介護施設を探しているときに「ケアハウス」や「特別養護老人ホーム(以下、特養)」の名前を見かけるでしょう。
ケアハウスと特養はどちらも公的な施設で、「他の施設に比べ費用が安い」という特徴がありますが、大きな違いもあります。
ケアハウスと特別養護老人ホームの大きな違いは「入居対象者」です。基本的にはケアハウスは自立している人が入居対象者であるのに対し、特養では「要介護3以上」で介護が必要な人しか入れません。
この記事では、ケアハウスと特養の違いを解説します。費用やメリットなど、さまざまな視点から解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
「ケアハウス」と「特養」はどちらも公的な施設です。
ケアハウス | 特別養護老人ホーム | ||
---|---|---|---|
介護型 | 一般型 | ||
要介護度 | 要介護1~ | 自立 | 要介護3~ |
初期費用 | 数十~数百万円 | 数十万円 | 0円 |
月額利用料 | 約10~20万円 | 約6~17万円 | 約8~14万円 |
介護サービス | ◯ | ×(※) | ◯ |
医療ケア | △ | ×(※) | ◯ |
食事の提供 | ◯ | ◯ | ◯ |
※ 外部の事業者との契約で利用可能
ケアハウスと特養、どちらも「他の施設に比べ費用が安い」という特徴がありますが、細かな違いもあります。
それぞれどういった施設なのか詳しく見てみましょう。
ケアハウスは、老人福祉法で定められた軽費老人ホームの一種です。
軽費老人ホームとは、自立した生活が困難になった身寄りがない60歳以上の高齢者が入居できる施設のことです。軽費老人ホームにはA型、B型、C型、都市型の4種類があり、そのうちC型をケアハウスと呼びます。
2008年より、軽費老人ホームはケアハウス(C型)の基準に統一されており(※)、今後はA型、B型の施設が新しく建てられることはありません。
ケアハウス(C型)には「一般型」と「介護型」があり、その両方で食事サービスの提供があります。一般型ケアハウスは施設からの介護サービスの提供がなく、介護型ケアハウスは施設に介護サービスが付帯しています。
※参考:「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準について(平成20年5月30日老発0530第2号厚生労働省老健局長通知)(抄)」(厚生労働省)
特別養護老人ホームとは、在宅での生活が困難な高齢者に介護を提供する施設で、略して「特養」とも呼ばれています。要介護3以上の人が入居できます。
特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。
終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ人の多い施設です。
ケアハウスと特養では「入居条件」が大きく違います。
ケアハウス | 特別養護老人ホーム | |||
---|---|---|---|---|
介護型 | 一般型 | |||
要介護度 | 自立 | × | ◯ | × |
要支援1~2 | × | ◯ | × | |
要介護1~2 | ◯ | △ | × | |
要介護3~5 | ◯ | × | ◯ | |
受け入れ可否 | 認知症 | △ | × | ◯ |
看取り | △ | × | ◯ | |
そのほかの条件 | ・65歳以上 ・身寄りがない |
・65歳以上 |
それぞれ解説するので見てみましょう。
ケアハウスの「一般型」は、自立した暮らしに不安があり、家族による支援が受けられない人、または身寄りがない60歳以上の高齢者であることを入居条件としています。
夫婦で入居する場合には夫か妻のどちらかが60歳を超えている必要があります。
一方「介護型」は、自立した暮らしに不安があり、要介護1以上、原則65歳以上の高齢者であることを条件としています。一般型ケアハウスと比べて条件は厳しくなっていますが、入居後に介護度が上がっても退去を求められることはありません。
特別養護老人ホームは、常時介護が必要で在宅での介護が困難な高齢者を対象とした介護施設です。もともと要介護1以上の人が入居対象でしたが、2015年からは要介護3以上の認定が入居の条件となりました。
基本的には65歳以上の高齢者が対象ですが、特定疾病に罹患している場合は40~64歳までの希望者にも入居が認められます。
ケアハウスと特養はどちらも費用が比較的安い傾向にあります。月額利用料には大きな差はありませんが、初期費用は大きく違います。
ケアハウス | 特別養護老人ホーム | ||
---|---|---|---|
介護型 | 一般型 | ||
初期費用 | 数十~数百万円 | 数十万円 | 0円 |
月額利用料 | 約10~20万円 | 約6~17万円 | 約8~14万円 |
