施設への入居を検討するにあたり、どうしても気になるのは費用です。さまざまな費用のなかで、金額が高いもののひとつが「施設の家賃」。サービス付き高齢者向け住宅の家賃には補助があるのでしょうか。
この記事では、「サービス付き高齢者向け住宅には家賃補助があるのか」について解説します。また、家賃のほかに「費用の負担を抑える工夫には何があるのか」についても解説しますので、参考にしてください。
現在、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)には家賃補助はありません。しかし、サ高住の家賃補助を調べようとすると、「高優賃に家賃補助がある」という説明が多くあります。これは一体どういうことなのでしょうか。
「サ高住と高優賃は同じ施設なのか」「サ高住と高優賃の関係性」を解説します。
「サ高住」の正しい名称は「サービス付き高齢者向け住宅」です。基本的に介護の必要はなく、自立している高齢者のための住まいです。バリアフリーの設備が整っており、安否確認や、生活相談などのサービスを提供しています。
「高優賃」とは「高齢者向け優良賃貸住宅」のこと。高齢者向けの住宅は、高優賃のほかにもありましたが、2011年度「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、サ高住に一本化されました。つまり、「高優賃」は「サ高住」の前身の施設なのです。
高優賃は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者が安心して住めるように、国や自治体が家賃補助をおこなう制度を取り入れた住宅です。
サ高住には家賃補助はありませんが、サ高住の前身である高優賃には家賃補助がありました。そのため、サ高住の家賃補助を調べると、「高優賃の家賃補助について」の説明が多くあります。
高優賃はすべてなくなったわけではなく、「地域優良賃貸住宅制度」として、ごく一部では現在でも運営されています。どの施設が制度の対象になっているかは自治体の判断によって違うので、住んでいる地域で調べてみてください。
しかし、高優賃はサ高住に比べて施設の数が少ないため、サ高住でなるべく費用を抑えるための方法をお伝えします。
サ高住は、文字通り「サービス」が提供されています。サ高住で提供されているのは、安否確認や生活相談などの「生活面」のサービスで、「介護面」のサービスは提供されません。
もし、サ高住に入居中の方が介護のサービスを受けたい場合は、外部の介護事業者と契約する必要があります。
サ高住で提供される「生活面」のサービスと外部の介護事業者から受ける「介護面」のサービス。どちらのサービスも見直しをすることで費用を抑えられます。
サ高住では、主に生活面のサービスを提供しています。どの施設でも必ず受けられる安否確認と、生活相談のほかに、有料オプションサービスもあります。
例えば、もっとも多いのは「食事提供サービス」。そのほかに、通院や買い物に付き添うサービスもあります。
食事や付き添いなどのオプションのサービスは、1ヵ月ごとの料金になっている場合もありますが、多くの施設はその都度、料金が発生する仕組みになっています。そのため、利用する回数を少なくすれば、その分、費用が抑えられます。
食事提供サービスであれば、自室や共有の台所で自炊をする。通院や買い物に付き添うサービスであれば、なるべく自分で買い物に行ったり、付き添いを家族にお願いする、などの工夫ができます。
自分の都合に合わせて、サ高住で受けているサービスを見直してみましょう。
サ高住は、介護サービスを外部と契約するので、自分で好きなように介護サービスを組み合わせられます。いろいろな介護サービスを契約している場合は、契約内容を見直しましょう。
訪問介護事業者など、外部で受ける介護サービスは、使えば使う分だけ費用がかかります。介護サービスに頼らず、家族が協力するのもひとつの手。家族のサポートがあれば、利用する介護サービスを限られたものだけにできます。
ただし、「無理のない範囲での協力」という点が重要です。家族だけで無理に介護しようとすると、お互いに大きな労力がかかり、場合によっては共倒れになってしまうかもしれません。
サ高住は、自分で好きなように介護サービスを組み合わせられるのが魅力です。自分に合った、一番良い組み合わせを考えましょう。
サービスの見直しなどで費用を抑える工夫をしても費用が払えそうにない、という方は「生活保護」を受給するのもひとつの手です。
サ高住は生活保護を受給していても入居できます。しかし、すべてのサ高住で生活保護の受給者が入居可能なわけではありません。生活保護の受給者を受け入れ可能なサ高住は、全体の約2割ほど。そのため、希望の施設、あるいはすでに入居中の施設が、生活保護を受給しても入居できるとは限りません。
出典:「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」(公益社団法人全国有料老人ホーム協会)
生活保護受給者が入居可能な施設でも、受け入れ人数を制限している場合もあります。生活保護受給者の定員が埋まっていれば入居できません。
「生活保護受給者を受け入れてくれる施設は少ない」「定員が制限されている」ということを考えて、希望の地域だけではなく広い地域の施設を検討しましょう。
サ高住に家賃補助の制度はありません。しかし、サ高住の前身の高優賃には家賃補助があります。高優賃はごく一部で残っていますが、施設の数がとても少ないです。どうしても家賃補助を利用したいのであれば、ご自身の住んでいる地域で調べてみましょう。サ高住はサービスを自分で選んで利用できる特徴がありますので、工夫次第ではサ高住でも費用を抑えることができます。
「高優賃」は「サ高住」の前身の施設です。高齢者向けの住宅は高優賃のほかにもありましたが、2011年度「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、サ高住に一本化されました。サ高住に一本化されて以降は「高優賃」と呼ばれる施設は新しく出来ていません。しかし、法の改正前より存在していた「高優賃」のごく一部は今でも存在しています。
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