アルツハイマー病のリスクのある高齢女性がヨガに取り組むと、記憶力に関連する脳領域の活動が活発になる可能性が示されました。研究グループは、特に多くのストレスを抱えているような女性に有効だとしています。
この研究はアメリカのカリフォルニア大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Journal of Alzheimer’s disease」という学術誌に掲載されています。
今回、研究グループは、アルツハイマー病のリスクが高いと判定された60歳以上の女性22人を対象に調査を実施。従来の記憶力トレーニングに取り組むグループとヨガトレーニングに取り組むグループに分け、毎日約20分間のトレーニングをおこなうように指示しました。
12週間後に、脳のさまざまな領域の活動を測定できるfMRIと呼ばれる装置を使って、記憶力に大きく関連しているとされる「海馬」の活動量を分析しました。
その結果、ヨガに取り組んだグループでは、海馬の記憶力に関連する領域の活動がより活発になっていることが明らかになったのです。
以上の結果を受けて、カリフォルニア大学ヘルスシステム神経科学研究所に所属しているヘレン・ラブレツキー氏は「ヨガは、ストレスを感じやすく、主観的な記憶障害のある女性に対して有用である可能性が示された。身体機能が低下した高齢者であっても、身体の動きや呼吸に焦点を当てた穏やかなヨガであれば、安全に取り組めるだろう」としています。
カリフォルニア大学の同じ研究グループは、これまでに認知症の高齢者を介護している45人を対象としたヨガの研究も実施。ヨガが介護のストレスに対しても有効であることを発表しています。
その研究によると、1日に12分間の瞑想を取り入れたヨガに取り組んだ人は、そうでない人に比べてメンタルヘルスが改善し、身体の炎症反応も低下したことが明らかになったといいます。
ラブレツキー氏は「特に、高齢の介護者は生活の満足度が低下しやすく、心身の健康状態が悪化しやすいことが知られている。しかし、今回の研究で、ヨガがストレスを緩和する可能性が示されたことはとても元気づけられる発見だ」と述べています。
ヨガや瞑想は心身を落ち着けるのにとても有効だとして、世界中から注目が集まっています。場所も取らず気軽にできるため、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
参考:「Impact of Yoga Versus Memory Enhancement Training on Hippocampal Connectivity in Older Women at Risk for Alzheimer’s Disease」(Journal of Alzheimer’s disease)
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