新たな研究で、聴力が低下した高齢者の孤独感が要介護状態を引き起こす可能性が示されました。
この研究は、国立長寿医療研究センターの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」という学術誌に掲載されています。
今回の研究は、国立長寿医療研究センターがおこなっている大規模研究「NCGG–SGS」に参加した、愛知県東海市在住で65歳以上の高齢者のうち、本研究の参加基準を満たした4739人を対象に実施。聴力低下の度合いによってグループ分けをし、孤独感と要介護状態の新規発生との関連を分析しました。
ちなみに、孤独感はカリフォルニア大学が考案した「孤独感尺度」を用いて「自分は周囲から孤立していると思うか」「周囲に人がいるけれど、自分とは一緒にいないと感じるか」などの質問で評価しました。
調査の結果、要介護状態の新規発生率が聴力低下のないグループでは4.5%だったのに対し、聴力低下のあるグループでは8.3%と、要介護状態になっている人の割合が大幅に高いことが明らかになりました。
また、最初の調査から2年後に、孤独感と要介護状態の新規発生との関連性を調べたところ、聴力低下のないグループでは孤独感と要介護状態の新規発生との関連性は見られなかったことが判明。一方で、聴力低下のあるグループでは、孤独感がある人はそうでない人に比べて、およそ1.7倍多く要介護状態の新規発生が見られたことがわかりました。
このように、孤独感が要介護状態につながることが示されました。では、どんな人が孤独を感じやすいのでしょうか?
研究グループが統計的に分析した結果、以下の要素を持っている人はより孤独を感じやすい傾向にあることが判明しました。
別の研究では、聴力低下によってコミュニケーションが阻害されることで、高齢者に孤独感をもたらすことが示されています。このように聴力低下と孤独感は密接に関係しているため、補聴器をつけるなど聴力を補うことが孤独感を和らげるのに有効かもしれません。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。