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海外の介護事情

人材不足 海外の介護事情 調査結果

介護ヘルパーが貧困状態!?アメリカで在宅介護ニーズの増加も低賃金で…

日本と同様に高齢化が進むアメリカでは、老人ホームよりも自宅でヘルパーのサポートを受けながら生活することを好む人が増えています。 ただ、増大するヘルパー需要に対して供給が追いついていない現状が新たな研究でわかりました。 この研究はアメリカのペンシルバニア大学によっておこなわれ、その研究結果は「Health Affairs」と呼ばれる医学誌に掲載されています。 アメリカの国勢調査のデータを分析 研究グループは、ホームヘルパーの供給が国全体の需要に追いついているかどうかを調べるために2種類のデータを用いることにしました。 アメリカの国勢調査局が毎年実施している「米国コミュニティー調査」の2008~2020年のデータと、医療政策団体のカイザー・ファミリー財団が収集した1999~2020年のデータを分析。ホームヘルパーの数と在宅介護を希望する高齢者の数をそれぞれ調べました。 在宅介護の担い手が需要に追いつかず 研究グループが2種類のデータを分析したところ、2013~2019年にかけて訪問介護サービスを利用する人100人当たりのホームヘルパーの数が11.6%減少したことがわかりました。 ホームヘルパーの数は以前より増えていたものの、それを上回るペースで在宅介護を求める高齢者が増加していたのです。 今回の研究をリードした、ペンシルバニア大学医療経済学部に所属するアマンダ・クライダー氏は「ホームヘルパーの仕事は過酷でありながら給料が安く手当も少ないため、多くのヘルパーが貧困状態にある。このような現状から、ホームヘルパーの仕事を希望する人が少ない」と、介護の担い手が足りていない現状を述べました。 では、どうすれば介護の担い手を増やせるのでしょうか? これについて、クライダー氏は「介護士の賃金を上げることが、課題を解決するための現実的な方法だ。また、介護士がキャリアアップできる機会を設けたり、不規則な勤務形態を改善したりすることも重要だと考えられる」と指摘しました。 以上のように、介護士不足は日本だけでなくアメリカでも深刻なことが判明しました。政策決定者が多国間で協議をおこない、現状を改善するような施策をうってほしいですね。

2023/05/15

海外の介護事情 調査結果

2人に1人は高齢者の援助をしている!?意外なアメリカの介護事情

50歳以上のアメリカ人の実に半数以上が、高齢者に代わって、もしくは一緒になって買い物やお金の管理、庭仕事などの生活援助をしていることが調査から明らかになりました。 この調査は正式には「健康的な老化に関する全国調査」と言い、2022年7月にミシガン大学のCourtney Polenick氏が中心となっておこなわれたものです。 調査の概要 この調査は、ランダムに決められた全米に住む50~80歳の男女2163人を対象に、電話またはオンライン上で実施されました。 その調査の結果、過去2年間に50歳以上のアメリカ人の54%が、65歳以上の高齢者に対し生活援助をおこなっていたことが明らかになったのです。 ミシガン大学の研究グループは「この調査結果は、一般の人々が高齢の家族に果たしている重要な役割を示している」と述べました。 調査の詳細 「健康的な老化に関する全国調査」の詳細を見ていきましょう。 まず生活援助をする相手を尋ねたところ、45%が「肉親や義理の親」と回答。「友人または隣人」と答えた人は19%、「結婚相手またはパートナー」と答えた人は17%となりました。 次に、「どんな生活援助や身体介助をおこなっているか」と尋ねました。すると、「診察に同行したり、医療従事者とのやりとりを代行するなどの、診療にまつわる援助をしている」と回答した人が33%と最多でした。 次に、家の掃除や庭仕事などの住環境にまつわる援助をしている人が32%、食事の支度や買い物などの食事にまつわる援助をしている人が31%と続きます。 着替えや入浴といった身体介助をしていると答えた人は、わずか16%という結果になりました。日本だったら、身体介助の割合はさらに高くなる可能性がありますね。 さらに、生活援助をしている人のおよそ3人に1人は、生活援助によって何らかの問題を抱えたことが判明。特に「身体面や感情面で疲労している」と答えた人が34%いました。また、「仕事との両立が難しい」「自分の時間が取れない」といった声も多く聞かれました。 一方、生活援助をしている人の96%が高齢者を援助することで、やりがいを感じたり、友人との距離も縮まったりといったポジティブな意見を挙げています。 96%の人が「生活援助にやりがいを感じている」と回答したアメリカ。彼らのポジティブなマインドは、学ぶところがありそうですね。

2022/11/21

海外の介護事情 社会問題 高齢者の一人暮らし

韓国、2050年に高齢者世帯が全体の半数に。貧困問題に歯止めは?

