介護問題にいざ直面してみると「自分の親が入居する老人ホームを探したい」「老人ホームを入居する流れを知りたい」など、疑問が出てくることがあります。
この記事では、老人ホームの種類ごとの特徴をはじめ、費用や入居条件などについて解説していきます。
▶老人ホームの費用に関してはこちらのページをご覧ください
老人ホームには、社会福祉法人や医療法人が運営する5種類の「公的施設」と民間の企業が運営する4種類の「民間施設」があります。ここからは、9種類の介護施設の入居条件や費用、サービス内容などについてご紹介していきます。
施設の種類 | 入居時費用 | 月額利用料 | 入居条件 | 認知症の受け入れ |
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介護付き有料老人ホーム | 要介護1以上 | |||
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護3程度 | |||
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立~要介護1程度 | |||
グループホーム | 要支援2以上 |
施設の種類 | 入居時費用 | 月額利用料 | 入居条件 | 認知症の受け入れ |
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特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上 | |||
介護老人保健施設 (老健) | 要介護1以上 | |||
介護医療院 | 要介護1以上 | |||
養護老人ホーム | 自立 | |||
ケアハウス | 自立~要介護3程度 |
次に、おすすめの方や、提供される介護サービス、施設内容、費用面などに関して施設ごとに紹介します。
介護付き有料老人ホームの入居条件は上記の通りです。要介護度が「自立~要介護5」と幅広いのは、介護付き有料老人ホームが「介護専用型」「混合型」「自立型」という3種類に分けられるためです。
「介護型」は、介護スタッフが24時間常駐しており、要介護者3人に対して1人以上の介護スタッフの配置が義務づけられた、まさに介護に特化した施設です。
「混合型」は、要介護者だけでなく自立者や要支援者も入居できる施設です。専門の介護スタッフより食事や入浴、排泄といった日常生活の介護サービスを受けられます。
「自立型」は要支援・要介護は入居不可の自立者のみ入居可能な施設です。誕生日のお祝い、季節イベント、レクリエーション、地域のサークルによる演奏会や交流会などのイベントが充実しているという特徴があります。
入居時費用 | 0~数千万円 |
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月額利用料 | 15~30万円 |
介護付き有料老人ホームの費用は、他の民間施設よりも高めに設定されているところがほとんどです。しかし、専門の介護スタッフが24時間365日常駐しているなど、日常生活の介護サービスや介護体制がしっかりしていて安心です。
また、駅から近い立地や、看護師が24時間常駐してるといったサービスがあると、費用は高くなります。
住宅型有料老人ホームの入居条件はそれぞれの施設によって異なります。基本的に60歳以上の要介護度の低い方向けの施設で、アクティブに老後を過ごしたい方におすすめです。介護サービスは、訪問介護やデイサービスといった外部サービスを必要な分だけ利用することになります。
要介護度が高くなると退去しなければならない施設もありますが、最近では介護付き有料老人ホームと同レベルの介護サービスを提供する施設も増えてきています。
娯楽施設が充実しているなどレクリエーションも盛んです。ホーム内はバリアフリー設計なので、安心して過ごせます。ただし、夜間時などの緊急対応ができないデメリットがあります。
入居時費用 | 0~数千万円 |
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月額利用料 | 11~25万円 |
住宅型有料老人ホームは、外部の介護サービスを利用した分だけの介護保険料のため、介護付き有料老人ホームの費用と比較すると比較的安めです。
食費や提供されるサービス(健康管理や理美容代、レクリエーション費など)、居住スペースの大きさ、設備により費用は変わります。
入居一時金の設定も施設によってさまざまです。0円として月額利用料を高めたり、逆に入居一時金を高めに設定することで月額費用を低く抑えたりと、施設ごとに特徴が異なります。
