を導入すればデジタル端末を通して入力できるため、サービス提供記録やバイタルデータなどを手軽に入力できるようになります。 入力したデータはシステム内で連携できるので、転記する必要もなく入力ミスや記入もれ防止にもなるでしょう。 ICT技術を導入した事業所の9割以上で、間接業務の時間が減少しています。事務作業の時間を低減できれば、そのぶん介護サービスにあたる時間を増やしたり、職員の残業を減らすことも可能です。 介護事業所同士、病院との情報共有がしやすい 介護サービスを受けている方は、病院を受診したり、ほかの介護サービスを併用することも珍しくありません。複数の施設を利用している方の情報は、施設同士および病院と共有することになりますが、伝達手段が郵送や電話・FAXなどでは手間がかかります。 ICT技術を活用した情報連携システムを導入できれば、各施設で利用者の情報を時間差なく共有できたり、施設の空き状況なども簡単に確認できるようになります。 このように情報共有をICT化することで、施設同士のスムーズな連携や、業務の効率化が可能になるでしょう。 介護の質が上がる ICT化によって事務作業などの間接業務の時間が削減できれば、そのぶん介護サービスにかけられる時間が増え、丁寧できめ細やかなケアをおこなうことができます。実際にICTを導入した事業所の約7割が、サービスの質が上がったと答えています。 また、利用者の状態がデータで確認・管理できるようになれば、利用者の行動分析も可能になります。例えば、排泄のサイクルをデータから分析し、タイミングよくトイレに誘導することもできるでしょう。 このように、ICTの活用は介護の質を高めることにもつながるといえます。 介護におけるICT化のデメリット 次に、介護現場にICT技術を導入する場合に考えられるデメリットを紹介します。主な注意点は以下になります。 導入時のコストが高い 慣れるまでに時間がかかる 情報漏洩をするリスクがある 順に詳しくみていきましょう。 導入時のコストが高い ICT化のデメリットのひとつは、導入コストが高いことです。ICTの導入には、パソコンやスマートフォン、タブレットなどをそろえたり、インターネットの環境整備などをおこなう必要があるため初期費用がかかります。 ただし、近年はICT促進のための補助事業があり、ICTを導入した施設には自治体から補助が出るようになっています。こういった制度をうまく活用すれば、ICT化を実現できる施設も少なくないでしょう。 慣れるまでに時間がかかる パソコンやタブレットなどのデジタル端末の操作に慣れていない、または抵抗がある職員にとっては、スムーズに利用できるようになるまで時間がかかることもあります。 新しいことを覚えたり、経験のないことを一から始めるのは大変なので、不慣れな職員に対するサポートは十分におこなう必要があるでしょう。 また、従来の方法に比べてどのようなメリットがあるのかなどを説明し、ICT化について職員に理解してもらうことも大切です。 情報漏洩をするリスクがある ICT化には情報漏洩のリスクも伴います。情報漏洩の原因は主に「操作の誤り」「セキュリティーの精度」「データの紛失」とされていますので、これらを未然に防ぐための対策が必要です。 「操作の誤り」は人為的な問題であるため、操作マニュアルやルールの周知・徹底をおこないましょう。次に「セキュリティーの精度」については、脆弱なセキュリティーだとウイルスに感染しやすく、データ流出のリスクが高まることが問題になります。セキュリティーソフトは精度の高いものを使いましょう。 「データの紛失」は、デジタル端末を施設外に持ち出すことで発生する恐れがあります。外部の打ち合わせや会議などで端末を持ち出す際は十分気をつけ、端末には常に暗証番号でロックをかけておくことが重要です。 介護現場のICT化に対する支援制度 ICT導入補助金とは、介護現場の業務効率化・負担軽減のために、ICT化に向けた導入費用補助をおこなう制度です。各都道府県に設置されている「地域医療介護総合確保基金」より、ICT導入にかかる費用の一部が助成されます。 補助の対象は、介護記録や情報共有などがおこなえるソフトや、デジタル端末の導入費用です。具体的には次の項目で紹介します。 補助対象 ICT導入補助金の対象となるのは以下になります。 介護ソフト バックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理など) 情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末、インカムなど) 通信環境機器(Wi-Fiルーターなど) 運用経費(クラウド利用料、サポート費、研修費) ICT導入補助については、厚生労働省の「令和5年度 予算案の主要事項」にも記されており、介護現場のICT化促進のために補助事業内容を拡充することが明記されています。 補助要件 補助金を利用するためには、補助対象のものを導入するほかに、以下のような要件もあります。 「LIFE」による情報収集・フィードバックに協力すること 他事業所からの照会に対応すること 都道府県へ導入計画と導入効果報告を提出すること(導入効果報告は2年間必要) IPAが実施する「セキュリティアクション」の「一つ星」または「二つ星」のいずれかを宣言していること ICTの活用により収支状況の改善が図られた場合は、職員の賃金に還元すること(導入効果報告により確認) 「LIFE」とは、エビデンスに基づいた質の高い介護をおこなうためのデータベースで、厚生労働省が運用しています。利用者の状態や介護サービスの計画・内容などをインターネットを通じて送信すると、分析されたデータがフィードバックされる仕組みです。 補助金額 補助金額の上限は、職員数に応じて以下のように設定されています。 