世界一の長寿国である日本。1995年に高齢社会となり、2010年には世界に先駆けて65歳以上の高齢者の割合が人口の21%以上である「超高齢社会」になりましたが、それ以上のスピードで高齢化が進んでいる国があります。 それはお隣の国、韓国。2018年に高齢社会となった韓国は、2025年には超高齢社会に突入するという予測もあるのです。 さらに、今月28日には韓国の統計庁が「2050年には全世帯の半数が高齢者世帯となる」という推計を発表。特に単身の高齢者世帯が増える見込みだそうです。 高齢者世帯が半数に 今月28日、韓国の統計庁が「将来世帯推計 全国編 2020~2050年」を発表しました。 それによると、2020年時点での韓国の総世帯数は2073万1000世帯。2039年には2387万世帯まで増えているものの、2040年から減少をはじめ、2050年には2284万9000世帯まで減るそうです。 ちなみに、韓国の総人口は2020年の2万5184人でピークを迎えて、現在は減少に転じています。 さらに、現在は30代以下の若者が多い単独世帯も、2050年には高齢者の単独世帯が最も割合が大きくなると見込まれています。 具体的には、65歳以上の高齢者の単独世帯は、2020年の161万8000世帯から2050年に467万1000世帯に。この30年の間で305万世帯も増えるそうです。 合わせて、韓国の全世帯のうち高齢者の単独世帯が占める割合は、2020年の7.8%から2050年には20.4%に増加。夫婦で暮らしている場合を含めた「高齢者世帯」は、2020年の22.4%から2050年の49.8%まで増えるという予測が出ています。 さらに暮らしは苦しくなる? 「ひとり暮らしの高齢者が増える」という推計でさらに懸念されるのが、高齢者の貧困問題です。 韓国では公的年金の受給率が約50%と低く、半数の高齢者が年金の恩恵を受けていないのが実情。日本よりも年金制度の開始が遅かったこともあり、受給面で浸透していないようです。 こうした状況となっている背景には、高齢者の多くが自分の子どもや親戚からの仕送りで生活費をまかなっている現状があるため。しかし、過去よりも子どもが減っていたり若年層の就職も難しいこともあり、このような仕送りに頼ることも厳しくなっています。 さらに、韓国では結婚しない若者が増加。このような若者が高齢になったときに、誰かの仕送りに頼って生活することは難しいでしょう。

2022/06/30

介護疲れ 介護者への支援 海外の介護事情

無料で「介護疲れ」をホテルで癒す?イギリスの介護者への支援が手厚い!

ニュースなどで「介護疲れ」「介護うつ」といった言葉を耳にすることが多くなりました。 家族の介護に疲れた気持ちをためこんでしまうと、虐待や殺人を犯してしまうことも。そのため、行政・介護サービスを利用したり息抜きをしたりすることが大切です。 そうした家族の介護に苦労する人が疲れを癒せるように、イギリスでは介護者が無料でホテルやコテージに宿泊できるプロジェクトが開始。介護者がリフレッシュしている間は、連携するボランティアが介護をされる人のケアをおこなうそうです。 ホテルで介護疲れを癒す イギリスの慈善団体「Carefree」が、家族などの介護をおこなう人が無料で宿泊施設に泊まれるプロジェクトを開始しました。 このプロジェクトを利用できるのは、18歳以上で日常的に介護をしている人。週30時間以上、報酬なしで親や兄弟などの家族を介護している人が介護をされる人から離れるために、宿泊施設を2~7泊を利用できます。 利用できる宿泊施設は、ホテルとコテージの2種類。ホテルには介護者本人と同伴者1名、コテージにはそれに加えて子ども2名まで無料で宿泊できます。 もちろん、介護されている人は同伴不可。介護者がケアのことを忘れてリフレッシュするための期間なので、世話をされている人は一緒に宿泊することはできません。ただ、宿泊期間中はプロジェクトのボランティアが介護をおこなうので、安心して休息できるような環境が整っているそうです。 この取り組みの背景には、1990年代からイギリスで家族などの介護を無給でおこなう「無給ケアワーカー」の存在が知られるようになったことがあります。現在、世界に先駆けて社会的な支援が実施されているものの、国内880万人の無給ケアワーカーが5年近くも1度も休暇を取れていないことが問題になっています。 そこで、空いているホテルやコテージを活用して無給ケアワーカーが休暇を取りやすい環境を提供。宿泊施設の空室問題も同時に解決できるとあって、提携施設数は徐々に増加しており、サービスを利用した介護者は1000人を超えたそうです。 介護者への支援が課題 世界一の長寿国である日本ですが、介護者への支援が充実しているとは言えないのが現状です。 現在、感染拡大の影響で、日本でも宿泊施設の空室が問題になっています。そこで、このイギリスのプロジェクトのように空室を利用して、介護者の休暇を促進する取り組みがあっても良いのではないでしょうか。 特に近年、「介護疲れ」「介護うつ」などによる傷害事件や殺人事件が発生しています。誰もが気軽に「介護に疲れたから休む」という選択ができるように支援の充実が求められているのかもしれません。

