新たに、アルツハイマー型認知症の診断精度を高められる可能性がある手法が開発されました。
この研究は慶應義塾大学によっておこなわれ、研究結果は「Neurology」というアメリカの医学誌に掲載されています。
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アルツハイマー型認知症の診断を確定させるのは難しいと言われています。
アルツハイマー型認知症だと診断を確定させるためには、脳の一部を採取して、「アミロイドベータ」や「タウ」と呼ばれる異常なタンパク質が脳に蓄積していることを確認する必要があります。しかし、こうした検査は患者に大きな負担がかかるため、実際にはほとんどおこなわれていません。
では、どのようにアルツハイマー型認知症だと診断されているのでしょうか?
診断するためには、主に脳の萎縮具合を画像で見る頭部MRIや認知機能を測る認知テストなどが用いられています。その結果を精査して、総合的にアルツハイマー型認知症かどうかが判断されているのです。
しかし、それらはどれも決定的な検査ではないため、認知症の誤診率は4割程度に上るとも言われています。
こうした状況を改善する手がかりを見つけるために、慶應義塾大学のグループは今回の研究を実施することにしたのです。
研究グループは、107人の研究対象者を、認知症がある42人、軽度認知障がいがある25人、認知機能が正常な人40人に分類。その後、それぞれの対象者に、脳に異常なタンパク質が蓄積されているかどうかが画像でわかるPET検査を2種類実施しました。
その結果、全体の35%に診断の変更があったことが明らかになったのです。
【PET(ペット)検査とは】
がんなどの病変を検査する画像診断法のひとつ。「陽電子放射断層撮影法」を表す、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)の略で、微量の放射線で目印をつけたブドウ糖を体内に投与してから専用のカメラで撮影するとがん細胞が光っているように表示され、がんの位置や大きさ、活動の状態を判断することができる。
研究前、軽度認知障がいがある25人のうち、23人は将来アルツハイマー型認知症になるリスクが高いと言われていました。
しかし、2種類のPET検査によって、25人のうち11人の脳内にはアルツハイマー型認知症の原因物質である「アミロイドベータ」は検出されなかったことが判明。そのため、11人はアルツハイマー型ではない、別のタイプの認知症になるリスクが高いと診断が変更されたのです。
また、2種類のPET検査によって認知機能が正常な40人のうち4人にも脳内に「アミロイドベータ」が蓄積されていることが確認され、将来アルツハイマー型認知症になるリスクがあることがわかりました。
今回の研究をリードした伊東大介特任教授は「2種類のPET検査を実施することで、診断の精度が向上し、アルツハイマー型認知症の薬をより適切に使えるようになるかもしれない」としています。
これから認知症診断の精度が改善され、より迅速に認知症の人を支援につなげられるようになると良いですね。
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