1~10人…100万円 11~20人…160万円 21~30人…200万円 31人以上…260万円 補助率は都道府県が設定しますが、「ケアプランデータ連携システム等を利用」「LIFEのCSV連携仕様を実装した介護ソフトで実際にデータ登録を実施」「ICT導入計画で文書量を半減する」のうちいずれかを満たしている場合は、補助率の下限が3/4になります。それ以外の場合、補助率の下限は1/2になります。 介護業界で活用されているICT技術 次に、介護業界で実際に活用されているICT技術を紹介します。代表的なものは以下の通りです。順にみていきましょう。 介護記録システム 職員同士のコミュニケーションシステム 見守りシステム 勤怠管理・給与計算システム 施設管理システム 介護記録システム 「介護記録システム」は、スマートフォンやタブレットからも入力できるため、場所を問わず手軽に記録作業がおこなえます。例えば訪問介護にあたる職員なら、事業所に戻って記録作業をする必要がなくなり、隙間時間を有効活用して入力作業ができるようになります。 施設で働く介護職員も、モバイル端末を携帯することで、介護ケアをおこないながらその場で利用者の状態やバイタルの入力が可能です。このように、記録システムを活用すれば作業を効率的におこなえるようになります。 職員同士のコミュニケーションシステム 職員同士で連絡や情報共有が簡単にできる「コミュニケーションシステム」もあります。コミュニケーションシステムを導入したスマートフォンやタブレットを各自で利用できれば、情報共有のための会議や申し送りなどの定例的な集まりは最小限にすることも可能です。 また、外出先から事業所に連絡が必要なときも、電話では一人の職員にしか伝えられませんが、コミュニケーションシステムを利用すれば、一度の連絡で全員に情報を発信できます。時間差なく情報を共有することにより、業務が円滑になる効果も期待できるでしょう。 見守りシステム 利用者の居室の壁やベッド下などに取り付けたセンサーから、呼吸・心拍数や体動情報などを読み取ってデータ発信をおこなう「見守りシステム」は、その場にいなくても端末画面からリアルタイムな状況を確認できます。 利用者の状態に異常があった場合や何らかの動作があると警告音が鳴るため、職員の人数が減る夜間でも効果的な介護をおこなえます。 また、スマートフォンやタブレット端末でも確認できるため、席を外していてもすぐに異常をとらえることができます。 勤怠管理・給与計算システム 「勤怠管理システム」は、訪問介護などで移動が多い職員にも便利な仕組みです。システムを導入したスマートフォンを携帯していれば、訪問先でのサービス終了後にその場で退勤の登録ができます。出退勤の打刻をするために事業所へ戻る必要がなくなるので、職員の負担を軽減できるでしょう。 勤怠管理システムは「給与計算システム」と連動していることも多く、煩雑な給与計算も自動計算で処理できるため、事務作業時間の削減にも繋がります。 施設管理システム 介護施設の売上や居室稼働率の集計、コスト管理などができる「施設管理システム」も、代表的なICT技術のひとつです。 この管理システムは複数人が情報を入力・確認できるほか、入所人数や居室稼働率、空床数などを自動で集計・管理できる機能があります。施設の運営状況がデータとしてわかりやすく表示されるので、稼働率低下の原因なども分析しやすくなります。 また、従来の手動計算や手書き作業にかかっていた時間が減るため、業務時間の削減も実現できます。 介護業界のICT化が求められている背景 介護業界がICT化を進める背景には、人手不足があります。人口減少が加速する日本では、総人口のうち65歳以上の高齢者人口が3627万人(2022年9月15日推計)で、総人口に占める割合は29.1%と過去最高です。今後もさらに高齢化が進むとされており、介護が必要な人が増えていくのにも関わらず、人口減少により介護をする人材はますます不足していきます。 人材不足をカバーするには、業務の省力化や業務の生産性を上げることが重要です。そこで注目されているのがICTの活用です。ICT導入補助制度が拡充されていることからも、国は介護のICT化を促進し、介護現場の負担軽減を目指していることがわかります。 よくある質問 介護のICT技術にはどんなものがありますか? 介護業界で活用されている代表的なICT技術としては、「介護記録システム」「職員同士のコミュニケーションシステム」「見守りシステム」「勤怠管理・給与計算システム」「施設管理システム」があります。これらは、利用者の状態確認や情報共有、職員同士のコミュニケーション、アナログな事務作業などをデジタル化するシステムで、介護現場の業務の省力化に有効です。 介護現場でICT技術を導入するメリットを教えてください。 ICT技術を取り入れるメリットは、手書きでおこなっている記録作業などがデジタル化でき、作業効率がよくなることがひとつです。 また記録した情報はシステムで管理・共有できるため、申し送りなどが不要、あるいは最低限にできるのもメリットといえます。 情報共有のデジタル化は、施設内だけでなく外部の施設や病院との連携をスムーズにする効果もあります。ICT技術を活用すれば、事務的な業務時間を削減できるため、そのぶん介護にあたる時間を増やすことができ、結果的に質の高いサービスの提供にもつながるでしょう。 介護現場でICT技術を導入するデメリットを教えてください。 ICT技術を取り入れる際に考えられるデメリットは、まず導入時のコストがかかることです。 ICT化のためはスマートフォンやタブレットなどの端末をそろえるだけでなく、インターネット環境の整備も必要です。また、デジタル端末は情報漏洩のリスクもあります。操作ミスや脆弱なセキュリティによってデータが流出する恐れがあるため、しっかりとした対策を立てておく必要があるでしょう。 こういったリスクもあるデジタル端末の操作には抵抗感や難しさを感じる職員もいるため、ICT化のメリットも併せて説明し、理解した上で活用してもらうことが大切です。