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の高齢者単身・夫婦世帯向けのマンション型住宅です。入居条件は認知症は軽度のみ、要介護度は3までというのが一般的です。高齢者にふさわしい設備とバリアフリー設計の住宅です。
サービス内容は、安否確認サービス・生活相談サービス・食事・入浴といった生活支援サービス(介護保険サービス除く)などがあります。
談話室などが設置されている住まいも多く、入居者同士の交流が盛んな施設も多いです。ただし、夜間はスタッフが常駐していないことがほとんどです。
入居時費用 | 0~数十万円 |
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月額利用料 | 11~25万円 |
サービス付き高齢者向け住宅の費用は、有料老人ホームと同じく「入居時費用」と「月額費用」で構成されます。このうち入居時費用は、施設によって「敷金」か「入居一時金」かが異なりますが、昨今では敷金の形態が多いようです。
敷金は数十万円の場合が多く、月額費用も有料老人ホームより安いことが多いため、費用面で考えれば利用しやすい施設と言えるでしょう。
グループホームの入居条件は65歳以上で要支援2以上の介護認定を持ち、認知症と診断された、施設がある市町村に住民票がある高齢者です。認知症は重度まで入居が可能です。
少人数制でアットホームな雰囲気があり、介護スタッフと入居者が一緒に買い物したり、グループごとに家事の役割分担を持たせるといった支援サポートや認知症ケアがあります。
入居時費用 | 0~数十万円 |
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月額利用料 | 10~15万円 |
グループホームの入居には、入居一時金(または保証金)、毎月の居住費や日常生活費がかかります。入居一時金の相場は0~数十万円。月額費用の相場は10~15万円で、居住費や食費に加えて介護保険の自己負担分と日常生活費が含まれます。
特別養護老人ホームの入居条件は65歳以上、要介護度3以上。認知症は軽度の方向けの施設です。在宅介護が困難になった方に対する公的な介護保険施設であり、終身にわたって介護サービスが受けられるため、「終の棲家」として利用する方も多いです。
介護度の高い方が比較的入居を優先されますが、入居希望者が多く、待機時間が長くかかる場合もあります。
利用者は寝たきりの方も多く、介護の意味合いが強い施設ですが、入居者同士のコミュニケーションや、お楽しみ会などのイベントなどもあります。
入居時費用 | 無料 |
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月額利用料 | 8~14万円 |
特別養護老人ホームの入居には入居一時金は必要ありませんが、毎月の月額費用はかかります。月額費用の相場は8~14万円ほど。費用の内訳は施設介護サービス費・介護サービス加算・居住費・食費・日常生活費です。
施設介護サービス費は、要介護度と居室タイプによって金額も変わってきます。介護サービス加算は、人員配置やサービスが手厚くなるほど金額が上乗せになります。
介護老人保健施設は病院から退院したばかりの方や、怪我などで自宅での日常生活が困難な方向けの公的施設です。3カ月から6カ月の短期入所が基本で、3カ月ごとに退所判定をおこないます。
介護老人保健施設の入居条件は、入院治療の必要がない要介護1~5であること、認知症の場合でも軽度の場合のみになります。
医師管理のもと、作業療法士や理学療法士といったリハビリ専門職の指導を受けて、自宅での生活復帰を目指し、自宅環境に合わせた訓練もおこないます。看護師からのケアや栄養管理、日常生活のサポート、そして夜間対応もあるため安心です。
入居時費用 | 無料 |
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月額利用料 | 7~14万円 |
入居時費用は無料で、月額利用料の相場は7~14万円。月額利用料には施設介護サービス費、介護サービス加算、居住費、食費、日常生活費が含まれています。金額は、要介護度や居室タイプによって変わります。
介護医療院は要介護度1~5、介護サービスと医療ケアが必要な方向けで、長期療養が可能な施設です。そのため、要支援1・2の方は利用できません。
院内には医師や看護師が常駐しているため、痰吸引といったケアや緊急対応、看取り対応も可能です。リハビリの専門職(作業療法士など)も常駐しており、利用者が日常生活を自立して送れるように機能訓練なども提供されます。
ただし、個室がなく相部屋になることも多いので、ストレスを感じる利用者もいるでしょう。
入居時費用 | 無料 |
