2024年1月17日、東京商工リサーチが2023年の1年間で起きた介護施設の休廃業や解散、倒産をまとめたレポートを発表。その結果、同社が調査を始めた2010年以降で最多となる、510件もの介護事業所が休廃業や解散に追い込まれたことが明らかになりました。
この結果について、東京商工リサーチは「人手不足などで経営が悪化したため、倒産する前に事業の継続を断念した事業者が多いのではないか」と分析しています。
1月17日に東京商工リサーチが発表したレポートによると、昨年1年間で510件の介護事業所が休廃業や解散に追い込まれたことが判明。これは前年より15件多く、東京商工リサーチが調査を始めた2010年以降で最多となる数字です。
この理由について、東京商工リサーチは「人手不足による経営悪化」や「経営者の高齢化」が介護事業からの早めの撤退を決断させたのではないかと分析しています。
また東京商工リサーチは、介護事業所の倒産件数についても調査を実施。その結果、2023年における介護事業所の倒産件数は122件であることが判明。これは、新型コロナの対応に追われた2022年の143件に次いで過去2番目に高い水準となっています。
サービス別に倒産した介護事業所をみてみると、特に人手不足が深刻とされる訪問介護事業所の倒産が最多に。その数は2023年の倒産件数全体の半数以上を占める67件にも上ります。深刻な人手不足に加え、ヘルパーの高齢化や物価高騰なども影響しているとみられています。
さらに、規模別に分類して調査結果を分析したところ、職員数10人以下の小規模な事業所の倒産が全体の8割以上を占めていることが明らかになりました。小規模の事業所では資金に余裕がないところも多く、新しい人材の確保や先端テクノロジーの導入などが難しいことも一因ではないかとみられています。
東京商工リサーチは「2024年は一段と小・零細事業者の倒産や休廃業、解散が増えるのではないか」と分析しています。
このように厳しい経営状況が浮き彫りになる中、1月22日、厚生労働省は訪問介護事業所の介護報酬引き下げを発表しました。訪問介護の事業所が厳しい経営状況に耐えられず事業を撤退させれば、高齢者の在宅介護が一層難しくなる地域も出てくる可能性があります。政府には実態を伴った改革をしてほしいですね。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。