2023/07/31

介護による腰痛を軽減するには|腰痛の原因と予防法について

介護現場のみならず、家族の介護をおこなうほとんどの介護者が「腰痛を我慢しながら介護するのが精神的にもきつい」と腰への負担を感じながら、毎日続く介護に追われていることでしょう。 そこで今回は、介護による腰痛の原因を知るとともに、腰痛の予防方法や改善方法を紹介していきます。 また、介護現場での腰痛は労災に認定されるかどうかも含め、腰痛に関する不安と負担を軽くするヒントを一緒に見つけていきましょう。 介護をしていると腰痛になりやすい? 介護労働安定センターが発表している「介護労働の現状」を見てみると、30.0%の介護士が「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」と回答しており、介護のプロである介護士ですら、身体的な不安や問題を抱えていることがわかります。 出典:令和3年度「介護労働実態調査」(介護労働安定センター) 介護による腰痛の主な要因 では、多くの介護者が悩む腰痛の原因として、どのようなものが考えられるのでしょうか? ここでは、次のような介護における動作や環境などそれぞれの視点から、介護者の腰に負担がかかる要因をくわしく解説していきます。 腰に負担がかかる動作や姿勢 介護者の知識・技術不足 介護をおこなう環境要介護者の身体状況 腰に負担がかかる動作や姿勢 介護労働が腰痛を引き起こす主な要因は、無理な体勢を長時間維持し、さらには無理な体制のまま力を込めなければならない状況が多いことにあります。 おむつ交換や体位変換、移乗介助などのときは、前かがみや中腰のまま要介護者を抱えなければなりません。また、食事介助時には腰をひねった姿勢で、口元に食事を運ばなければならないこともあり、介護者の腰にはかなりの負担がかかり続けるのです。 介護者の知識・技術不足 介護者に腰痛予防に関する知識や技術がないことによって無理な体勢での動作を続けてしまうことも、腰痛を引き起こす要因のひとつです。 要介護者を力任せに持ち上げたり、無理な姿勢を撮り続けることは、介護者の身体に大きな負担をかけるだけでなく、強い痛みから要介護者を支えきれず、転倒や転落が起こるなど危険な事態をまねく可能性があります。 介護をおこなう環境 介護者の腰痛を防ぎ、安全な介護をおこなう上で大切なことは、正しい姿勢や動作だけではありません。 足元に力が入りにくい風呂場などの濡れた床や不安定な場所はもちろん、どうしても無理な体勢をとらなければならない狭いトイレなど、要介護者を支える介護者の体を強く緊張させる環境も、腰にかなりの負担をかける要因となります。 要介護者の身体状況 要介護者の体格などの身体状況も大きな要因のひとつ。介護者本人の体格や年齢、性別や既往症などの身体状況もまた、腰痛の起こりやすさの起因となります。 要介護者の体格が大きければ大きいほど、介護者の腰にかかる負担は増えていき、体の小さな方や、とくに年齢を重ねて筋肉量や握力の減った介護者にとっては、体にかかる負担が大きくなることは明らかです。 介護による腰痛を軽減する方法 介護をおこなう人であれば、大半が腰の痛みに悩まされることになるでしょう。介護によって腰痛が発生してしまった場合はまず、症状を悪化させないよう、腰の痛みや負担を軽減させなければなりません。 そこでここからは、ストレッチや入浴など、介護者本人が手軽にできる腰痛対策を紹介していきます。 ストレッチや体操をする 負担のかからない体制で休息をとる ゆっくり入浴する 腰痛対策グッズを使う ひどいときは病院・整体に行く 体操・ストレッチをする 腰痛予防や軽減に体操やストレッチをおこない、凝り固まった筋肉を意識的にほぐす習慣を取り入れましょう。 しかし、「正しいストレッチ」をおこなわなければ、十分な効果は得られません。整骨院の先生が配信するストレッチ動画を参考にしてみるのもおすすめです。ただし、腰に強い痛みがある場合は、無理せず安静に過ごしましょう。 負担のかからない体勢で休息をとる 介護の現場で起こる腰痛は急性的なものと慢性的なものに分かれ、それぞれの症状に合わせた対応を覚えておくと安心です。 急な腰痛が起きてしまった場合には、固い床面でひざを曲げて横になり、腰の筋肉を極力動かさないように安静にしましょう。もし横に慣れない環境であれば、壁に寄りかかるなど楽な体制をとると良いでしょう。さらに、痛みのある部分を冷やすと効果的です。 慢性的な腰の痛みがひどい場合には、立ち作業は控えて十分な休息をとることが大切です。就寝時には、横向きに寝て脚を曲げる姿勢をとると腰に負担がかかりません。 ゆっくり入浴する ゆっくりと湯船につかり、凝り固まった腰の筋肉をほぐしてみるのも効果的です。入浴にはリラックス効果もあるので、良い香りの入浴剤や温浴効果が高いものを利用すると、ストレス解消にもつながります。 また、浴槽の中で腰を軽く左右にひねるなどのストレッチを合わせることで、より筋肉のこわばりがほぐれ、痛みを軽減することができます。 腰痛対策グッズを使う 腰に軽い痛みがある場合や違和感を感じるときは、腰痛ベルトやコルセットを使用すると良いでしょう。腰痛ベルトやコルセットを使用すると腰回りの筋肉がサポートされて、痛みが出にくい姿勢がとれます。 ただし、腰痛ベルトやコルセットは、痛みのあるときにだけ使いましょう。常に身に着けていると筋力を低下させてしまう可能性があります。 ひどいときは病院・整体に行く 身動きが取れないほどの痛みや腰に違和感を感じるとき、もしくは足にしびれを感じるときは、迷わず病院を受診しましょう。長期間に渡る腰の痛みは、脊柱管狭窄症や腰のヘルニアを合併している可能性もあります。 毎日の介助でできる腰痛予防 毎日続く介護の中で、腰痛を引き起こす前に予防する、もしくは、起きてしまった腰痛を悪化させない方法を知っておくことも大切です。 ここでは、以下のような「ボディメカニクス」に基づいた介助の知識を習得し、介護にまつわるさまざまな環境や用具の力を活用する方法を紹介します。 「ボディメカニクス」に基づいた介助をする 介助の環境を整備する 福祉用具を活用する 要介護者の力も活用する 「ボディメカニクス」に基づいた介助をする 介護における「ボディメカニクス」とは、「最小限の力で介護ができる介護技術」のひとつで、人間の関節や筋肉、骨が動作する際の力学的関係を利用したものです。 以下にある「ボディメカニクス」の8つの原理に基づいて移乗介助などをおこない、要介護者の身体を最小限の力で動かせるようになれば、腰痛予防につながります。さらには、介護者だけでなく、要介護者の身体にかかる負担も軽減できます。 両足を開いて、体重を支える面積を広くとる 重心を低くする 要介護者と重心を近づける 要介護者の身体を小さくまとめる 全身の大きな筋肉を使う 手前に引く 持ち上げず水平移動をする てこの原理を利用する ...

