正直、待機期間がどれくらいになるかはわかりません。というのも、特養の入所の順番は申込み順ではなく、緊急度順で決まるからです。そのため、どれだけお母様が入所しないといけない状況なのかを特養に伝える必要があります。
もし、今すぐにでも施設に入らなければいけない状況でしたら、待機期間中は民間の老人ホームに入所するのも手ですよ。
先日、母を入所させたくて特養の見学に行ってきました。でも、今は満室で入所の順番待ちをしている人が50人もいるそうなんです!申込みはしてきましたが、入所できるのはずっと先になりそうです。
こういう場合って、入所するのにどれくらい待てば良いんでしょうか?母の認知症が進行して、在宅介護が限界なんです。
申し訳ないのですが…正直、どれくらいの期間待つのかはわかりません。というのも、特養の入所順は申込順ではないからです。
え!?じゃあ、どんな順番で入所しているんですか?
入所の緊急性です。例えば、入所対象者さんの身体状態が悪く、在宅では介護しきれない状態だったり、ひとり暮らしやご家族が介護をできる状況でない場合は、優先度が高くなります。
特養は公的なサービスのため、必要性の高い人から優先して入所するような流れになっているんですね。
うーん。じゃあ、母が緊急性が高いと思われなければいつまで経っても入所できないってことですか?
残念ながら、そういうことですね…。もちろん、入所待ちの順番が変わっているかは、こまめに施設に確認する必要があります。
そんな…。そもそも、なんで特養はこんなにも入所待ちしている人が多いんですか?
一番大きな要因は費用です。特養は公的施設のため、自治体などからの補助を受けて運営されています。そのため、入所者さんの費用負担が小さく済みますし、民間企業が運営している施設と比べて安定した運営がされているんです。
それに、特養は終身利用が可能です。「終の棲家」を探している人にとっては、とても良い環境なんです。
最近、母の介護するのも大変なんです。認知症が進んでいるのか、夜はあまり眠らずに落ち着きがないし、この間は夜中に家から勝手に出ていってしまい、警察に保護されました。そんなことがあってからは、私も落ち着いて眠れなくなってしまって…。
早く特養に入れたいのですが、なんとかする方法はないですか?
それは大変な状況です!でしたら、待機期間を短くする裏ワザをお教えしますね!
待機期間を少しでも短くするためにできることをリストアップしました。
もちろん、他の待機者さんとの兼ね合いもありますから、必ずしも有効とは言い切れません。が、何もしないよりはずっと良くなると思いますよ。
はじめの「頻繁に情報収集をする」ってどういうことですか?特養を見つけたらあとは待つだけですよね?
いえ、それだけでは順番は早くなりません!というのも、特養の空室状況は毎日のように変わります。そのため、ネットで空室状況を公開している特養であれば、頻繁にチェックをするのが大切。また、ケアマネジャーさんが空室状況に詳しいのであれば、ケアマネジャーさんを頼るのも良いでしょう。
どちらにせよ、申込みできたからといって安心していると、いつまで経っても入所できない可能性があります。
そうなんですね!申込みした特養は、ケアマネジャーさんに教えてもらったところなので、空室状況をケアマネジャーさんに確認してみます。
あと、施設探しするときには、複数の施設に申込みをするのも戦略のひとつ。複数の施設に申込みをしていれば、1つの施設で空室が出たときに入所できますが、1つだけだとその可能性も低くなってしまいます。
もちろん、入所先が決まったときには、その他の施設に断りの連絡を入れることはお忘れなく。そうでないと、実際には入らない待機者を施設が抱えることになってしまうので…。
なるほど…。申し込みするのは1つの施設だけでは足りないんですね。あと何ヵ所か探して、申し込んできます。
そのときに気をつけて頂きたいのが、「申し込み理由欄」を詳しく書くことです。入所の申し込みのときに必要書類に記入をするのですが、そこに申し込み理由を記入する欄があります。
この申し込み理由欄に、「在宅介護での問題」「介護で困っていること」をできるだけ詳細に書いてください。詳しく書いてあることで、特養に入る必要性が高いと施設に判断してもらいやすくなります。
そうなんですね!この間の申し込みのときは、とても簡単に書いてしまいました。そんなにちゃんと読んでいるとは思わなくて…。
待機期間を短くするためには、特養に入る必要性を少しでも多く伝えることが重要です。そういう意味では、「介護サービスを積極的に利用する」ことも効果的です。
どういうことですか?
介護サービスをたくさん使うということは、ご家族だけの介護が難しいということです。積極的に利用して、「介護の手が家族だけでは足りていない」ことをアピールしましょう。
また、特養の中にはショートステイをおこなっている施設もあります。なので、入所したい特養のショートステイを連続で利用するのもアリ。スタッフさんや施設担当者と顔なじみになっておいて、お母様の状況を把握してもらうんですね。
母の状況を知っていると、入所順が早くなるんですか?
はい。やはりよく知っている利用者さんを受け入れる方が、見ず知らずの人を入所させるよりも施設の負担も少ないですから。それに、身近でお母様の状況を知っていれば、「入所の必要性が高い」と感じてもらいやすくなるかもしれません。
ショートステイは、最大30日間連続で利用できます。なので、30日利用して1日だけ自宅に帰り、また30日間ショートステイをする、という使い方をしているご家庭もあります。こういった使い方を「ショートのロング」「ロングショート」と呼ぶこともあります。
「ショートのロング」なんて、初めて知りました…。
このリストで気になっていたのですが、なんで仕事をすることが待機期間を短くすることになるんですか?
これも、入所の必要性を高めるためです。介護の担い手であるご家庭が仕事をしているとなれば、介護できる人がいないので入所の緊急性は高くなりますよね。正社員でなくて、パートでも良いので仕事を始めるのも、特養に入所する戦略です。
そんな手が…。近くのスーパーで働いてみようかしら。
また、最後に特養を探す範囲を広げることも検討してください。多くの特養で待機者が多い状況ですが、中には空室が出ている施設もあります。近くの特養が空いていなくても、隣の市の特養では空室がある、なんてこともあるので、柔軟に考えて施設探しをしてくださいね。
待機期間を短くするために、いくつかの裏ワザをお伝えしました。でも、やはり今すぐに入れる施設を探すのは難しいでしょう。そこで、待機期間の介護の負担をできるだけ減らす方法についてもお話しします。
そうですよね。やっぱり、待機期間がまったくないってことはないですもんね。
実は、母の介護が大変で参ってしまっていて…。ショートのロングができるところがないか探したいと思います。
そうですよね…。待機期間中も介護は続きますから、できるだけ河野さんの負担を減らすようなケアプランになるように、ケアマネジャーさんに相談してみてください。
一方で、民間の介護施設にいったん入居してもらって、特養が空くのを待つ方法もあります。
民間の老人ホームも検討しましたけど、費用が高いですよね?
施設ごとに大きく金額が変わるので何とも言えないところですが、特養と比べたら料金が高くなる傾向がありますね。
しかし、特養と比べて空室があるケースが多いのが特徴です。すぐに入れるところもあります。そのため、ちょっと割高でも「特養の待機期間だけ」と決めて、入居している人もいますよ。民間の施設側も、そういうケースが少なくないので遠慮せずに相談してみてください。
もし、民間の老人ホーム探しで迷った場合は「いい介護 入居相談室」にご連絡ください。ベテランの相談員が、お母様の状況に合った施設をお探ししますよ。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。