介護事業所、3年ぶりに倒産数減!しかし長引く人材不足とコロナ負担
更新日
2022/01/27
2021年の介護事業者の倒産件数が、2020年よりも約3割減の81件となったことを東京商工リサーチが明らかにしました。前年の倒産件数を下回ったのは3年ぶりだそうです。
政府による新型コロナウイルス関連の資金支援策や介護報酬の改定などが功を奏して、倒産が減ったとみられるとのことです。
資金支援策・給料アップで倒産数は減少
2021年の介護事業者の倒産件数は81件となり、2020年から約3割減。2015年以降、倒産件数は年100件を超えている状況が続いていました。
一方で
新型コロナ関連の倒産は急増し、11件となりました。政府による資金支援策もありますが、コロナ禍による
デイサービスなどの利用控えや感染対策によるコスト増が倒産数の増加につながっているようです。
また数は減ったものの、
訪問介護事業所が倒産件数の約6割、デイサービス・
ショートステイ事業所が約2割を占めています。倒産数の多くを在宅介護サービスが占めているのは変わらずです。感染拡大でサービスの利用を控える人が多く、それによる収入減が影響しているとしています。
在宅介護サービスを提供する事業者の倒産が多いのは、懸念材料と言わざるを得ません。というのも「そろそろ介護が必要かも」と思ったとき、はじめに検討するのが在宅介護サービスであることが多いからです。
「訪問ヘルパーさんに家事を手伝ってもらう」「昼間はデイサービスに行く」など、まずは在宅介護サービスの利用を考える人が多いでしょう。この状況が続けば「近くのデイサービスを利用しようと思ったら、倒産していた」なんてこともあるかもしれません。
事業所の倒産で家族負担が増える?
人材不足と感染拡大が続き、苦しい経営状況が続く介護業界。
2021年は資金繰り支援策や介護報酬改定などの影響で、前年から倒産数は減少しました。しかしコロナ禍が長引いて入国制限が続くことで、外国人実習生の受け入れができないこともあり、人材確保に悩んでいる状況はあまり変わっていません。
そのうえ、
介護職員が濃厚接触者になれば自宅待機となり、現場が回らなかったり、サービスの質が低下する恐れもあります。介護現場が崩壊するのは時間の問題かもしれません。
もしかしたら、職員不足で施設入居数を制限する施設も出てくるかもしれません。そうなると訪問介護などを利用するしかありませんが、前に書いた通り、在宅介護サービスの事業者の倒産数が多いのは変わらないので、訪問介護も受けられない可能性があります。その結果、
家族の介護負担が増える可能性があります。
介護事業者の倒産は、そこで働く人だけでなく、介護サービスを利用する私たちも気にかけておく必要がありそうですね。