2023/06/29

親の介護は放棄できる?できない?|介護放棄が起きる原因と4つの対策

「親の介護、すぐにでも投げ出したい」などと、在宅介護に限界を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では親の介護に心身ともに疲れを感じている方に向けて、介護負担を軽減するための情報を紹介します。 公的な介護サービスで割安に利用できるものもあります。それらのサービスを有効に使って、いまの状況を改善するための参考にしてください。 介護は義務?放棄したらどうなる? 親が高齢になると身体機能が弱ってきたり、認知症を発症するなど、介護が必要になります。 急に介護が必要になった場合、子どもがすぐに介護を引き受けるのは困難です。しかし、親の介護は子どもの義務なのでしょうか。放棄したらどうなるのか解説します。 介護放棄は虐待のひとつ 介護放棄とは、介護を必要としている人のケアを放棄していることです。 具体的な例としては、食事をあたえない、汚れたおむつを交換しない、長期間入浴させない、医療機関を受診させない、存在を無視してコミュニケーションをとらないなどです。 虐待の定義には、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待があり、介護放棄はネグレクトに該当します。介護しなければ生きていけない状態だと知りながら介護を放棄した場合は、罪に問われる可能性があります。 家族の介護は義務 家族には、自分の資産や労働だけでは生活を送れない近親者を養ったり、経済的に援助する「扶養義務」があります。 上の図は扶養義務者の範囲を表していて、直系血族および兄弟姉妹と配偶者が該当します。ちなみに子どもの配偶者には扶養義務がありません。 親の扶養義務は子ども全員に等しくあり、親との同居の有無や生まれ順などは関係ありません。 扶養義務は、身のまわりの介護だけではなく、生活費や医療費などの援助も含まれます。そのため、仕事が忙しく介護ができない場合は、金銭的な援助をすることで義務を果たすこともできます。 介護放棄を防ぐための対処方法 介護を1人で担うのは困難。だからこそ、さまざまな協力を得るように心がけたいものです。 以下、介護放棄を防ぐための方法について詳しく解説していきます。 介護の窓口に相談 介護サービスを利用 介護資金の準備 家族・親族と分担 介護の窓口に相談 介護に悩んだときはひとりで抱え込まず、すぐに介護の窓口で相談するのがおすすめ。介護の知識を豊富に備えたスタッフが有益な情報を教えてくれたり、相談に乗ってくれます。 以下、介護のおもな窓口を紹介します。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、介護を必要とする人の日常的な生活支援を提供する施設。介護や医療、福祉などの専門的な知識を持ったスタッフが在籍しており、相談や情報提供、各種手続きなどをおこないます。 運営主体は市区町村で、地域利用者にとって身近な施設となっており、地域福祉の拠点としての役割も果たしています。全国で約5,000ヵ所に設置されています。 自治体の相談窓口 市区町村の役所では、介護を必要とする人に対し、介護保険制度や福祉サービスなどについて相談・情報提供をおこなっています。 利用方法や手続き、費用などについても説明してくれます。電話での問い合わせの際、担当部署がわからなくても、役所の代表番号に電話して要件を伝えれば、担当部署へつないでくれます。また、各地域の社会福祉協議会でも相談ができます。 医療機関 医療機関でも介護の相談に対応している場合があります。病気やケガで入院や通院をしているのであれば、医療機関に相談して介護のサポートを受けましょう。 おもに在宅介護に関するアドバイスや介護技術の指導、介護サービスの提供先の紹介をしてもらえます。医療機関での相談は、疾患や障害に合った適切なアドバイスを受けられます。 介護サービスを利用 居住する市区町村から要支援・要介護状態の認定を受けると介護サービスを受けられるようになります。 自宅に介護スタッフが来てお世話をしてくれたり、施設に通って介護してもらうこともできます。 次の項目では介護サービスについてくわしく説明します。 自宅で介護サービスを利用する 自宅に住みながら受けられる介護サービスはおもに「デイサービス」と「訪問サービス」です。 デイサービスは、要介護者が介護施設で身体機能の維持・向上のための機能訓練をしたり、ほかの利用者と交流する場を提供します。いつも自宅で介護している家族はその間つかのまの自由時間を過ごすことができます。 訪問サービスは、訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。訪問介護は、職員が利用者の自宅に訪問して、入浴、排せつなどの介助や、調理、洗濯、掃除などの家事をおこないます。 介護施設に入居する 介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴が異なります。本人の身体の状況や希望に沿って、適切な施設への入居を検討したいものです。 各種の詳しい説明はリンクから進んでご覧ください。 公的施設 特別養護老人ホーム(特養) 要介護度3以上から入居可能。入浴、食事など日常生活の介助を受けることができる。 介護老人保健施設(老健) 退院直後で在宅生活が難しい要介護1以上の人が対象。リハビリ専門職の指導を受けて、自宅での生活復帰を目指す。 民間施設 介護付き有料老人ホーム 24時間介護スタッフが常駐。介護度別の定額を払うことで、日常生活に関わる介護サービスを受けられる。 住宅型有料老人ホーム 自立・要支援もしくは要介護度が低い高齢者向けの施設。食事や掃除などの生活支援を受けられるほか、外部の介護サービス利用することが可能。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 60歳以上から入居が可能なバリアフリー構造の賃貸住宅。安否確認や生活相談、生活支援などのサービスを受けられる。 グループホーム グループホームとは認知症高齢者のための介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービス。 介護資金の準備 親の介護費用は親の資金でまかなうのが基本になるため、介護が始まる前に親の資産状況を把握しておくことが大事です。 家族にお金の話はしづらいかもしれませんが、資金が足りなければ子どもが資金援助をしなければならなくなるため、親の将来の介護に備えるためと理解を求めましょう。 資産状況を知るためには、次のような項目について教えてもらうと良いでしょう。 保有している銀行口座 年金収入 株式の投資有価証券の有無 生命保険の契約有無 所有不動産の有無 負債の有無 など 介護資金がどうしても足りない場合は 親の介護費用が無い場合は次のような公的な軽減制度を利用することができます。 介護保険料の減免制度を利用する 特定入所者介護サービス費の制度を利用する 高額介護サービス費の制度を利用する 高額医療・介護合算制度を利用する 自治体の助成制度を利用する 生活保護を受給する 親も自分もお金がないという場合は、生活保護の受給も検討しましょう。生活保護を受給している場合は介護サービス費用の自己負担分は介護扶助が支給されるので、自己負担なしで介護サービスを利用できます。 家族・親族と介護を分担 介護にかかる手間と時間や費用を具体的に洗い出して、それを協力しあえる家族や親族で分担することが大事です。 まず、メインで介護をしたり、かかりつけ医師やケアマネジャーとやり取りをする人を決めます。中心となる介護者の負担が大きくなりすぎないように、ほかの家族は資金援助をしたり、週のうち何回か手伝いにきたり、定期的に親に電話をするなど、少しでもできることを考えましょう。 また、家族の勤め先の会社の介護休暇や介護休業、会社独自の介護サポートを使えないかについても調べて積極的に介護に参加しましょう。 介護放棄が起こる理由 介護放棄が起こってしまう理由とは何でしょうか。介護放棄を防ぐためにはまず理由を知ることが重要です。おもな3つの理由について解説します。 介護状況の悪化 経済的負担が大きくなる 介護の負担が集中している 介護状況の悪化 要介護者が歩いたり、軽い手助けで日常生活を過ごせるときは、それほど大きな負担はかかりません。しかし、時がたつにつれ身体機能や認知機能が低下し、身の回りのことが自分で出来なくなると、介護者は身体的にも精神的にも非常に負担が大きくなります。 介護者は気が休まる時間がなくなり精神的に追い込まれ、介護放棄につながってしまいます。 経済的負担が大きくなる 介護保険サービスには要介護度に応じた利用限度額があります。限度内であれば、自己負担額が1割〜2割ですみますが、低所得世帯であれば1割〜2割でも大きな負担になります。 低所得で介護者自身の生活もままならない場合には、親のことまでかまっていられなくなってしまうこともあります。 また、遠方に住んでいる場合には親を訪ねる費用さえも捻出できないという場合があります。 介護の負担が集中している 親との関係が悪く介護をしたくないという人や、親との関係が悪くないのに親の介護をしたくないという人もいます。 親が介護しなければ生きていけない状態ということを知りながら放置した場合は、罪に問われる可能性があるので、親の介護が必要になった場合は地域包括支援センターなどに相談して入居できる施設を紹介してもらいましょう。 よくある質問 介護は家族の義務ですか? 家族はお互いに近親者を養ったり、経済的に援助する「扶養義務」があります。扶養とは、自らの資産や労力だけでは生活を維持できない人に対する援助のことをいいます。親が子どもを扶養するのも、その逆に子どもが親を扶養するのも義務です。身のまわりの世話だけではなく、生活費や医療費などの援助も含まれます。 そのため、仕事が忙しく介護ができない場合は、金銭的な援助をすることで義務を果たすこともできます。 介護放棄が起こる原因はなんですか? 介護放棄が起こってしまう理由はおもに3つあり、1つ目は要介護状態が悪化し介護する人の負担が大きくなることによって、介護する人が心身のバランスを崩して介護をしなくなってしまうケース。 2つ目は所得がもともと多くなかった世帯が要介護者の世話をすることで生活が圧迫されてしまうケース。3つ目はもともと親の介護をしたくないケースです。その場合も施設に預けるなどの方法があるので介護の窓口に相談しましょう。 介護放棄をしないためにはどうしたら良いですか? 介護放棄をしないためには、自己ケアが重要です。介護ストレスや疲れが溜まると、介護者自身が病気やうつ病になってしまうことがあります。 介護に関して悩んだときはひとりで抱え込まず、介護の窓口で相談しましょう。適切なサポートを受けることで、介護が続けられるようになります。 定期的な休息やリフレッシュ方法を見つけることも大切です。介護者本人が健康であることが、介護を続けるための必要条件です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ ...

