認知症の中で最も多いと言われるのがアルツハイマー型認知症。「アルツハイマー」という言葉だけでも聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、アルツハイマー型認知症ではどのような症状が出るのか?その原因や具体的な症状、予防法について解説していきます。
Contents
認知症は症状によって3つのタイプに分類されます。そのうちのひとつがアルツハイマー型認知症で、そのほかの認知症にはレビー小体型認知症と脳血管性認知症があります。
アルツハイマー型認知症は全体の約4割を占めると言われ、認知症の中でも最も多いタイプ。完全に治す治療法は現在のところ見つかっていません。
アルツハイマー型認知症の原因は所説ありますが、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。
症状が進行すると自分がしたことをすべて忘れてしまう記憶障害や、物事を順序立てておこなうことが難しくなる実行機能障害などが起き、日常生活を送るのが難しくなります。
認知症の症状には「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つがあります。中核症状とは認知症の典型的な症状のことで、行動・心理症状(BPSD)は中核症状が起こることによって引き起こされる二次的な行動・心理的な症状のことです。
中核症状はある程度定型化しているのに対し、行動・心理症状(BPSD)は認知症の進行度合いや周囲との関係性、本人の生活などにより、症状もさまざまです。
代表的な中核症状や行動・心理症状(BPSD)について詳しく見ていきましょう。
中核症状とは認知症になると症状としてあらわれるもので、主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」の4つがあります。
症状としてはっきりしているので、中核症状の内容を知っていれば「認知症かも?」と早めに気づいて、早めに治療することができます。
記憶障害はその名の通り、「ものを覚える」ことができなくなる障害のことです。「もの忘れ」とも似ていますが、食べた料理を忘れることがもの忘れなら、食べたこと自体を覚えていないのが記憶障害の状態です。
見当識障害は、主に時間と場所がわからなくなる状態のことです。
いまが何月何年なのか、ここはどこなのかということがわからなくなります。季節感もなくなるので、冬なのに薄着をしたり、夏なのにコートを着ようとするといった症状が見られます。
実行機能障害になると、食材を買い物して、料理を作るという物事の段取りがたてられなくなったり、なにかを計画することが難しくなります。いくつかの工程を経る動作に加えて、複数の動作を同時にこなすこともできません。
それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行と言います。
テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示どおりに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。
行動・心理症状(BPSD)はアルツハイマー型認知症に見られる症状ですが、中核症状のように一律に症状がでるわけではありません。症状は人によって異なりますが、自分が忘れたものを盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」や、「介護拒否」などがよく見られます。
アルツハイマー型認知症になると、早い段階で記憶障害の症状があらわれます。
特徴として、昔のことはよく覚えているのに、最近のことを覚えられない傾向にあります。たとえば食事をしたのに、すぐに食べたことを忘れてしまい、また食べようとするといった事例も。
いまの時間に対する意識が混乱するような症状を見当識障害といいます。
時間帯や日時、季節などがわからなくなり、朝起きたばかりなのにお風呂に入って寝ようとしたり、夏なのに厚着をしだしたりします。
物事を順序だてておこなうことが難しくなる症状のことです。
ご飯を研いで、炊飯器にいれて、炊飯器をセットするというような複数の工程をこなすことができなくなるので、日常生活に大きな支障がでてしまいます。
自分がいる場所が理解できなくなり、家の近所で道に迷ったり、わからないまま遠くへ行ってしまうこともあります。
トイレやお風呂といった家の中の場所についてもわからず、パニックになることも。
テレビのスイッチの切り方や洋服の着脱の仕方など、今まで当たり前にできていた簡単なことができなくなることを「失行」といいます。
初期は本人も周囲も認知症だという認識がないので、大変戸惑い、自信をなくしてしまったり、傷つくケースが見られます。
次第に言語能力も低下するので、的確な言葉で自分の状態や気持ちを伝えられずに、暴言やうつ症状を引き起こすこともあります。早めに気づいて、病院に連れて行くといった対応が大切です。
後期になると歩行したり、食事をしたり、排泄するといった生きていくために必要な動作が自力ではできなくなります。そのため生活の大部分は寝たきりになったり、つきっきりの介護や医療支援が必要になってきます。
言語能力が後退し、会話をすることも難しくなってきます。しかし一方で、喜怒哀楽などの感情は残っているので、本人の気持ちを尊重し、人間としての尊厳を守る介護をしていかなければなりません。
アルツハイマー型認知症の家族がいるときは、まずは家の中の環境整備が大切です。
認知症になると、それまで自力でできていたこともできなくなったり、家の中の場所がわからなくなります。トイレまでの道筋に矢印のマークをつけたり、何の場所かわかるように「トイレ」「お風呂」といった文字をはっておくのも良いでしょう。
また家の中の不要な段差をなくしてバリアフリーを意識したり、手すりをつけるといったリフォームも有効です。
どのような環境なら快適に過ごせるか、本人の意思も尊重しながら対応していきましょう。
