日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年現在)。2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。高齢化社会の日本では、認知症に向けた取り組みが今後ますます重要になってきているのです。
これまで認知症の診断には専門の訓練を受けた医療関係者が携わってきましたが、認知症の診断には記憶や計算力などを測る複数の検査が必要なこと、検査の専門性が高く、医療従事者の訓練に時間がかかるなどの問題がありました。しかし、そうした問題も将来、AIが解決してくれるかもしれません。
2022年8月4日、自然言語解析AIを開発するFRONTEO(東京都港区)は、慶應義塾大学医学部と共同で、自然言語処理(NLP)を用いた「会話型 認知症診断支援AIプログラム」を開発したと発表したのです。
FRONTEOは、認知症が言語能力の低下を引き起こす点に着目。135人の被験者の会話を録音し、自動音声認識などでテキストデータ化し、それをクラウド上のAIプログラムが読み込み、認知症の可能性があるかどうかを判定する研究をおこなってきました。その結果、3〜5分程度の会話から、高い精度で認知症の判定が可能という結論が出たのです。
この結果を受けてFRONTEOは今後、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」を医療機器として実用化することを目指しているとのこと。このプログラムを使用すれば、専門医に限らず一般医による使用や、遠隔診療などで活用することも可能になるかもしれません。
また、従来の検査で課題だった、被験者が検査内容を覚えてしまい検査の精度が低下する「学習効果」を避けることが可能な技術としても注目されています。
認知症は発見が早ければ早いほど、高い治療効果が見込まれます。人手不足が続く医療・介護業界。医療従事者と患者、そして患者の家族の負担を軽くするプログラムとしても、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の活用に期待したいですね。
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