介護サービス費 | 定額制 | 従量制 | 定額制 |
食費 | 月額利用料に含まれる |
それぞれ詳しく見てみましょう。
ケアハウスに入居する際は、保証金や入居一時金を初期費用として支払います。また月ごとに居住費や管理費、食費などの月額利用料が必要です。
一般型ケアハウスの初期費用は数十万円、月額利用料は6〜17万円程度かかります。
介護型ケアハウスは初期費用が数十万円〜数百万円と一般型ケアハウスよりも高額となっていますが、一部には無料の施設もあります。月額利用料は10〜20万円程度と一般型ケアハウスと大きく差はありません。
ケアハウスの月額利用料に「サービス提供費」が含まれています。サービス提供費とは、事務費など、ケアハウスで提供されるサービスに対してかかる費用のことです。
サービス提供費は入居者の収入によって自治体から補助が受けられます。施設ごとに決められた本来の費用から、入居者の自己負担(費用徴収額)を引いた残りの金額を、自治体からの補助金により賄われます。
サービス提供費の費用徴収額は前年の収入によって決まります。前年の収入費150円以下から始まり、約10万円上がるごとに費用徴収額も上がっていきます。前年の収入費が310万1円以上では費用徴収額は全額負担です。
サービス費用徴収額(月額)はこちらのページで確認できます。
「ケアハウスは費用が安い」というイメージですが、前年の収入によって費用が変わってくるので注意が必要です。
特別養護老人ホームの月額利用料の目安は8~14万円前後です。月額利用料とは別に個人的な日常生活費もかかります。
介護施設では入居一時金として初期費用が必要な場合が多いですが、特養では入居一時金は必要ありません。居住費、食費、介護サービス費など、国が定めた基準費用額に基づいて算定されている日常生活費のみを月々支払います。
特養の月額利用料は施設の居室のタイプによって変わります。特養の居室タイプは、1つの部屋を複数人でシェアするように使う多床室から、プライベートが確保しやすい個室タイプなどがあります。
相部屋の多床室の場合は月額利用料は約8万円ほど、1人のユニット型個室なら約14万円が目安となります。
ケアハウスと特養、それぞれのメリットを見てみましょう。
ケアハウスのメリットは「個室でプライバシーを確保できる」という点です。
ケアハウスでは、原則として個室が与えられます。相部屋が多い特養と比べ、ケアハウスは一定のプライバシーが確保できると言えます。
また、個室であることで共同生活に不慣れな人でもストレスなく施設での生活を始められます。生活の自由度が高いため、自宅にいるかのように過ごせるでしょう。
同じ公的介護施設でも、自立している人向けの一般型ケアハウスは介護が必要になると退去しなければいけませんが、特養では入居期間に限度はなく終身での利用が可能です。
また、特養では、入居者3人に対し介護(看護)スタッフ1人以上の配置が義務づけられており、手厚い介護が受けられるというメリットもあります。
介護スタッフは夜間も最低1人以上が常駐するため24時間安心して過ごせます。
ケアハウスと特養は、どちらも施設の費用が安価で非常に人気があるため、入居待ちが長い場合があります。
希望者が集中しているので、申し込みをしても入居待ちとなる可能性が高いです。短くても1ヵ月、長くなると1年以上の待機期間があることも少なくありません。
特に特養の入居の順番は申し込み順ではなく、入居予定者の緊急度によって施設側が判断します。本人の要介護度だけでなく家庭環境などを総合的に判断し、緊急性が高い人から入居が決まります。このため、自宅での介護が可能な場合はなかなか入居できないこともあるので注意が必要です。
施設への入居が必要になった場合は、複数の介護施設への申し込みがおすすめです。ケアハウスや特養だけでなく、比較的費用が安い民間のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も視野に入れると良いでしょう。
ケアハウスと特別養護老人ホームの大きな違いは「入居対象者」です。ケアハウスは自立している人が入居対象者であるのに対し、特養では「要介護3以上」で介護が必要な人しか入れません。
ケアハウスと特養は、どちらも費用が比較的安い傾向にあります。月額利用料には大きな差はありませんが、初期費用は大きく違います。一般型ケアハウスの初期費用は数十万円、介護型ケアハウスは初期費用が数十万円〜数百万円であるのに対し、特養の初期費用は0円です。
ケアハウスと特養に入居する際の注意点は、どちらも「入居待ちの期間が長い」という点です。どちらも施設の費用が安価で非常に人気があるため、申し込みをしても、短くても1ヵ月、長くなると1年以上入居待ちとなる可能性が高いです。
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