認知症について調べているうちに、認知症の種類のひとつである「レビー小体型認知症」を見かけることもあるでしょう。
レビー小体型認知症は日本人に多い3大認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症に次いで多くの患者がいます。
レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。また、他の認知症より進行が早いため、早い時期からの対策が重要です。
この記事では、レビー小体型認知症の原因や特有の症状などを徹底解説。レビー小体型認知症の治療方法やおすすめの対応方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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レビー小体型認知症は、1990年代後半に知られるようになった比較的新しい認知症です。3大認知症のうちアルツハイマー型に次いで患者数が多く、高齢者の認知症の約20%を占めます。
女性よりも男性の発症が多く、物忘れなどの「認知機能障害」のほか、「幻覚」や「抑うつ」、「パーキンソン症状」など特有の症状がみられます。
発症は高齢者に多いですが、早い人では40代から症状が出ることも。また、他の認知症より進行が早いため、できるだけ早い時期からの対策が重要です。
レビー小体型認知症では、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。
ただしこれらの症状は個人差が大きく、すべてのレビー小体型認知症の方に発現するわけではありません。
レビー小体型認知症で主に見られる症状は以下の通りです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
認知機能障害は中期になって出始めることが多く、主に以下の症状があります。
また、認知機能が変動するのが特徴で、意識がはっきりしているときと反応が乏しくぼんやりしているときを繰り返します。認知機能は数分で変動することもあれば同じ状態が数時間、ときには数週間~数ヵ月続くこともあります。
なお、アルツハイマー型認知症では初期から新しいことを覚えるのが難しくなる方が多いですが、初期のレビー小体型認知症では記憶障害はあまりみられません。
レビー小体型認知症により、視覚をつかさどる後頭葉がダメージを受けることで、存在しないものが見えてしまい、幻覚が現れることがあります。
レビー小体型認知症の症状である幻覚には主に以下があります。
幻視とは、他人に見えないものが見える症状のこと。例えば以下のような行動をとることがあります。
幻覚の中で最も多いのが幻視です。本人が幻視とわかっていることもあれば、わかっていない場合もあります。見えるものは人により異なりますが、「虫が床を動いている」など具体的なことが多いです。
錯視とは、現実に存在するものが別のものに見える症状のこと。例えば以下のような症状です。
幻視は「実在しないものが見える」のに対し、錯視は「実在するものが別のものに見える」という症状が現れます。
幻聴とは、他人には聞こえない音や声が聞こえる症状のこと。誰もいないはずの部屋から声が聞こえるなどの症状があります。
レビー小体型認知症はパーキンソン症候群と同じレビー小体が原因のため、パーキンソン症状が発生します。
具体的な症状は主に以下です。
パーキンソン症状により表情に乏しくなったり、転倒しやすくなります。また、歩くときに前かがみになったり、歩幅が小さくなったり、歩き出しの一歩が出にくくなることも。一方、歩き出すと突進してしまうこともあります。
パーキンソン症状がさらに進行すると「嚥下障害」が現れ、「誤嚥性肺炎」の原因となります。
レム睡眠行動障害は、眠りの浅い「レム睡眠」中に怖い夢やリアルな夢を見てしまい、夢の中と同じ動きをしてしまうこと。例えば、以下のような行動があります。
眠っているとは思えないような行動が見られ、その動きにより自分自身がけがをしたり、隣で寝ている人にけがをさせてしまうこともあります。しかし、急に起こすと夢と現実が混同して混乱することもあるので、危険がない場合は見守るようにしましょう。
レビー小体型認知症では交感神経と副交感神経の調整がうまくいかなくなることで、次のような自律神経症状がみられます。
自律神経症状による立ちくらみは、立ち上がったときの急激な血圧低下による脳への血流減少が原因でめまいや失神につながります。失神による転倒は大きなけがにつながるため注意が必要です。
レビー小体型認知症は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、今のところレビー小体出現のメカニズムは解明されていません。
レビー小体が原因の病気にはパーキンソン症候群もあり、レビー小体型認知症との併発も多く見られます。
また、若いときにパーキンソン症候群を発症した人が、高齢になりレビー小体型認知症へ移行することもあります。
レビー小体型認知症と診断が出るまでには、主に以下の検査が必要です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
認知機能検査とは、医師の質問に回答する形式で図形などを描くテストのことです。
レビー小体型認知症ではほかの認知症と比べて脳の萎縮が目立たないため、CTやMRIなどの画像で診断できることはほとんどありません。
画像で判断できない症状は、口頭での質問のほか、文字、図形、絵などの課題を描く神経心理学検査を実施し、認知症の影響があるかを確認します。
レビー小体型認知症では、記憶や計算機能などに比べて視覚を使った課題を苦手とします。そのため、記憶障害がほとんどない初期の段階の方でも、認知機能検査によりレビー小体型認知症と診断されることもあります。
脳血流SPECT検査とは、脳の血流の状態や脳の動きを画像化する検査です。
レビー小体型認知症・アルツハイマー型認知症・前頭側頭型認知症は、それぞれ脳の血流が低下している部分が異なり、レビー小体型認知症では後頭葉や後部帯状回、楔前部に血流の低下が見られます。後頭葉は視覚認知を司る部分。そのため、レビー小体型認知症では幻視が出やすいと考えられています。
