「介護保険で利用できるリハビリには、どのような種類があるのかな?」「どこでリハビリが受けられるの?」などと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、介護保険で受けられるリハビリの種類や施設について解説します。
「リハビリを受けて自立的な生活を送りたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
介護保険で受けられるリハビリは「通所リハビリテーション」と「訪問リハビリテーション」「入所リハビリテーション」の3種類です。
それぞれの特徴について、以下で詳しく説明します。
通所リハビリテーション(デイケア)とは、老人保健施設や病院、診療所などに通ってリハビリを受けられるサービスです。
専門スタッフによる身体機能の回復訓練や日常生活動作訓練、口腔機能訓練などがおこなわれています。
専門的なリハビリ機器を使用したり、広い空間で歩行訓練をしたりするため、効率よくリハビリが受けられます。
デイケアを利用することによって、外出したり、人と触れ合ったりする機会が持てるので、閉じこもりや孤立を防ぐことにつながります。また、定期的な外出により、生活にメリハリがつくため健康的に過ごすことができるでしょう。
訪問リハビリテーションは、自宅でリハビリが受けられるサービスです。
リハビリ専門スタッフが自宅を訪問し、バイタルチェックや機能訓練、日常生活の指導をおこないます。
通所リハビリとの違いは、自宅という、実際の生活環境に沿った訓練ができることや、個別なのでリハビリをしっかり見てもらえる時間を長く確保できる点です。自宅でのリハビリのため、本人がリラックスしてできることもメリットです。
また、いつも使用している福祉用具の使い方や適切な手すりの位置など、具体的な助言や、介護する家族へのアドバイスもしてもらえます。
入所リハビリテーションは、施設に入所してリハビリを受けるサービスです。
介護施設に在籍しているリハビリ専門職がリハビリを担当し、居室やリハビリテーション室で機能訓練をおこないます。
入所リハビリテーションのメリットは、入所しながら集中的にリハビリができる点です。
ただし、リハビリテーションをおこなっていない施設もあるため、入所前に確認が必要です。
リハビリを提供する専門スタッフは、以下の3職種です。
それぞれの役割について、説明します。
理学療法士は、病気やケガなどで身体に障害のある人に対して、リハビリをする専門職です。
基本動作能力の回復や維持を目的に、さまざまな機能訓練をおこないます。
基本動作能力とは寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩くなどの日常生活をおこなううえで基本となる動作です。
理学療法士は、この基本動作能力を改善するために「運動療法」と「物理療法」を使い分けて治療をします。
運動療法とは、運動によって障害や疾患の症状改善や予防を図ることです。具体的な運動療法の種類は、以下の通りです。
有酸素運動とは息が弾むくらいの強度でおこなうウォーキングや体操、水泳などを指します。
一方、無酸素運動は、酸素を使わずに筋肉を動かす運動のことです。ダンベルやマシンを用いたトレーニング、スクワットや腕立て伏せなどが無酸素運動と呼ばれます。
これらの運動は、基本動作の安定性の維持と向上、障害や疾患の予防・改善につながります。
物理療法とは、物理的なエネルギーを利用して症状の軽減、回復を促すことです。具体的には、以下の手段を用います。
これらを利用して痛みを和らげたり、体を動かしやすくします。
作業療法士は「食事動作」「排泄動作」「手を洗う」などの応用動作の維持・改善や、「買い物に行く」などの社会適応動作のリハビリをおこなう専門職です。
手芸や木工、将棋など、趣味としておこなわれる細かな動作も訓練に取り入れ、手指のリハビリにも力を入れています。
前述した理学療法士は、基本動作能力の回復・維持を目的にリハビリをおこないますが、作業療法士がおこなうリハビリの目的は、日常生活動作の回復や趣味活動の再開です。
理学療法士が基本動作能力を向上させ、作業療法士が食事や排泄などの日常生活動作の訓練につなげていくイメージです。
言語聴覚士は、言葉によるコミュニケーションが難しい方や、食事や水分の飲み込みが難しい方に対して「話す」「聞く」「食べる」の動作改善を目的にリハビリをおこなう専門職です。
「話す」「聞く」が難しい方に対しては、発声の姿勢や呼吸方法、言葉を思い出す訓練などをおこない、機能回復を目指します。また、言葉が出にくい方には、代償的手段の方法(身振りやコミュニケーションボード)の相談にも応じてくれます。
「食べる」ことが難しい方には、安全に食事をするために必要なくちびるやあご、頬などの筋力を強化するリハビリや、実際に食べ物を用いて飲み込む訓練(嚥下訓練)などをおこないます。
リハビリは、専門職がいる介護施設でなければ受けられません。ここでは、リハビリがおこなわれる介護施設について紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護を必要とする方で、自宅での生活が困難な方を受け入れる公的な介護施設です。
