今月25日に認知症の父とその介護をする娘を描いた「選ばなかったみち」が公開されました。
この映画は、2020年の第70回ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品された作品。監督自身の介護体験をもとに作られた脚本は、認知症の父親の幻想と介護する娘の葛藤をリアルに描いています。
今月25日、サリー・ポッター監督作品「選ばなかったみち」が公開。監督が自身の弟の介護をした経験をもとに脚本の執筆もおこなっています。
物語はニューヨークのアパートで一人暮らしをするメキシコ移民のレオと、その娘のモリーを中心としたヒューマンドラマ。元作家のレオは、現在は認知症を発症しており、モリーやヘルパーとの意思疎通も難しい状態です。
物語は、ある日の朝レオを病院につれていくためにモリーがアパートを訪ねるところから始まります。
しかしモリーが隣にいるのにも関わらず、レオの心は故郷のメキシコや、一人旅で行ったギリシャに旅立ち、現実世界にはありません。
この映画のなかでは、ニューヨークの現実とメキシコ・ギリシャの幻想が同時に進行していきます。
幻想の中の出来事が現実のレオにも影響を及ぼし、レオは幻想の出来事に反応します。しかし、周囲の人には突拍子もない行動をしているようにしか見えず、理解ができません。
このようにコミュニケーションもままならない父を介護するモリーは、父の介護をしたい気持ちと自分のキャリアや生活との間で悩む様子がリアルに描かれています。
この映画は監督自身の介護の経験をもとに描かれているため、認知症のレオの様子や介護に翻弄されるモリーの描写にリアリティがあります。
そのため、介護を経験したことのある人は共感できる部分があるかもしれませんし、経験したことのない人は、認知症の人がどんな様子なのかを感じるきっかけになる映画かもしれません。
この映画では3つの世界が同時進行しており、レオの言動は幻想世界とつながっています。そのため、幻想世界を体験している観客にはわかりますが、登場人物たちにはわからず、「意味不明な行動をする認知症男性」として扱われているのが印象的です。
この映画は「認知症の人の行動には理由がある」と気付かせてくれる作品になっていると言えるかもしれませんね。
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