新たな研究で、中学・高校生期と高齢期の両方に運動習慣がある人は、そうでない人に比べて加齢や疾患で筋肉量が減少する「サルコペニア」になるリスクが低下することが示されました。
この研究は、順天堂大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle」という医学誌に掲載されています。
そもそも、サルコペニアとはどのような状態なのでしょうか?
サルコペニアとは、加齢や疾患により骨格筋の筋肉量が著しく減少した状態のこと。この状態になると、日常生活の動作に欠かせない筋力も衰えるため、転倒や骨折などで要介護状態になるリスクが高まります。
そのため、高齢になっても健康で長く過ごしていくには、サルコペニアの予防が大切です。
研究グループは、20~25歳でピークを示し、50歳前後から徐々に低下していくという骨格筋機能の推移に着目。ピークを高める中学・高校生期と低下を抑える高齢期で運動をおこなえばサルコペニアを防止できるのではないかと推測しました。
そこで、研究グループは順天堂大学がおこなっている、東京都文京区在住の高齢者を対象にした観察型研究「文京ヘルススタディー」の参加者1607人を対象に調査を実施。中学・高校生期および高齢期の運動習慣と、サルコペニアの発症リスクとの関連性について解析しました。
解析の結果、男性では中学・高校生期と高齢期の両方で運動習慣がある人は、両時期に運動習慣がない人に比べて、サルコペニアを有する人の割合が0.29倍低いことが明らかになったのです。また、筋力や身体機能が低下した人の割合も0.52倍低いことがわかりました。
さらに女性でも、中学・高校生期と高齢期の両方で運動習慣がある人は、どちらの時期にも運動習慣がない人に比べて、筋力や身体機能が低下した人の割合が0.53%低いことが判明。一方、女性ではサルコペニアを有する人の割合には差が見られませんでした。
以上の結果を受けて、研究グループは「若い頃の運動の長期的な意義がこの研究で示された。若い頃に参加しやすい運動やスポーツの機会を増やしていくことが大切だ」と述べました。
今回の研究で、若い頃の運動の大切さが示されました。ただ、中学生や高校生の頃は文化部だったという人もいるでしょう。そんな人は、今からウォーキングなどの軽い運動をすることから始めてみてはいかがでしょうか。
今回の研究以外にも、運動の効果を示す研究はたくさん世に出ています。今からでも運動習慣をつけることは、決して無駄にはなりませんよ。
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