入所対象者は、以下の通りです。
特養では、利用者の機能訓練やリハビリをおこなう機能訓練指導員の配置が義務付けられています。リハビリ内容は施設によって異なりますが、多くの場合、本格的なリハビリ機器などを使った専門的なリハビリはおこなわれていないのが実情です。
多くの特養では、日常生活をリハビリの一環と考える「生活リハビリ」が重点的におこなわれています。
介護老人保健施設は通称「老健」と呼ばれ、在宅復帰を目指してリハビリをおこなう介護施設です。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリ専門職が在籍しており、個人に合わせた専門的なリハビリを受けられます。
入所の対象者は、病状が安定している要介護1以上の方です。医療ケアが必要な方も入所できます。
老健には医師が在籍し、特別養護老人ホームと比べ、看護師やリハビリ専門職などの医療職の配置が手厚くなっています。
在宅復帰が目的の施設のため、終身の入所施設ではなく、3ヵ月を目安に入所期間が定められています。
2024年度末に廃止が決まった「介護療養型医療施設」に代わり、新たに創設された介護施設です。入所対象は、医療の必要な要介護1以上の方です。
介護医療院では、医療・看護・リハビリなどの医療サービスと介護サービスが一体的に提供されています。また、利用者の長期療養を想定した施設であり、診察や投薬などの医療処置や看取りケアにも対応しています。
リハビリでは、主に日常生活動作や身体機能の維持・回復のためのリハビリがおこなわれています。ただし、リハビリ専門職の配置が義務付けられていないため、施設によっては、積極的なリハビリが受けられない場合があります。リハビリを希望する場合は、利用前に確認が必須です。
有料老人ホームは民間会社が運営する介護施設です。「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分かれています。
入居対象は、運営会社によって異なり、自立の方から要介護5の方までさまざまです。
リハビリについては、施設内で本格的なマシーンを使ったリハビリを実施している施設もあれば、リハビリは全くおこなえない施設もあるなど、施設ごとに違いがあります。
リハビリのない有料老人ホームであれば、デイケアや訪問リハビリなど介護保険の在宅サービスを利用すると、個別にリハビリが受けられる場合があります。
施設によっては、在宅サービスを利用できないこともあるため、入居前に確認が必要です。
要支援1・2の認定を受けている方は、介護予防通所リハビリテーションを利用できます。要介護の方が利用する通所リハビリテーションと同様に、介護老人保健施設や病院、診療所に日帰りで通い、専門的なリハビリが受けられるサービスです。
介護予防通所リハビリテーションの目的は、要支援者が要介護状態にならないように予防すること。そのため、利用者の現状の身体機能を維持・改善することを目指して、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による機能の維持回復訓練や日常生活動作訓練が実施されています。
リハビリには、医療保険で利用できるリハビリと、介護保険で利用できるリハビリがあります。
医療保険でのリハビリは、基本的に医療機関への入院や外来通院でおこなわれ、病気やけがによって低下した心身機能の回復を目的に、リハビリ専門職が治療や集中的な訓練を実施します。
なお、医療保険でのリハビリは、疾患によってリハビリを受けられる期間が決められています。しかし、医師が認めた場合は、期間を超えてもリハビリを継続できることがあります。
基本的に、介護保険のリハビリと医療保険のリハビリは併用できません。その理由は、医療保険と介護保険では、リハビリをおこなう目的が異なるからです。
リハビリの目的が治療や症状の改善が目的である場合は、医療保険が適用されますが、身体機能の維持・向上を目的とする場合は、介護保険でのリハビリとなります。
なお、医療保険と介護保険のどちらも利用できる場合は、介護保険が優先されます。
施設に通所してリハビリを受ける「通所リハビリテーション(デイケア)」と、リハビリ専門職が自宅に訪問する「訪問リハビリテーション」、介護施設に入所してリハビリを受ける「入所リハビリテーション」の3種類があります。
訪問リハビリテーションの利用回数は、ケアマネジャーが作成するケアプランによって決まります。ただし、1回20分・週6回以内と上限が決まっています。1回40分のリハビリを受けるのであれば、週3回までとなります。
生活リハビリとは、リハビリ専門職以外がおこなうリハビリのことで、主に介護スタッフが中心となっておこなわれています。トイレや着替え、入浴、食事などの日常的な生活動作をリハビリの一環として捉え、自立した生活を支援するという目的があります。
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