大阪府大阪狭山市は、徘徊から保護した認知症高齢者の身元を特定する新しい取り組みを10月から始めると発表しました。
この取り組みは、事前に登録した歯のレントゲン写真をもとに、AI(人工知能)を用いて情報を照合するというもので、全国でも初の試みだそうです。
警察庁によると、2021年に届け出のあった認知症による行方不明者は1万7636人に上り、年々増加しています。
認知症による徘徊は止めることが難しく、事故や怪我などの危険もあります。また、発見までに時間がかかれば命にもかかわる可能性があるのです。
徘徊は家族や近所だけで解決できる問題ではありません。
そこで各自治体は、地域の生活関連団体等が捜索に協力して速やかに行方不明者を発見・保護するSOSネットワークや、本人や家族の同意の上で氏名や顔写真などを登録しておく事前登録制度(「茨城県おかえりマーク」シール等)などの対策をとっています。
今回の大阪狭山市の取り組みは、こうした徘徊対策の新たな試みといえるでしょう。
大阪狭山市では、2009年度から「高齢者SOSネットワーク事業」を実施しています。
この取り組みでは、個人情報を登録した高齢者が行方不明になった場合、顔写真や年齢といった情報を市内の郵便局や企業、交通機関などに送り、警察、消防とともに地域が一体となって捜索してきました。
しかし、家族からの依頼がなく、身元がわかる物も持っていない人を保護した場合は身元を特定するのが難しかったそうです。
そこで、上下すべての歯の情報を記録できる「歯科パノラマレントゲン画像」が注目されました。
今回の新たな取り組みでは、行方不明になるかもしれない認知症の高齢者の歯を事前にレントゲン撮影して登録。身元がわからない高齢者を保護した際に、その歯の情報と合致する人がいないかを照合します。
この際、手作業の代わりにAIを用いることで、なんと10秒ほどで判定できるとのこと。市の担当者は「どうしても身元がわからない場合の決め手になる」と期待を寄せています。
高齢者の徘徊問題は待ったなし。複数の取り組みを組み合わせたり、新しい技術を使ったりすることが、今後ますます求められるのではないでしょうか。
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