2020年時点の推計では、認知症の人の数は約600万人。高齢者の約16%が認知症を発症しているとされています。
しかし今回、認知症と診断されている人の一部が誤診である可能性が示唆されました。
そのことに触れたのは、熊本大学の研究グループ。同研究グループの調査によると、熊本大学病院の外来患者で認知症の可能性を疑われた人のうち、7名が認知症ではなく発達障害(ADHD)であることがわかりました。
さらに、この7名のうちの半数がADHDの治療薬で症状が改善したそうです。
熊本大学は、同大学病院の認知症外来の患者446名について調査を実施。そのうちの7名が認知症ではなく発達障害であることが判明したことを発表しました。
今回の調査は、2020年に認知症を疑われた60歳前後の患者が認知症ではなく発達障害であることがわかるという症例を受けておこなわれたものです。
この患者は、物忘れや不注意が目立つようになり会社を休職していたそう。しかし、ADHDの治療をおこなったことで症状が改善し、復職できるまでになったとのことです。
今回の調査結果を受けて研究グループは、高齢者においてはADHDが認知症と誤診される可能性や、加齢によってADHDの症状が明らかになる可能性を示唆しました。
重ねて、認知症の治療とADHDの治療が異なることから、適切に診断をして適切な治療をおこなうことで高い確率で回復する可能性にも触れました。
認知症とADHDは、記憶することが苦手だったり注意力が低下するなどの点で共通しています。しかし、認知症は年齢を重ねるごとに症状が進行していくのに対して、ADHDは先天性の障害ということもあり進行しません。
ただ、認知症とADHDを見分けるのは専門家である医師でも難しいそう。今回の研究で、高齢になってからADHDが発見されることが広く知られて、適切な治療が受けられる人が増えることに期待ですね。
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