2023/06/27

ヒートショックは冬場に起きる可能性が高い

ヒートショックとは?|見極めたい症状や未然に防ぐための対策

暖かい場所から寒い場所へと移動した際、急激な温度の変化から身体に影響を及ぼすことをヒートショックと言います。ヒートショックは高齢者を中心に、毎年多くの方が亡くなっています。一方で、しっかりと対策をしていればヒートショックを起こす可能性を格段に下げることができます。 この記事では、ヒートショックによって起きる症状や未然に防ぐための対策を解説しています。 「親が一人で入浴しているから心配…」「万が一のときはどうすれば良いの?」など不安な方は、是非、参考にしてみてください。 ヒートショックとは? ヒートショックは「急激な気温の変化により血圧が上下し、心臓や血管などにダメージを受ける健康被害」を指します。冬場における入浴中の死亡事故は毎年多く、ヒートショックもその要因のひとつと言われています。 出典:「入浴中の死亡者数の推移」(東京都福祉保健局 東京都監察医務院) 出典:「東京 2019年 月ごとの値」(国土交通省 気象庁) では、ヒートショックに至った場合どのような症状が起きるのでしょうか。 以下で解説していきます。 症状 ヒートショックの症状は軽度であれば「立ちくらみ」や「めまい」などが中心で、症状が治まるまで安静にしていれば大事に至ることはありません。しかし、重度になると以下のような症状が出始めます。 頭痛 嘔吐 脱力 胸の痛み 呂律が回らない 意識がなくなる 上記のような症状が出始めた際、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性もあり、最悪なケースとして死に至る場合もあります。 ヒートショックが起きた際は、発症者の身体状況をよく観察し、必要なときは救急車を要請するなどの対応をおこないましょう。 ヒートショックが発生しやすい場所 ヒートショックは、冬場の「脱衣場」「浴室」「トイレ」などの場所で発生しやすいです。 特に冬場は、暖かい場所と寒い場所の温度差が10度以上の場合もあり、急激な温度変化によって急速に血圧が上下します。そのため身体がダメージを受け、ヒートショックに至ります。特に高齢者の場合、暖かい場所から寒い場所へ移動する際は、自宅と言えども細心の注意が必要と言えるでしょう。 ヒートショックを起こしやすい人の6つの特徴 ヒートショックを起こしやすい人には、以下の6つの特徴があります。 65歳以上の人 糖尿病・高血圧・肥満の人 特定の基礎疾患がある人 熱いお風呂を好む人 長時間入浴している人 飲酒後に入浴する人 それぞれ詳細を見ていきましょう。 65歳以上の人 65歳以上の高齢者の場合は、ヒートショックを起こすリスクが高いです。主な原因としては、気温の変化に身体がついていけなかったり血圧を正常に保つための機能が低下したりとさまざまな要因が考えられます。 糖尿病・高血圧・肥満の人 糖尿病・高血圧・肥満といった生活習慣病は動脈硬化を引き起こす可能性があり、ヒートショックを引き起こす要因のひとつです。血管が狭くなっていたり血圧の変動が激しいと心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。 特定の基礎疾患がある人 「睡眠時無呼吸症候群」や「不整脈」といった特定の基礎疾患がある人もヒートショックを起こす可能性があります。生活習慣病と同様に血圧との関連が深い場合は、リスクが高いと言えるでしょう。 熱いお風呂を好む人 熱いお風呂が好きという人は、ヒートショックに細心の注意を払わなければいけません。 熱いお風呂に入ると、一気に血圧が上昇し数分後には急降下します。結果、急激な血圧の変動が起き血管に大きな負担をかけ、最悪の場合、意識障害や失神してしまうこともあります。 長時間入浴している人 長時間の入浴は、血圧の低下を招き、心臓に大きな負担を与えます。30分以上の入浴はヒートショックを引き起こすリスクが高くなるため、10~15分程度の入浴を意識すると良いでしょう。 飲酒後に入浴する人 飲酒をした場合、アルコールによって血圧が下がり、そのまま入浴すると血管が拡張しさらに血圧が下がります。そのため、飲酒後の入浴は急激に血圧が下がっているため、危険な状態だと言えます。 ヒートショックの予防対策【入浴編】 ヒートショックを引き起こさないためには、急激に血圧を上下させないように以下のような予防対策が重要です。 脱衣所と浴室を暖める お風呂やシャワーの温度を低めに設定する かけ湯をする 湯船からゆっくり出る 詳しい内容を見ていきましょう。 脱衣所と浴室を暖める 冬場は脱衣所と浴室が寒いため、浴室乾燥機や小型の暖房機器などで事前に暖めておくと良いでしょう。暖房機器がない場合は、お湯を溜めた後に浴槽の蓋を開けておくと脱衣所、浴室ともに暖まります。 お風呂やシャワーの温度を低めに設定する お風呂やシャワーの温度を38~40度程度に低く設定しましょう。温度を低くすることで心臓への負担を避け、ヒートショックを未然に防ぐことができます。 また、長時間の入浴はヒートショックを引き起こす可能性が高くなるため、10~15分ほどで出ることを意識しましょう。 かけ湯をする いくら浴室を暖かくしていても、いきなり湯船に浸かるのは身体に大きな負担を与え、ヒートショックを招く可能性があります。そのため、湯船に浸かる前には必ず手足からかけ湯をおこない、お湯の温度に身体を慣らす必要があります。 湯船からゆっくり出る 湯船に浸かっているときは、身体が暖められ血圧が低下している状態です。その状態で急に立ち上がると、めまいを起こしたり失神してしまうこともあります。そのため、湯船から出る際は、ゆっくり立ち上がることを意識しましょう。 ヒートショックの予防対策【トイレ編】 ヒートショックが引き起こされるのは、脱衣所や浴室だけではありません。トイレでも起こる可能性があるので以下のような事前の対策が必要です。 暖房機器を設置する いきみすぎないように注意する 詳しい内容を見ていきましょう。 暖房機器を設置する トイレも脱衣所や浴室と同様に、暖房機器がなく寒い空間であるケースが多いです。しかし近年では、暖房便座や足元に置くヒーターなどを始めとし、人感センサー付きのヒーターやヒーター一体型の天井照明などが数多く販売されています。このような暖房機器を活用して温度差をできるだけ少なくすることがヒートショック対策として重要です。 いきみすぎないように注意する 排便の際に、長い時間いきみすぎてしまうと血圧が上がり、心臓への負担が大きくなります。 また、排便後は血圧が急激に下がるため、急速な血圧の変動に耐えれずヒートショックが引き起こされる可能性があります。対策として、便秘にならないように普段の食生活を見直す手段が挙げられます。 ヒートショック状態の人への対処法 ヒートショックが起きた場合、軽度であれば水分補給をおこなうなどして安静にすることが重要です。ただし、状態が悪化したり明らかに重度の症状が出ている場合は、速やかに救急車を呼びましょう。 浴槽内で気を失っていたり、ぐったりしていた場合は浴槽のお湯を抜き、可能であれば浴槽から引き上げて救急車が到着するまで安静にしていることが大切です。 また、救急車を呼んだ際に救急隊員よりその後の指示を受ける場合もあります。その際は、指示に従い、適切な処置をおこないましょう。 ヒートショックに関するよくある質問 ヒートショックはどんなときに起こりますか? ヒートショックは室内の温度差が原因で起こり、特に冬場の暖かい部屋から寒い部屋へ移動した際などに発生します。主に発生場所として挙げられるのが「脱衣所」「浴室」「トイレ」です。 ヒートショックになるとどうなりますか? 急激な血圧の上下に伴い、ヒートショックが発生すると脳出血、脳梗塞、心筋梗塞などにより意識を失う可能性があります。特に浴槽内でヒートショックが起きた場合は、溺れてしまう危険性もあるため、湯船に浸かる際はかけ湯をおこない、ゆっくりと浸かりましょう。 ヒートショックは何月に多いですか? 1月をピークに11~4月の冬場に突出して多いです。理由としては、暖かい部屋と寒い部屋の温度差が激しいことが挙げられます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "ヒートショックはどんなときに起こりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/09/07

