ケアハウスへの入居を検討した際に、「ケアハウスのスタッフはどれくらい配置されているの?」「どんな役割のスタッフがいるの?」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
ケアハウスには、「一般型」と「介護型」があり、それぞれ人員基準が違います。どちらも「施設長」「生活相談員」「介護スタッフ」「栄養士」「事務員」が配置されており、加えて介護型ケアハウスには「看護師」「機能訓練指導員」も配置義務があります。
この記事では、一般型ケアハウス・介護型ケアハウスそれぞれの人員基準について詳しく説明します。また、ほかの施設の人員基準も紹介しますので、あわせて参考にしてください。
ケアハウスには「一般型」と「介護型」があり、それぞれ人員基準が違います。
ケアハウス | ||
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一般型 | 介護型 | |
施設長などの管理者 | 1人 | |
生活相談員 | 入居者が120人ごとに1人 | 入居者が100人ごとに1人 |
介護スタッフ | 入居者が30人以下は1人 入居者が31人~80人は2人 入居者が81人以上は2人+適当数 |
要支援者10人に対して1人 要介護者3人に対して1人 |
栄養士 | 1人以上 | |
調理師 | 必要数 | |
事務員 | 1人以上 | |
看護師 | なし | 介護スタッフと合わせての人数 ただし、要介護者30人までは1人 30 人以上は50人ごとに1人 |
機能訓練指導員 | なし | 1人以上 |
配置が決められている役職の役割と人数をそれぞれ見てみましょう。
施設長などの管理者の人員基準では、一般型ケアハウス・介護型ケアハウス、どちらも施設ごとに必ず1人の配置が義務づけられています。
施設長などの管理者の主な業務は、施設経営の責任者として施設の運営やマネジメントなどの管理業務。高齢者介護の知識や経験があることが管理者になる条件です。
また、施設の管理に支障がない場合には、同じ敷地内にあるほかの事業所や施設の職務と兼務できます。
役職の呼び方には決まりはないので、「施設長」「管理者」「責任者」など施設によって異なります。
生活相談員の人員基準では、一般型ケアハウスでは施設の入居者が120人ごとに1人、介護型ケアハウスでは施設の入居者が100人ごとに1人と義務づけられています。
生活相談員とは、入居者や家族からの施設での生活の相談に対応するスタッフです。
生活の相談とは、例えば、人間関係の不満や、将来の不安など。入居者の普段の様子を家族に話してくれたりもします。そのほか、地域や外部関係者との窓口になって行政的な手続きもおこなってくれます。
生活相談員は、一般的には社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格を持っている場合が多いです。
一般型ケアハウスの介護スタッフの人員基準は、施設の入居者の人数によって変わります。
介護型ケアハウスの介護スタッフの人員基準では、看護師との合計で配置する人数が義務づけられています。介護スタッフ・看護師の人員基準の最低人数は、施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人です。
介護スタッフとは、入居者の身の回りのお世話や、食事、入浴、排泄などの身体介護、食事や入浴の準備など、入居者が安心して生活を送れるようにサポートするスタッフです。
一般型ケアハウス・介護型ケアハウスの栄養士の人員基準では、どちらも1人の配置が義務づけられています。ただし、以下の場合には配置しなくても良いとされています。
また、一般型ケアハウスの調理師の人員基準は「適当数」となっており、配置の人数は決まっていません。ただし、以下の場合には配置しなくても良いとされています。
栄養士は、健康維持のための栄養バランスや、入居者の身体状況に応じたメニューを作成します。調理師は、栄養士の作成した献立表をもとに調理をおこないます。
一般型ケアハウス・介護型ケアハウスではともに、基本的には1日3回の食事とおやつが提供されます。入居者に必要な栄養バランスが考慮されているだけでなく、一人ひとりの飲み込む力や適切な塩分摂取量に応じた食事を作ってくれるので、食事に気を配る必要がある方でも安心です。
一般型ケアハウス・介護型ケアハウスの事務員の人員基準では、どちらも1人の配置が義務づけられています。ただし、以下の場合には配置しなくても良いとされています。
事務員の主な仕事は請求業務です。請求業務とは、市区町村が介護事業者に支払う介護保険の「介護報酬」の請求をしたり、入居者へ渡す利用料の請求書の作成など。そのほか、電話対応、来客対応などの受付業務やスタッフのシフト管理などもおこないます。
介護型ケアハウスには、一般型ケアハウスには配置義務のないスタッフも配置されています。介護型ケアハウスにのみ配置義務があるスタッフは以下です。
人数と仕事内容をそれぞれ見てみましょう。
介護型ケアハウスの看護師の人員基準では、介護スタッフとの合計で配置する人数が義務づけられており、施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人となっています。
このうち看護師の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中は1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護師の配置が必要です。
看護師は、医療従事者である看護師にしかできない医療行為をおこなうスタッフです。例えば、入居者の健康や薬の管理、医師の指導に基づく医療行為、通院や入退院、診察のサポートなどをおこないます。
入居者の健康状態はさまざまなので、入居者の病状に応じた医療行為は、医師の指示に基づき看護師が対応します。
介護型ケアハウスの機能訓練指導員の人員基準は、施設ごとに1人以上の配置が義務づけられています。
機能訓練指導員は、入居者ごとの身体機能に合わせたリハビリプランを作成し、実施するスタッフです。
機能訓練指導員は、以下のいずれかの資格を取得しています。
介護型ケアハウスのケアマネジャーの人員基準では、施設の入居者が100人に対し、1人の配置が義務づけられています。
