新たな研究で、糖尿病を患っている人はそうでない人に比べて、血管内に血の塊ができる血栓症の発症リスクが上昇することがわかりました。
この研究はオーストリアのウィーン医科大学によっておこなわれたものです。
今回の研究で言及されている「血栓症」とは、端的に言うと血管内に「血栓」と呼ばれる血の塊ができて、それが血管を詰まらせてしまう病気です。
血栓は主にふくらはぎや太ももの血管でできることが多く、それが血流に乗って肺などに運ばれることでさまざまな症状が出現。足から心臓へと血液を戻す深い部分の静脈に血栓ができた場合は、足に痛みが出たり、足が赤黒く腫れたりもします。
また、足の血管にできた血栓が肺まで運ばれると、胸の痛みや動悸などの症状が出るほか、場合によっては呼吸困難で命に危険が及ぶこともあります。
一方、血栓ができただけでは症状が出ない場合も。ただ、その血栓が肺まで運ばれると重症化する危険があるため、それまでに処置する必要があります。
今回の研究では、オーストリアで保管された2003~2014年にわたる約4500万件の医療データを活用しました。
研究の対象者は、糖尿病と診断された男女約18万人。構成は、男性が10万9295人、女性が7万739人です。
研究グループは、対象者の医療データを分析。その結果、糖尿病を患っている人はそうでない人に比べて、血栓症を発症するリスクが男性で1.3倍、女性で1.52倍上昇したことが明らかになったのです。
糖尿病を患っている中年女性は特に血栓症になりやすく、50代女性は1.65倍まで血栓症のリスクが引き上がることも判明。この理由について、ウィーン医科大学のカロラ・ダイシンガー氏は「50代は更年期の影響を受けやすいことも、リスクが上昇した一因なのではないか」と分析しています。
では、血栓症はどうすれば予防できるのでしょうか?
イギリスのブリストル大学に所属するセトール・クヌーソル氏は「パソコンの前で何時間もデスクワークをするなど、座ったままの時間が長くなる場合は、30分ごとに立ち上がってストレッチをしたり軽く周りを散歩したりすると良いでしょう」と、小まめに身体を動かす機会をつくるように勧めています。
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