2022/06/01

最新研究 海外の介護事情

103歳の現役スーパー店員⁉「センチナリアン」の超長寿の秘訣とは

「センチナリアン」という言葉を知っていますか?これは100歳以上の人のことを表す言葉で、日本語では「百寿者」とも呼ばれます。ちなみに、110歳を越えた人は「スーパーセンテナリアン」と呼ばれています。 2020年の国勢調査によると、日本には約8万人ものセンチナリアンがおり、その数は増加しています。 世界的にもセンチナリアンは増加傾向。そのなかでもブラジルでは、100歳を越えても現役で働き続ける男性がいることや122歳の女性がいることが報じられました。 100歳を越えても現役店員 ブラジルには、103歳で正規労働者として現役で働き続けている男性がいます。 その男性の名前は、ジョゼ・ベルナルド・ダ・シルヴァさん。2009年から働き始めたスーパーで現在も元気に働いています。 ベルナルドさんが働いているスーパーによると、彼はブラジル最高齢の正規労働者。毎朝6時に起きると朝食をとって仕事をし始めるそうです。 さらに、ブラジルにはスーパーセンテナリアンを越える122歳の女性がいることもわかりました。 それはマリア・ゴメス・ドス・レイスさん。これまでブラジル最高齢は121歳の女性とされていましたが、レイスさんが122歳であることが判明したため、レイスさんが世界最高齢である可能性が出てきたそうです。 ちなみに、日本の最高齢は115歳の巽フサさん。大阪府柏原市の特別養護老人ホームで暮らしています。 現在は寝たきりで会話がほとんどできない状態ですが、9年前に入居した際は車いすに乗って体操をしたりと元気な様子だったそうです。 認知機能が高いと長生きできる? 1世紀以上を生き抜いたセンテナリアンやスーパーセンテナリアン。その長寿の秘訣を解明するために、多くの研究機関が調査をおこなっています。 慶応義塾大学の研究によると、特にスーパーセンテナリアンの特徴のひとつに認知機能が保たれていることがあるそう。100~104歳で亡くなった人、105~109歳で亡くなった人、110歳以上まで長生きした人の100歳時点での認知機能を比較すると、110歳を越えて長生きした人が最も認知機能が高いという結果になりました。 ブラジルのベルナルドさんのように100歳を越えてからも働き続けるのは難しいかもしれませんが、いつまでも元気でいるためには頭を使って認知機能を維持することを心掛けるのが良いのかもしれませんね。