ケアマネジャーは、介護保険を使ったサービスを利用するためのケアプランの作成や、プラン通り実施されているかのチェックを担当します。
小規模の施設では管理者や介護スタッフなどと兼務していることも多いです。
一般型ケアハウスと介護型ケアハウスのそれぞれの人員基準は、一部の配置するスタッフやスタッフの人数が違います。一般型ケアハウスと介護型ケアハウスの人員基準が違う理由は、介護体制の違いです。
一般型ケアハウスは施設からの介護サービスの提供がなく、介護型ケアハウスでは施設から介護サービスの提供があります。介護サービスの提供がある介護型ケアハウスの方が介護スタッフや看護師などの人員が必要になるのです。
一般型ケアハウスと介護型ケアハウスの介護体制をそれぞれ解説しますので、見てみましょう。
一般型ケアハウスでは、施設からの介護サービスの提供はありません。一般型ケアハウスから提供されるのは以下の生活支援サービスのみです。
一般型ケアハウスで介護が必要になった場合は「訪問介護」や「デイサービス」など外部の介護事業者と契約し、外部事業者から介護サービスを受けます。状況に応じてサービスを組み合わせたり、施設に入居する前から利用していた介護サービスを継続することもできます。
しかし、外部サービスを利用することになるため、24時間体制の介護サービスが受けられない場合があることを認識しておきましょう。
介護型ケアハウスは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設のため、施設入居に介護サービスが付帯しています。
介護型ケアハウスも、一般型ケアハウスと同様に以下の生活支援サービスが受けられます。
介護型ケアハウスでは、これらの生活支援サービスに加え、機能訓練といった介護サービスが充実しており、認知症ケアや看取りに対応した施設もあります。施設の入居後に介護度が上がっても、引き続き同じ施設で暮らせるので安心です。
ケアハウスに限らず、ほかの介護施設にも人員基準が設けられています。
ほかの施設での人員基準はどれくらいなのか見てみましょう。
介護付き有料老人ホームは、要介護1〜5の入居者3名に対して1人の看護師または介護スタッフを配置する「3:1」の比率が最低限の人員基準です。
ただし、より手厚いサービスを提供するために人員基準を「2.5:1」「2:1」「1.5:1」としている介護付き有料老人ホームも存在します。
このような施設では、上乗せ介護費を加算する場合があるため、事前の確認が必要です。
介護付き有料老人ホームに必要な役職は以下の通りです。
施設の人員基準に「3:1」という数字があります。「3:1」というのは、施設の入居者に対し配置されるスタッフの人数です。施設の人員配置の項目が「3:1」とあれば、入居者3人に対し、介護スタッフまたは看護師が1人配置されているという意味です。
スタッフの人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」のように、「3:1」の3よりも数字が小さくなると、1人のスタッフが対応する入居者の人数が少ないということです。1人のスタッフが対応する入居者の人数が少なければ、その分、目が届きやすくなるので、ケアが手厚くなります。
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)には「一般型」と「介護型」があります。
一般型のサ高住の人員基準は、介護スタッフまたは看護師が少なくとも日中1人以上常駐することが義務づけられています。一般型のサ高住には「3:1」などの配置義務はないので、施設ごとにスタッフの人数が違います。また、一般型のサ高住には夜間のスタッフの人員配置の義務はありません。
介護型のサ高住の人員基準は介護付き有料老人ホームと同じ。介護スタッフまたは看護師は「3:1」の比率、つまり入居者3人に対し介護スタッフまたは看護師が1人と義務づけられています。また、夜間は介護スタッフまたは看護師が1人以上いれば良いとされています。
グループホームには、以下の人員基準が義務づけられています。
グループホームの入居者は5~9人の「ユニット」といわれるグループで生活します。ユニットには管理者が1人配置されています。管理者は認知症の介護従事の経験が3年以上あり、厚生労働省の管理者研修を受けている必要があります。
計画作成担当者は、入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成するスタッフです。計画作成担当者は実務者研修基礎課程、または認知症介護実践者研修を修了が必須です。また、計画作成担当者が施設に複数いる場合、最低1人はケアマネジャー(介護支援専門員)の資格が必要です。
グループホームの入居者の見守りは深夜も必要なため、介護スタッフは24時間体制で常駐します。
特別養護老人ホーム(以下、特養)は以下の人員基準が義務づけられています。
介護老人保健施設(以下、老健)は以下の人員基準が義務づけられています。
老健では介護スタッフに対して、看護師の割合を7:2以上にする基準があります。そのため、老健はほかの施設に比べて看護師の配置が多いのが特徴です。また、看護師が夜間にも多いです。
老健には事務や調理師も必ず配置する必要があります。事務や調理師は、人数に関する人員基準はありません。
ケアハウスには「一般型」と「介護型」があり、それぞれ人員基準が違います。どちらも「施設長」「生活相談員」「介護スタッフ」「栄養士」「事務員」が配置されており、加えて介護型ケアハウスには「看護師」「機能訓練指導員」も配置義務があります。
一般型ケアハウスと介護型ケアハウスの人員基準が違う理由は、介護体制の違いが考えられます。一般型ケアハウスは施設からの介護サービスの提供がなく、介護型ケアハウスでは施設から介護サービスの提供があります。介護サービスの提供がある介護型ケアハウスの方が介護スタッフや看護師などの人員が必要になると考えられます。
多くの施設は入居者3人に対して介護スタッフ(もしくは看護師)1人の配置が義務づけられています。しかし施設によって人員基準はさまざま。サ高住など、介護の必要のない元気な方向けの施設では人員が少なく設定されており、特養や老健など入居者へのサポートが手厚い施設は人員が多く設定されています。
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