介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「住宅型有料老人ホーム」が挙がることもあるでしょう。住宅型有料老人ホームでは介護保険を利用できるのか気になりますね。
住宅型有料老人ホームの施設自体の費用には介護保険は適用されません。しかし、住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者と契約をし、介護サービスを利用した際には介護保険を利用できます。
この記事では、住宅型有料老人ホームと介護保険の関係性について解説します。また、住宅型有料老人ホームの入居中にかかる費用のうち、介護保険が適用されるサービスの解説や、介護費用を抑えるための制度も解説するので、あわせて参考にしてください。
Contents
住宅型有料老人ホームでかかる、初期費用や月額利用料など、施設利用にかかる費用には介護保険は適用されません。
そもそも介護保険は、介護サービスに適用される制度です。
住宅型有料老人ホームでは、食事の提供や洗濯、掃除など生活面のサービスを提供していますが、施設から介護サービスの提供はありません。そのため、住宅型有料老人ホームの施設利用にかかる費用には介護保険は利用できないのです。
住宅型有料老人ホームの入居者が介護サービスを利用したい場合には、外部の介護事業者と契約を結ぶ必要があります。外部の介護事業者から受ける介護サービスには介護保険が適用されます。
住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用は主に以下です。
住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用の中の「介護保険が適用されるサービス」を詳しく解説しますので見てみましょう。
住宅型有料老人ホームに入居している間にかかる費用の中で、「介護保険が適用されるサービス」は主に以下です。
住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者と契約を結んで介護サービスを受けた場合、外部の介護事業者から提供される介護サービスには介護保険が適用されます。
住宅型有料老人ホームの費用の中の家賃や生活支援サービス費など、介護サービス以外の費用には介護保険は適用されません。
介護保険サービスを利用するには、さまざまな手続きが必要です。例えば、要介護度がない人は、まずは要介護認定を受けなければいけません。
介護保険サービスを利用するまでの流れを解説しますので参考にしてください。
介護保険適用の介護サービスを受けるためには、要介護認定を申請し、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受ける必要があります。
要介護認定の申請してから認定を受けるまでの流れは主に以下です。
要介護認定の申請をすると、まずは訪問調査がおこなわれます。訪問調査は市区町村の職員が介護認定調査員として、自宅や施設、病院へ訪問します。
訪問調査では、介護を受けたい本人が介護が必要な状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要なのかなどを確認します。
その後、申請した書類や訪問調査をもとにコンピュータや「介護認定審査会」により審査がおこなわれます。
介護認定審査会により審査結果が出ると、介護を受けたい本人に要介護度が認定され通知されます。一般的に要介護認定の申請から約30日で結果が通知されますが、地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。
住宅型有料老人ホームでの介護保険サービスの自己負担額は、居宅介護の利用限度額が適用されます。
居宅介護サービスの利用には、要介護度に応じた利用限度額が設定されています。要介護度が高くなるほど、限度額も上がります。
自己負担額の詳細はこちらの表でご確認ください。
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
住宅型有料老人ホームの入居者が外部の介護事業者の介護サービスを利用した場合の費用は、利用した分だけを支払います。介護サービスを多く使わなければ費用を抑えられますが、介護サービスをたくさん利用する場合にはその分費用がかさんでいきます。
住宅型有料老人ホームの入居者は、基本的には、外部の介護事業者や介護サービスの内容を自由に選べます。入居者にとって介護サービスの種類や利用頻度はさまざまなので、必要なだけ利用できるのは便利ですが、要介護度が上がると毎月の介護サービス費の負担が大きくなる可能性があります。
介護サービスの利用が多く介護保険が対応できる上限を超えた分に関しては、すべて自己負担となります。
住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度があります。主には以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度のひとつに「高額介護サービス費」があります。
高額介護サービス費とは、介護保険サービスの利用者の経済的負担が重くなり過ぎないように設けられた制度。月々の自己負担が限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。
自己負担の限度額は介護サービスを受ける人が属する世帯の所得と本人の所得によって決まります。自己負担額の限度額は以下です。
区分 | 負担の上限(月額) |
---|---|
生活保護を受給している方など | 1万5000円(個人) |
前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下 | 2万4600円(世帯) 1万5000円(個人) |
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方 | 2万4600円(世帯) |
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 4万4400円(世帯) |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 9万3000円(世帯) |
課税所得690万円(年収約1160万円)以上 | 14万100円(世帯) |
出典:「高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」(厚生労働省)
表中の世帯は、世帯合算ができるという意味です。例えば、夫婦2人とも介護認定を受けていた場合、合算した利用額が上記の自己負担限度額を上回れば、超えた分が払い戻されます。
例として、世帯の自己負担の上限が月2万4600円の世帯で、1ヵ月間の自己負担の合計4万円だった場合は1万5400円が払い戻される計算になります。
住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる、介護費用を軽減する制度のひとつに「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療サービスと介護保険サービスの両方を利用し、自己負担額の合計が負担上限額を超えたときに超過分が支給される制度です。
負担上限額は所得に応じて設定されており、合算期間は1年間です。同じ医療保険制度に加入している家族の分も合算できますが、高額介護サービス費として支給された金額は差し引いて計算します。
高額医療・高額介護合算療養費制度の負担上限額は、所得のほか70歳未満の人がいる世帯と70歳以上の人がいる世帯で区分されます。国民健康保険と後期高齢者医療など家族で加入する医療保険制度が異なると、合算できないため注意が必要です。
各区分の負担上限額は次の表でご確認ください。
75歳以上 | 70~74歳 | 70歳未満 | ||
---|---|---|---|---|
介護保険+後期高齢者医療 | 介護保険+被用者保険または国民健康保険 | |||
年収約1160万円~ | 212万円 | |||
年収約770~約1160万円 | 141万円 | |||
年収約370~約770万円 | 67万円 | |||
~年収約370万円 | 56万円 | 60万円 | ||
市町村民税世帯非課税など | 31万円 | 34万円 | ||
市町村民税世帯非課税 かつ年金収入80万円以下等 | 本人のみ | 19万円 | ||
介護利用者が複数 | 31万円 |
老人ホームの中には、住宅型有料老人ホームのように施設自体の費用には介護保険が適用されない施設と、施設自体の費用に介護保険が適用される施設があります。
老人ホームの主な種類は以下です。
老人ホームの種別 | 介護保険の適用 |
---|---|
介護付き有料老人ホーム | 〇 |
住宅型有料老人ホーム | ✖ |
健康型有料老人ホーム | ✖ |
サービス付き高齢者向け住宅 | ✖ |
グループホーム | 〇 |
特別養護老人ホーム | 〇 |
介護老人保健施設 | 〇 |
介護医療院 | 〇 |
ケアハウス | ✖ |
サービス付き高齢者向け住宅とケアハウスは施設の費用は介護保険の適用外です。
サービス付き高齢者向け住宅とケアハウスは住宅型有料老人ホームと同じように、介護が必要になった場合には外部の介護事業者を利用する制度の施設で、外部の介護事業者から提供される介護サービスには介護保険が適用されます。
住宅型有料老人ホームでかかる初期費用や月額利用料などの施設自体の費用には介護保険は適用されません。
住宅型有料老人ホームの入居者が利用できる介護費用を軽減する制度には「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。
施設自体の費用に介護保険が適用される老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」があります。
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