高齢者を災害から守るため日々の備えが必要

高齢者を守る災害への備え|災害時に直面する問題と必要な対策

地震や台風、豪雨による土砂崩れなど自然災害が頻繁に起こる日本では、災害に対する日々の備えが必要です。特に高齢者は、万が一の際に若い世代とは違い身動きがとりにくく、逃げ遅れてしまう危険性もあります。では、高齢者を災害時に守るためにはどうしたら良いのでしょうか。 この記事では、災害時に高齢者が直面する問題や災害への備えを解説しています。 「災害に対してどんな備えをしたら良いかわからない…」「いざ災害に見舞われたらちゃんと対応できるだろうか…」などと不安な方は、是非、参考にしてみてください。 災害時に高齢者が直面する問題 災害が発生すると高齢者のみでは必要な情報が得られず、避難の際に遅れをとってしまう可能性があります。以下では、災害時に高齢者が直面する問題をまとめました。 必要な情報が手に入りにくい 災害時に情報を得る手段は、新聞やテレビ、ラジオやインターネットなどが挙げられます。しかし、災害の種類によっては情報収集の手段も限られてきます。特に一人暮らしをしている高齢者にとっては、普段情報を得ている手段が使用できないとなると強い不安感を抱くでしょう。 危機意識が低くなりやすい 「自宅にいれば安心だろう」「近所も避難していないから大丈夫だろう」などと災害を経験したことがない場合は危機意識が低くなりがちです。そのため、危機意識を高めるためには日頃からハザードマップや避難経路の確認が重要です。 自力で避難ができない 介護が必要な高齢者の場合は、災害時に自力で避難ができない方も多く、逃げ遅れてしまう可能性もあります。また、自力で避難ができる方でも長距離の移動が困難であったり避難途中で転倒してしまうケースなども考えられます。 避難生活に対応できない 災害の種類や規模によっては、住み慣れた自宅を離れ避難生活を余儀なくされるケースもあります。慣れない環境での生活は強いストレスを抱え精神的に参ってしまうことも中にはあるでしょう。 また、避難生活が長引くことで精神的バランスが崩れ、持病の悪化や認知症の進行を招く可能性もあります。 災害に対する備え 災害が発生したときは誰もがパニックに陥り、冷静に物事が判断できない可能性が高いです。 特に高齢者は若い世代とは異なり、素早く身動きが取れなかったりパニックで転倒してしまうリスクも高いです。そんな事態に陥らないためにも日々の備えが必要です。以下では、災害に対する備えをまとめました。 「避難場所」や「避難経路」を知っておく 災害が発生したときにどこに避難したら良いか、どの経路を辿っていけば良いのかを事前に把握しておくと、いざというときに落ち着いて避難することができます。 また避難経路に関しては、災害の種類により目的の経路が使用できない場合もあります。そのため、避難経路はひとつに絞るのではなく複数用意しておくことが大切です。 家具・家電を固定する 地震のような災害に備えて家具・家電を固定するのも備えのひとつです。家具や家電が倒れると大きな怪我につながる可能性もあり、それによって避難が遅れるケースも考えられます。 そんな状態に陥らないためにも、本棚や冷蔵庫などの大きい物は優先的に固定しておくと良いでしょう。また、家具や家電が倒れた際に逃げ道を塞ぐことがないように配置に関しても見直しておく必要があります。 備蓄品の確認をする 災害が発生すると一時的にライフラインがストップしてしまい、必要なものが手に入りづらい状況になります。 特に高齢者の場合は、遠くまで買い物に行くことや支援物資を取りに行くことができないケースも考えられます。そのため、普段からある程度の水分や食料、生活必需品を準備しておく必要があります。 また高齢者の場合は、とろみ剤や経管栄養剤、おむつや薬などが別途必要になる場合があります。速やかに避難できるように介護関連の備蓄品の確認もしておくと良いでしょう。 緊急連絡先を確認しておく 災害はいつ起こるかわかりません。そのため、災害時に避難することを想定して緊急連絡先を確認しておくことが大切です。家族や親戚、知人の連絡先を把握しておくことはもちろんのこと、高齢者の場合はケアマネジャーや地域包括支援センターなどの連絡先も確認しておく必要があります。 防災訓練に参加する 地域で実施される防災訓練に参加することも災害に対する備えです。防災訓練に参加することによって、いざというときに冷静に行動することができ、命を守ることにもつながります。 また、災害時は近所同士の助け合いが必須です。地域の防災訓練に参加することで、災害に対しての危機意識を共有でき、近所とのきずなを深めることにもつながります。 災害に対する備えに関するよくある質問 高齢者が災害時に陥る問題はどんなものがありますか? 介護が必要な高齢者の場合は、自力で避難できない可能性があります。また、避難先では多くの人がいるため、慣れない環境で持病の悪化や認知症の進行を招く可能性があります。 災害に対しての備えはどんなことをしておくと良いですか? 日頃から避難場所や避難経路、備蓄品の確認をしておくことが重要です。また、地震などの災害時には家具や家電が倒れる可能性もあるため、本棚や冷蔵庫などの大きい物は固定をし、避難経路を確保しておく必要があります。 高齢者におすすめの防災グッズは何ですか? とろみ剤や経管栄養剤、老眼鏡や入れ歯洗浄シートなどを防災袋に入れておくと安心です。また、おむつや杖などは普段使用していなくても万が一の際に役に立つので入れておくと良いでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "高齢者が災害時に陥る問題はどんなものがありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/07/29