MIBG心筋シンチグラフィ検査とは、MIBGという物質を注射して心臓の交感神経の動きを確かめる検査です。
レビー小体型認知症の原因物質であるレビー小体は心臓の交感神経にも現れます。そのため、レビー小体型認知症の初期の段階でも異常が認められることがあります。
レビー小体型認知症の進行過程は人により異なります。しかし、アルツハイマー型認知症などのほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、多くの方は初期症状から常に介助が必要な後期状態まで10年以内で到達します。
レビー小体型認知症ではどのように症状が進行するのか、一般的な経過を見ていきましょう。
レビー小体型認知症の初期では、物忘れなどの認知機能低下はほとんど見られず、以下のような特有の症状が現れはじめます。
レビー小体型認知症の中期では、初期症状の変動が大きくなります。症状の軽いときと重いときを繰り返しながら、徐々に症状が強まっていくのが特徴です。食後に動作が遅くなったり、夕方に幻視を見るなど、症状の波は1日のうちでも変動します。
また、このころから認知機能障害が現れるとともに、症状の進行は早まります。
レビー小体型認知症の後期には、次のような症状がみられます。
転倒や立ちくらみなどが増えることで、身体介護の必要な場面が増加します。このため、在宅での生活や家族介助が難しい場合も出てきます。
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レビー小体型認知症はほかの認知症と同様に根本的な治療薬はなく、症状を抑える投薬治療が主体です。症状に合わせ、記憶障害に対する薬・幻覚などの精神症状に対する薬・バーキンソン症状に対する薬が処方されます。
ただし「薬剤過敏性」という特徴があり、通常量以下の薬物でも過敏に反応し、興奮したり副作用が出ることがあります。
薬剤の量の調節が難しいため、服薬後の体調や症状の変化を観察・報告するなど、医師や看護師・薬剤師等と連携が欠かせません。
認知機能や生活機能の維持・改善には、非薬物療法も重要です。
特に、動きが遅くなったり筋肉が硬くなるなどのパーキンソン症状の改善や進行抑制には、運動療法が効果的です。散歩やストレッチなどの日常的な運動に取り組みましょう。
また、デイサービスへの通所も効果的です。デイサービスには理学療法士などのリハビリ専門職が配置されており、専門家の指導のもと適切なリハビリをおこなえます。さらに、家族以外と関わりを持ったり、レクリエーションで脳を活性化できる点でも効果が期待できます。
転倒による骨折などで体の動きが不自由になると、認知症の症状の進行が早まることがあります。
レビー小体型認知症では、パーキンソン症状により歩幅が小さくなったりふらついたりするため、転倒リスクが高まります。家の中の段差をなくしたり手すりを設置するなど、転倒や転落を防止しましょう。
認知症患者は本人も多くの不安や混乱を抱えて過ごしています。周囲の家族ができるだけ患者本人の混乱をなくし、安心して暮らせるように配慮しましょう。
安心して暮らせるような配慮とは、例えば、できるだけ穏やかに相手の主張に耳を傾けながら会話をしてましょう。後ろから声をかけたり、大声を出したりして驚かせるのは危険です。
レビー小体型認知症の症状のひとつに、「昨日できていたことが今日できなくなる」などがあります。レビー小体型認知症の症状は波があるので、励まして無理をさせる必要はありません。どんな周期で意識がはっきりするかデータを取り、リハビリなどは状態が良さそうなときにおこないましょう。
レビー小体型認知症の症状である幻覚・錯視は、本人はとっては現実に見えています。そのため、本人は家族や周りの人に「そんなことはない」と否定されると混乱したり、拒絶されたと感じてしまいます。本人に幻覚などの症状が現れた際には、「追い払いましたよ」などの声をかけて安心させることが大切です。
また、本人が幻覚による症状で不安を強く感じている時は一人にしないで安心させてあげましょう。
レビー小体型認知症の方の介護を家族だけでするのはとても大変です。デイサービスや訪問介護、グループホームなど、介護保険で利用できる介護サービスを活用しましょう。介護事業者の介護サービスは、家族の負担だけでなく、本人の負担も軽減してくれます。
介護サービスの中には認知症の方へのケアに特化した支援制度やサービスがあります。認知症の方は生活環境の変化に敏感なので、認知症の症状が出た早い段階で取り入れて、介護サービスの利用に少しずつ慣れていくのがおすすめです。
認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。
認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。
また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。
あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。
レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、「パーキンソン症状」「幻覚」「自律神経症状」「レム睡眠行動障害」など特有の症状が現れます。
またレビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、初期症状から常に介助が必要な後期症状まで10年以内で到達するのが特徴です。
レビー小体型認知症の原因は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、レビー小体という物質が何故脳に出現するかは不明で、脳の年齢的な変化であると考えられています。
レビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早く、最終的にパーキンソン症状や自律神経症状が悪化し、転倒や立ちくらみなどが増えます。また、嚥下機能の低下も目立ち始め、誤嚥性肺炎を発症する可能性もあります。
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