アルツハイマー型認知症になると本人も自分はどうなっていくのか不安と混乱を抱えることになります。そのような時に、大声で叱ったり、頭ごなしに否定するような対応をしてはいけません。なるべく本人が不安に感じないように、本人の話をしっかり聞いて、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。
もし食事をしたことを忘れているようなら、「もう食べたでしょ」というようなことは言わずに、軽食やお菓子をだしてあげるのもいいでしょう。また、あらかじめ食事の量を半分にしておいて、残りをあとからだすという方法もあります。
アルツハイマー型認知症は、不安やストレスを強く感じると症状が悪化してしまうこともあります。逆に「自分は大丈夫」「問題ない」と思える対応を続けることで、進行を抑えられる可能性が高くなります。
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認知症かどうかの判定は専門の病院で検査しておこないます。認知症の検査では「面談」「身体検査」「認知症検査」が行われます。まず面談では本人と家族に、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングをおこないます。
次に身体検査でレントゲン、血液検査、尿検査、血液検査などをおこないます。これは認知症と併発しやすい病気の有無や、身体の状態を確認するのが目的です。
認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。脳画像検査はCTやMRIで脳の状態を撮影。アルツハイマー型認知症の場合、脳の萎縮や変形が見られます。
神経心理検査は実際に絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。神経心理学検査が一定の水準を下回ると認知症の判断が下されます。
現在のところ、アルツハイマー型認知症を完全に治癒する薬は見つかっていません。治療は主にリハビリや症状を抑制する投薬治療が中心になります。
アルツハイマー型認知症は時間がたつと症状が進行していきます。その進行を緩やかにして、本人が安定して生活できるように配慮することが大切です。
アルツハイマー型認知症の症状を抑えると言われている処方薬は現在のところ4種類です。
低下した脳の働きの改善を促す処方薬がアリセプト、レミニール、リバスタッチ。脳細胞の損傷を防止するメマリーです。
アルツハイマー型認知症の症状は人それぞれ違いますので、すべての人に効果があるというわけではありません。ただ投薬によって状況の改善が見られることもあります。医師と相談しながら、試してみてください。
またアルツハイマー型認知症になるとイライラしたり、不安感に苛まれてしまうこともあります。そのような時は、対症療法薬として精神安定剤や睡眠薬も効果があるかもしれません。
認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。
認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。
また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。
あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。
認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。
他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。
認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。
認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。
小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。
実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。
認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。
入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。
入居者にはそれぞれの役割や責任があたえられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。
グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。
介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。
民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。
終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。
また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。
アルツハイマー型認知症の症状は、あったことそのものを忘れてしまう記憶障害、物事を順序立てて考えられなくなる実行機能障害、時間と場所がわからなくなる見当識障害、当たり前にできていたことができなくなる失行が挙げられます。
また症状が悪化すると、被害妄想や徘徊などの症状も出る場合があります。
アルツハイマー型認知症の原因は、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。症状が進行することで、日常生活に弊害が生じます。
認知症は高齢者だけに限らず、若い年齢でも発症する可能性があります。18歳から39歳までに発症した若年期認知症と40歳から64歳に発症した初老期認知症をあわせて若年性認知症と言います。
また若い年齢でもアルツハイマー症状が出ていた場合、若年性アルツハイマーと診断されます。原因は事故による頭部損傷の後遺症でも起こる可能性があります。
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