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月額利用料 | 7~14万円 |
介護医療院の入居時費用は無料です。月額利用料の相場は7~14万円で、要介護度や医療ケアの内容により変わります。月額利用料には介護サービス費、居住費、食費、日常生活費が、介護サービス費にはオムツ代が含まれます。
ケアハウスには、生活支援が主な「一般型」と、介護サービスも提供される「介護型」があります。「介護型」の入居条件は65歳以上、要介護度1以上、認知症は軽度です。
ケアハウスは身寄りがなく独居生活に不安がある方、または家庭環境や経済状況により家族との同居が困難な方向けです。要介護度や認知症の症状が進むと退去しなければならない施設もありますが、施設によっては看取りまで対応できるところもあります。
入居時費用 | 0~数十万円 |
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月額利用料 | 6~17万円 |
ケアハウスの入居一時金の相場は0~数十万円で、毎月かかる利用料の相場は6~17万円です。
利用料が比較的安価なのは、国や自治体の助成を受けている施設が多いためです。利用者にも、世帯年収などによって費用・料金の減額措置や、高額介護サービス費の補助があります。
また、都市部などでは、地域限定で安価に利用できる都市型軽費老人ホームの整備が進められていることも利用料が安い理由です。
養護老人ホームとは経済的・身体的理由から自宅生活が困難な65歳以上の高齢者のための施設です。生活保護を受けている高齢者が社会復帰を目指す施設であり、ほとんどが公営です。
在宅介護サービスも利用可能ですが、要介護度が上がると退去になる場合があります。
アクティブなシニアライフを送りたい自立した高齢者向けには、健康型有料老人ホームがあります。
食事や日常生活の支援はもちろん、イベントや趣味サークル、プール、温泉、カラオケルーム、理美容室、医務室などが配置されているため、豊かに楽しく、安心して過ごせます。
ただし、入居中に要介護度や認知症が重くなった場合、退去を求められるデメリットもあります。
自立してアクティブに過ごしたい高齢者には、バリアフリー設計のシニア向けの分譲マンションがあります。日常生活のサポートから見守りサービス、レクリエーションや温泉、フィットネスジムといった設備が充実している施設が多くあります。
介護サービスは外部業者を利用することになり、要介護度や認知症が重くなった場合、マンションでの生活が困難になる場合もあります。
認知症の方が入居できる施設は全部で4種類あります
このうち、最も認知症ケアが手厚いグループホームに関して説明します。グループホームは地域密着型サービスであり、その施設のある市区町村に住民票があることが必須です。
認知症の方は、知らない場所で知らない人と過ごすことが苦手です。そこでグループホームでは、5~9人のグループ(1ユニットと呼びます)ごとに生活することで、少人数で変化の少ない環境下での生活を実現しています。
普段の生活に近い環境で過ごしながら、手先を動かす作業や園芸、レクリエーションやリハビリテーションといった認知症ケアもおこないます。
時には地域サークルの演奏会や近隣の幼稚園との交流もおこなうなど、認知症でも豊かな生活を送ることができます。
施設介護は費用はかかりますが、プロの介護サービスが受けられ、家族の負担が少ないという点は大きなメリットです。在宅介護は施設介護より費用は抑えられますが、介護する家族の方の負担が大きくなり、心身ともに消耗するケースが見られます。
費用面と介護する方の心身の負担のバランスを考えて、施設を利用するかしないか検討するのが良いでしょう。
毎月の年金の金額にもよりますが、まとまった貯蓄がある方が安心です。施設の立地や設備、サービス内容によって入居にかかる費用も変わってくるので、予算にあわせた施設を選ぶと良いでしょう。
そのほか、自治体独自の助成や生活保護受給、軽減制度などもあるので、お住まいの自治体へ確認しましょう。
生活保護受給者の場合は、費用面が比較的安い特別養護老人ホームへの入居が主流です。ただし、満室の施設が多く、希望してすぐに入居できるとは限りません。
また、特別養護老人ホームの入居条件は要介護3以上という条件付き。まずは、生活保護受給担当のケースワーカーに入居についての費用や施設について相談しましょう。
自立生活ができる高齢者でも健康型有料老人ホームやシニア向け分譲マンションに入居ができます。老人ホームに入ることで、食事などの日常生活のサポートや安否確認などのサービスを受けながら、アクティブな老後生活を楽しむことができます。
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