介護施設への入居を考えたとき、「介護付き有料老人ホーム」が候補のひとつに挙がると思います。
普段の生活の中で医療のサポートが必要な場合、入居する施設の医療体制が気になるところ。介護付き有料老人ホームでは、看護師は配置されているのでしょうか。また、介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアはどんなものがあるのでしょう。
この記事では、介護付き有料老人ホームでの看護師の人員基準や、施設で受けられる医療ケアを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
Contents
主な介護施設の看護師と医師の人員配置、医療体制の一覧です。
施設の種類 | 看護師の配置義務 | 医師の配置義務 | 医療体制の充実度 |
---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | あり | なし | 施設による |
住宅型・健康型有料老人ホーム | なし(任意) | なし | 施設による |
グループホーム | なし(任意) | なし | 充実していない |
老人保健施設 | あり | あり | 充実している |
特別養護老人ホーム | あり | あり(非常勤可) | 施設による |
看護師と医師の配置義務や、医療体制の充実度は施設によってさまざまです。
例えば、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)には医師の配置義務がありますが、有料老人ホームにはありません。また、介護付き有料老人ホームは看護師の配置義務はありますが、対応できる医療的ケアは施設により異なります。
看護師の配置人数にも規定があります。看護師の人員基準について見てみましょう。
看護師の人員基準は、介護職員との合計で配置する人数が決められています。介護職員・看護師の人員基準の最低人数は、施設の入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10に対して1人です。
このうち、看護師の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護師の配置が必要です。
介護付き有料老人ホームには、看護師以外、以下の職員の配置が義務づけられています。
それぞれの職員の詳しい配置人数と仕事内容を見てみましょう。
施設経営の責任者で施設の運営を担います。施設長などの管理者は、施設ごとに1人必要です。
入居者や家族からの生活上の相談に乗ったり、行政的な手続きをおこないます。常勤で1人以上(要介護者100人以上の場合は、100人に対して1人以上)の配置が義務づけられています。
介護職員は、看護師との合計で配置する人数が義務づけられています。施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人です。
機能訓練指導員は、以下のいずれかの資格取得者が従事します。
利用者ごとの身体機能に合わせたリハビリプランの作成や実施をおこない、施設ごとに1人以上の配置が義務づけられています。
介護保険を使ったサービスを利用するための利用計画書「ケアプラン」の作成や、プラン通りに実施されているかをチェックします。
施設ごとに1人以上の配置義務がありますが、小規模の施設では管理者や介護職員などと兼務していることも多いです。
ほかにも、人員配置の義務がない職員もいます。例えば、入居相談員や事務員など。食事に力を入れている施設であれば、栄養士や調理員がいる場合もあります。
施設の人員基準に「3:1」という数字があります。「3:1」というのは、施設の入居者に対して配置される職員の人数です。施設の人員配置の項目が「3:1」とあれば、入居者3人に対し、介護職員または看護師が1人配置されているという意味です。
職員の人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」のように、「3:1」の前項の数字が小さくなるというのは、1人の職員が対応する入居者の人数が少ないということ。1人の職員が対応する入居者の人数が少なければ、その分、目が届きやすくなるのでケアが手厚くなります。
北海道(札幌市)|青森県|岩手県|宮城県(仙台市)|秋田県|山形県|福島県
東京都|神奈川県(横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県(さいたま市)|千葉県(千葉市)|茨城県|栃木県|群馬県
愛知県(名古屋市)|岐阜県|三重県|静岡県(静岡市 / 浜松市)
大阪府(大阪市 / 堺市)|京都府(京都市)|兵庫県(神戸市)|滋賀県|奈良県|和歌山県
岡山県(岡山市)|広島県(広島市)|鳥取県|島根県|山口県|徳島県|香川県|愛媛県|高知県
これまでに解説した介護付き有料老人ホームの人員基準は日中に限られます。夜間は介護職員または看護師が1人以上いれば良いとされています。
介護付き有料老人ホームで夜間に配置されている職員は平均3.1人です。夜間はほとんどの入居者が眠っており、見守りや急病への対応、トイレの誘導など、職員による入居者へのケアの人手が日中ほど必要ないと考えられているため、日中より少ない人員でも良いのです。
出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省)
また、介護付き有料老人ホームの夜間に配置されている職員は介護職員であることがほとんど。夜間に看護師が配置されている介護付き有料老人ホームは、全体の約2割ほどです。施設に看護師がいない時間帯は、訪問看護ステーションなどの医療機関と連携体制を取っている施設が多いです。
出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省)
夜間に看護師が配置されていない施設では、夜間の医療行為ができません。人工呼吸器や在宅酸素を常時使用しているなど、夜間にも医療行為が必要な場合は、夜間にも看護師が配置されている施設への入居を検討する必要があります。
介護付き有料老人ホームでは、看護師から医療行為を受けられるほか、介護職員からも一部の医療行為を受けられます。
看護師、介護職員、それぞれから受けられる医療行為を見てみましょう。
介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、専門性を必要としない医療行為を受けられます。
看護師が提供可能な医療行為には、次のようなものがあります。
ただし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や時間帯などが異なるためです。
介護職員は、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が「医療行為に含まれない」としているため、介護職員から医療行為として受けられます。
加えて、喀痰吸引等研修を受けた介護職員は、以下の実施が認められています。
介護職員が痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養をおこなうためには、施設が都道府県に対して医療行為を実施できる施設と登録をしている必要があります。また、設備や医療体制が整っていなければ、入居者は痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養は受けられません。
介護付き有料老人ホームは施設によって医療体制や設備がさまざまなので、身体状況に合った医療体制が整った施設を選ぶことが大切です。
医療体制強化のための取り組みはさまざまですが、以下の条件に合う施設は医療体制が充実しているといえます。
それぞれ解説しますので、医療体制が充実している施設を探すときの参考にしてください。
同じ建物や敷地内に病院やクリニックが併設していれば、急な体調変化にも迅速に対応してもらえます。いざというときも普段から診察を受けている医師に診てもらえるため、すぐに適切な処置が受けられます。
また、入院設備のある病院が併設している場合は、入院が必要になった際も連携がスムーズで、優先的にベッドを確保してもらえるのもメリットもあります。
介護付き有料老人ホームでは、看護師の常駐が義務づけられています。しかし、夜間の配置義務はないため、看護師による医療行為は日中のみというのが一般的です。
看護師が24時間常駐する施設では、夜間や早朝でも胃ろうや痰の吸引、インシュリン投与や点滴などの医療行為を受けられます。
ただし、医療行為が必要な方でも安心して入居できる反面、費用は高くなります。
医療法人が運営している介護付き有料老人ホームでは、関連病院から医師が往診に来るため夜間に体調が急変したときなども安心です。
また、職員は病院でおこなうような研修を受けている場合が多く、一般的な介護施設の職員よりも医療の知識や技術を身につけている可能性が高いです。
運営母体が医療法人の老人ホームを見学する際は、病院との連携や職員の研修についても質問してみましょう。
看護師の人員基準は、介護職員との合計で配置する人数が義務付けられており、施設の入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10に対して1人です。このうち看護師の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中は1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護師の配置が必要です。
介護付き有料老人ホームの夜間の人員基準は日中の人員基準の「3:1」より少なくても良いとされています。そのため夜間の人員配置は平均3.1人です。介護付き有料老人ホームの夜間に配置されているスタッフは介護職員であることが多く、夜間に看護職員が配置されている施設は全体の約2割です。
介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、インスリン注射、痰の吸引、在宅酸素や人工呼吸器の管理など、提供可能な医療行為もあります。しかし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。
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