老人ホームの入居を拒否するのにはさまざまな原因がある

老人ホームへの入居拒否|「施設に入りたくない」と言われたときの対処法と原因

「自宅での介護が大変で親に老人ホームの入居を勧めてみたが、拒否されてしまった」「何故、自宅から離れなくてはいけないんだと言われてしまった」など老人ホームへの入居に拒否を示すケースは多いです。では何故、老人ホームへ入居したくないのでしょうか。 この記事では、老人ホームへの入居拒否が起こる原因と対処法を解説しています。 「親が老人ホームの入居に関して一切話しを聞いてくれない…」などと悩んでいる方は、是非、参考にしてみてください。 入居拒否を解消する方法 いくら老人ホームに入居してほしいからと言って、本人の意思を無視して強制的に入居させることは絶対にしてはいけません。以下では、老人ホームへの入居拒否を解消する方法をまとめました。 本人の気持ちをすべて話してもらう 老人ホームの入居に関して本人の意思を聞こうとせず、家族だけで話を進めるのは絶対にやめましょう。 家族間でのトラブルを避けるためにまずは、「何故、入居したくないのか」「どうやって生活したいのか」などと本人の気持ちをすべて話してもらうことが大切です。 最初はお互いに感情的になってしまい話がうまく進まないこともあるでしょう。しかし、時間をかけて丁寧に説明したり質問の仕方を変えてみたりすることで、徐々に本人も自身の気持ちを打ち明けてくれることでしょう。 老人ホームの良さを説明する 本人が老人ホームという場所に関してあまり良いイメージを持ってないのであれば、老人ホームの良さをわかりやすく説明する必要があります。 例えば、自宅とは違い快適に過ごせる点を伝えたり、イベントやレクリエーションなどが豊富にあるということを説明したりすると魅力を感じてもらいやすくなるでしょう。 実際に老人ホームの良さを感じ取ってもらうには見学が一番です。しかし、いきなり見学へ行こうと言っても、抵抗を示す方も多いことでしょう。そんなときは焦らずに、具体的にイメージできる老人ホームのパンフレットを見ながら説明するとイメージできる可能性があります。 また、高齢者の中には「1度老人ホームに入居すると、自由に外出できない・家族に会えない・転居できない」というイメージを持っている方も少なくありません。入居後も変わらず家族との交流や外出、転居もできることを伝えると安心感につながるでしょう。 医師やケアマネジャーに相談する 家族だけでは老人ホームの入居を説得できない場合は、医師やケアマネジャーに相談するのも良いでしょう。特に医師の言うことであれば素直に聞き入れる高齢者も多いです。「老人ホームに入居できることは幸せなことですよ」などと医師の口から本人へ伝えてもらうのが効果的です。 家族ではない第三者が老人ホームの入居に関して伝えることで納得するケースは多々あります。 大切なのは「本人・家族だけでなく、専門職も交え話し合いをする」ことです。それぞれのさまざまな思い、意見がある中で、できることは話し合いと言えるでしょう。 「どうすれば良いか分からない」と迷ったときは、ケアマネジャーをはじめ、専門職に相談すると良いでしょう。 家族が本人の幸せを一番に願っていることを伝え続ける 老人ホームに入居することは家族に見捨てられることと思い込んでしまい、入居拒否に至っている可能性が高いです。そんな誤解を解くためには、「お父さん・お母さんの幸せを一番に考えている」といった言葉を伝え続けるのが良いでしょう。 また老人ホームに入居してもいつでも会えるということを伝え、本人に安心感を与えることも大切です。 入居拒否が起こる原因 老人ホームの入居を拒否する背景には、本人のさまざまな思いがあります。では、どんな思いが老人ホームの入居拒否へとつながっているのでしょうか。以下では、入居拒否が起こる原因をまとめました。 自宅を離れたくない 老人ホームの入居を拒否する原因として、自宅を離れたくないという理由は多いです。「住み慣れた自宅に愛着がある」「環境の変化が怖い」などと理由はさまざまで、未知の生活に比べれば、不便でも現在の場所で生活していきたいと思う方が多いようです。 介護が必要だと認めたくない 「自分は認知症ではない」「自分のことは自分でできるのに家族が勝手に介護している」など、本当は生活する上で支援や介護が必要な状態なのにも関わらず、その状態を認めたくないという方もいます。自身の身体状況を受容できない場合は、老人ホームへの入居を拒否するケースが多いです。 老人ホームに否定的なイメージを持っている 入居後は自由がない、集団生活を強いられるといった否定的なイメージを持っている人が多く、それが理由として老人ホームへの入居を拒否しているケースが考えられます。 また、メディアなどで老人ホームのイメージを悪くするニュースも昨今では見受けられます。 ただ実際には、そのような施設はごく一部であり、ほとんどの施設は本人のためを思い親切な介護を心がけています。 家族に見捨てられるという不安を抱いている 「家族が自分を見捨てて老人ホームに入居させようとしている…」などと考え、寂しさや不安を感じ老人ホームの入居を拒否している可能性があります。「親の介護は子どもがおこなうべき」という考え方は少なからず残っている場合もあるため、このようなケースはいかに本人を安心させることができるかがポイントです。 拒否されても叱ってはいけない 家族とはいえ、何度も拒否されるとついイライラしてしまい、穏やかなままではいられないことも。「なんで老人ホームに入ってくれないの!」「自宅では面倒見れないの!」などと強い口調になってしまうこともあるかもしれません。 そのようなときは、本人のペースや意思を尊重して、気持ちに寄り添い、優しく接しましょう。焦らずゆっくりと時間をかけて話しをすることで、良い結果が生まれる場合もあります。 老人ホームへの入居拒否に関するよくある質問 老人ホームの入居拒否は何が原因で起こりますか? 「住み慣れた自宅から離れたくない」「自分に介護は必要ない」「家族に見捨てられる」といった理由で入居拒否が起こるのが大半です。入居したくない原因を突き止め、本人とじっくり話し合いをすることが重要です。 老人ホームの入居拒否を解消するためにはどうすれば良いですか? まずは本人の気持ちをすべて話してもらうことから始めましょう。「何故、入居したくないのか」「これからどうやって生活していきたいのか」など時間をかけて話し合うことが大切です。また、老人ホームに入居してもいつでも会えるということを伝え、本人に安心感を与えることも重要です。 家族の話を全く聞き入れてくれない場合はどうすれば良いですか? 家族だけでは老人ホームの入居を説得できない場合は、医師やケアマネジャーに相談するのも良いでしょう。特に医師の言うことであれば素直に聞き入れる高齢者も多いです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "老人ホームの入居拒否は何が原因で起こりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/07/27

