2023年8月25日、兵庫県尼崎市内にある介護事業所の元職員らが、同市役所で会見を開きました。元職員らが働いていた介護事業所で介護報酬を不正に受給していた疑いがあるとして、市に事実解明を求めたのです。
元職員の会見などによると、介護事業所を運営している一般社団法人は、2017年12月から2022年の春までに、介護サービスを提供していないのにかかわらず提供したと申告して3000万円以上を不正に受給した疑いがあるとしています。
元職員の証言の中には「週6日の介護報酬を請求しているのに、実際に働いたのは週1日だけ」というものもあるそうです。
さらに、利用者の介護をする度に担当したヘルパーが記入するはずのサービス実施記録を、法人幹部が書き込んでいた疑惑も浮上。この場合、不正受給額はさらに膨らむ可能性があるといいます。
元職員らから相談を受けた議員は、住民監査請求や警察への通報なども視野に調査を進めていく方針を示しています。
兵庫県では「介護保険制度は、国民から集めた保険料と公費から成り立っている公的な制度であり、制度の健全な運営によって国民からの信頼を確保しなければならない」として、介護事業所の不正防止に取り組んでいます。
具体的には、定期的な運営状況の確認や、実際に事業所に赴いて指導をおこなう実地指導などを実施。事業所の不正が疑われるような場合は、事業所の運営状況をさらに詳しく精査し、場合によっては行政処分をおこなうといいます。
特に今回疑われているような、介護報酬の不正受給に関する処分は重く、一発で最も重い指定取り消し処分が下される可能性があります。
実際に、2014~2018年の間に、兵庫県尼崎市内にある介護事業所に下された6件の指定取り消し処分のほとんどは、介護報酬の不正受給が原因です。
施設で暮らしている高齢者が安心できる環境をつくっていくためにも、誠実な運営を心がけてほしいですね。
参考:「介護サービス事業における法令遵守・指導監査方針について」(兵庫県)
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