大阪府泉佐野市にある訪問介護事業を運営している取締役が、虚偽の申請書を提出して金銭をだまし取った疑いで逮捕されました。
取締役らは、訪問介護を提供していないにもかかわらず介護給付費を申請して、約170万円を受け取ったとみられています。
Contents
警察の調べによると、容疑者らはおととし、介護サービスを提供していないにもかかわらず泉佐野市に対して申請書を提出し、介護給付費10人分に相当する約170万円をだまし取ったとみられています。
情報提供を受けた泉佐野市が調査したところ、容疑者らはほかの市でも同様の不正受給をおこなったことが判明。その額は合計で9000万円にも上るそうです。
不正受給を受けて、泉佐野市は容疑者らが運営していたとされる訪問介護事業所の指定取り消し処分を実行し、刑事告訴しました。
警察は容疑者らの余罪を含め、さらに詳しい調査を進めていく方針を示しています。
介護サービスを提供している事業者は、監査などで適切な運営がなされていないと判断された場合、その重さに応じて行政処分が下されます。
介護事業所で不正がおこなわれた場合、まずは改善勧告や改善命令が下され、業務を改善するように指示されます。改善勧告はあくまでも「指導」のため強制力がありませんが、改善命令は「行政処分」なので強制力があります。
また、改善命令にも従わない場合は不正の程度に応じて、業務の一部またはすべてを一時的に停止させられます。
介護事業者に下される最も重い処分が、今回の事件の容疑者らが受けた「指定取り消し」処分で、これを受けると介護報酬が国から入ってこなくなるため、実質的に事業を続けることはできなくなります。
大阪府の発表によると、府内で指定居宅サービス事業者としての指定の取り消しや、効力停止処分を受けた事例は、2019~2021年の3年間で16件に上るそうです。処分を下した理由は、ほとんどが介護報酬の不正受給によるものでした。
介護報酬は有限なので、不正受給する事業者がいればその分きちんと運営している事業者にしわ寄せがいくことになります。高齢者が健やかに暮らせる社会をつくっていくためにも、徹底した監査をおこなってほしいですね。
参考:「指定居宅サービス事業者等に対する指導および監査について」(大阪府)
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。