老人ホームの転居をする理由は人それぞれ

老人ホームの転居はアリorナシ?|探し方や注意したい3つのポイント

十分に検討をして入居した老人ホームであっても、実際に入居して生活してみるとさまざまな問題が浮き彫りになり、他の老人ホームへ転居したいと希望するケースがあります。 この記事では、老人ホームを転居するときに注意したいことや探し方を解説しています。 「今の老人ホームの対応に不満があって転居したい…」「親を転居させたいんだけど次の入居先が中々決まらない…」など悩んでいる方は、是非、参考にしてみてください。 転居をする理由 「思っていた老人ホームと違った」「老人ホームにいられなくなってしまった」など、転居の理由は人によってさまざまです。以下では、転居をする理由をまとめました。 身体状況の悪化 身体状況が悪化すると、要介護度が上がったり医療的ケアが必要になったりと、施設によっては転居を余儀なくされるケースがあります。その背景には、施設に設備が整っていない場合や対応できるスタッフがいないといったことが挙げられます。 人間関係への不満 「介護スタッフが冷たい態度をとる」「ほかの入居者とトラブルになった」など、老人ホーム内での人間関係が発端となって転居を希望するケースもあります。共同生活を送る老人ホームではこういった問題が度々起こります。 金銭的負担が増加 「毎月の費用の支払いが厳しくなった」などの金銭的な理由で転居を考える方もいます。介護保険サービスの利用が増え金銭的に厳しくなったり、援助してくれる家族の経済状況が変化したりと、費用の支払いが厳しくなる理由は人によって異なります。 立地や設備に対しての不満 ホームページやパンフレットで見ていた居室が、実際に入居してみると思ったより狭く感じられ、不便さから転居を希望するケースがあります。 また、定期的に老人ホームへ訪問している家族にとっては立地の問題も気になるでしょう。老人ホームの場所が遠ければ通いづらく、家族が親の転居を考える場合も多いようです。 転居先を探す 転居先を探す場合に一番重要視するのは、転居する理由を解消できるかどうかでしょう。転居をするということはそれなりの理由があるはずです。今の老人ホームに欠けている点を明確にし、希望条件を整理することが転居先を探すスタートと言えます。 では具体的に転居先を探すことになった場合、どういった手段で探せば良いのでしょうか。 以下では、転居先を探す手段をまとめました。 自分で探してみる 主にインターネットに掲載されている情報や施設パンフレットをもとに、自分で転居先を探します。特にインターネットでは、施設の口コミや評価などを確認でき、情報収集がスムーズにおこなえるでしょう。 ケアマネジャーに相談する 入居中の老人ホームのケアマネジャーに相談をして転居先を決めるのも一案です。ケアマネジャーは介護に関する知識のみならず、老人ホームの情報も持ち合わせています。入居中の老人ホームのケアマネジャーに転居の相談をするのはためらいがありますが、一度、相談してみるのも良いでしょう。 老人ホームの紹介センターを活用する 老人ホームの紹介センターでは全国の情報を網羅しているため、広範囲の老人ホームを探すのに便利です。電話や対面相談だけでなく、メールでの相談を受け付けている場合も多く、気軽に相談ができるでしょう。 なお、老人ホームの紹介センターは施設からの手数料で運営しているため、利用者側の負担はなく無料で紹介してもらえます。 退去手続き 転居先の老人ホームが決まり次第、速やかに今の老人ホームの退去手続きをおこないましょう。退去の手続きは、原則として各老人ホームが設けている規定に基づきおこなわれますが、基本的には「退去予定日の1カ月前までに申し出る」というのが一般的です。 ただし、認知症の進行や要介護度が上がったことによる、老人ホーム側からの退去勧告の場合は猶予期間が設けられる場合もあります。 転居する際に注意したい3つのこと 老人ホームを転居する際に注意したいことは以下の3つです。 転居を決断する前に相談をする入居金の返還があるか確認する原状回復費用が発生するのか確認する 転居を決断する前に、まずは老人ホームのケアマネジャーや生活相談員、施設長などと現状、不安や不満に感じていることを話し合いましょう。 また、転居する上で入居金の返還や居室の原状回復費用に関しての金銭トラブルはよくあるケースです。施設側と揉めないためには、契約内容を確認しておく必要があります。 転居を決断する前に相談をする 老人ホームの転居は手間と時間がかかり、入居者本人や家族に大きな負担をもたらす可能性があります。そのため、どのような理由で転居を考え始めたかにもよりますが、まずは転居を考えるのではなく転居したい理由を解決できるか施設のケアマネジャーや施設長に相談すると良いでしょう。 老人ホームの規模によっては「苦情相談窓口」「お客様相談センター」のような窓口を設けていることもあります。直接、施設スタッフに相談しにくい場合は、そのような窓口を利用することで悩みを解決できる場合もあります。 入居金の返還があるか確認する 老人ホームに入居する際に入居金を支払っている場合は、居住期間によって入居金が返還されます。入居後すぐに合わないと感じたり体調の変化により入院したりと、契約から90日以内に解約する場合は、クーリングオフにより入居金が全額返還されます。 一方で契約から90日を過ぎてから解約する際は、契約に基づいた初期償却と償却期間によって計算され、入居金の一部が返還されます。以下、計算例をまとめました。 上記のケースでは、600万円のうち初期償却の180万円は入居後すぐに退去しても戻ってこない金額です。残りの420万円を償却期間で等分すると1カ月7万円となり、この金額が毎月賃料に当てられます。 入居後5年以内は償却が終わっていないため、この間の退去では入居時費用から初期償却額と毎月償却された額を引いた金額が返還されます。仮に2年目に退去した場合は、252万円が返還される計算です。 原状回復費用が発生するのかを確認する 老人ホームを転居する際は、利用していた居室の原状回復費用がかかるかを確認する必要があります。入居者側が負担するのは、造作の変更(新たにドアや棚を設置するなど)や「車椅子を壁にぶつけて壁紙を破いてしまった」などの入居者の過失による損傷の部分です。 一方で経年劣化や通常の使用による損耗は施設側で負担します。 ただし原状回復費用は、どこまでが入居者側の負担になるか線引きが難しくトラブルになるケースも多々あります。 老人ホームの転居に関するよくある質問 転居をする理由はどんなものがありますか? 「入居者の身体状況の悪化」「人間関係への不満」「金銭的負担の増加」「立地や設備に対しての不満」などが主に挙げられます。特に身体状況が悪化したことにより、介護保険サービスの利用が増え金銭的負担が増加したというケースが多く見られます。 転居に関しての相談は誰にすれば良いですか? 施設の転居に関する相談は、ケアマネジャーや生活相談員、施設長にすると良いでしょう。 直接、施設スタッフに相談しにくいという方のために「お客様相談センター」を設けている運営会社もあります。 施設側から転居を促されることはありますか? 身体状況が悪化し施設の設備や人員不足により対応できない場合や、認知症の症状による暴力・徘徊・被害妄想が酷いケースは施設側から転居を促される場合があります。3カ月以内などある程度の目安を施設の担当者から告げられます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "転居をする理由はどんなものがありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2022/07/04

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介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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