2022/05/06

海外の介護事情 高齢者とデジタル 高齢者の一人暮らし

在宅介護が90%⁉中国の高齢化は「適老化」「9073」がカギ

世界一の人口を誇る中国。それだけに高齢者の数も多く、65歳以上の人だけでも日本の全人口を上回ります。 しかし、高齢者の生活を支援する体制が整っておらず、中国でも少子高齢化が社会問題になっています。 そんななか、在日中国人向け情報紙『東方新報』は、政府がネットサービスなどを高齢者に配慮した形で提供するように各企業に求めていることを報じています。 中国の「適老化」「9073」に注目  在日中国人向けの中国語新聞『東方新報』が、中国で注目されている「適老化」「9073」というキーワードについて報じました。 「適老化」とは、高齢者への生活支援や高齢者が使いやすいサービス作りといった、高齢者に配慮して環境を変えること。まだ高齢化率はさほど高くないものの、全人口が多い中国では高齢者の人口も多いため、高齢者に優しい社会の実現が早急に求められているのです。 こうした動きの背景には、日本よりも「親の介護は子どもがするもの」という意識が強いことがあります。 日本の厚生労働省にあたる国家衛生健康委員会は、中国の伝統的な家族観に基づいた「9073モデル」を推進することを表明。これは、自宅で過ごす高齢者が90%、地域のコミュニティで過ごす人が7%、施設に入る人が3%という意味で、基本的には在宅介護を前提としている施策です。 しかし、「一人っ子政策」の時代に生まれた子どもが介護をする世代になると、介護の担い手が足りなくなり今のままでは親を支え切れないのが実情です。 そこで中国政府は、SNSやショッピングサイトといったネットサービスを高齢者が使いやすいように変更することを各企業に指示。ネット経由で配食サービスやタクシーの呼び出しといったサービスを高齢者が活用することで、老後も自宅で暮らしやすい環境づくりを推進しています。 ネットサービスが高齢者を助ける? 2020年時点では高齢化率が13.5%の中国。高齢化率はそれほど高くはありませんが、それでもその数は1億9000万人と非常に多いのです。 ただ、日本と比べると介護サービスなどの高齢者を支えるサービスが浸透していないのが事実。そのうえ介護分野の人材不足が日本よりも深刻なため、それをネットサービスやテクノロジーで解決しようとする動きが高まっているようです。 しかし、最新の技術やサービスに高齢者はすぐにはなじめない様子。近年、急速に進むデジタル化に高齢者が取り残されないように取り組んでいるのは、日本も中国も同じようです。 日本での取り組みについては、以下の記事で紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6883/ これからは、高齢者に配慮したネットサービスの提供が世界共通で求められているのかもしれませんね。

2022/04/25

海外の介護事情 社会保障 社会問題

韓国では20年間で高齢者が倍増⁉若者の負担増加と出生率の低下のワケ

日本だけではなく世界的に少子高齢化が進んでいます。 なかでもお隣の国、韓国では日本以上に高齢化の速度が早いことが韓国の統計庁の予測によってわかりました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者は2020年から2040年の間で倍増する見込みで、2040年には高齢者の割合が日本と同程度まで増加するそうです。 こうした急激な高齢化が進む背景には、ベビーブーム世代が高齢者になることがあります。それに伴って、生産年齢人口も急激に減少するとのことです。 20年で倍増する高齢者 韓国の統計庁が、今月14日に「2020~40年の内・外国人人口展望」を発表しました。 これは、昨年12月に統計庁が発表していた将来人口推計をより詳細に分析したもの。前回の推計では外国人と分けていなかったため、移民などの推移も含めて人口の変化を割り出しました。 それによると、韓国人の高齢者は2020年から2040年にかけて倍増。2020年は807万人(約16%)だった高齢者は、2040年には1698万人(約35%)に急激に増加する見込みです。 この増え方は、世界トップの高齢国である日本をしのぐもので、日本は2020年で3589万人(約28%)で2040年は3920万人(約35%)になる予測。2040年には韓国と日本の高齢者の割合は同程度になることがわかります。 加えて、15~65歳未満の生産年齢人口は2020年の約72%から2040年には約56%と大幅に減少。1955~1963年生まれのベビーブーム世代が高齢者になる2020年代は生産年齢人口が毎年平均36万人減り、2030年代には年平均55万人ずつ減少するそうです。 誰が高齢者を支えるのか? 少子高齢化が急激に進むとされている韓国。その理由はベビーブーム世代が高齢化するだけではなく、若者の就業率の低さや出生率の低さもあるそうです。 というのも、学歴社会であることで有名な韓国ですが、大卒者の就業率は他国と比べても低いのが実情。そのため、生活するのに精一杯なので結婚や出産する若者が減っているのです。 つまり、高齢者が増えているのにも関わらず、それを支えなければいけない若者の暮らしが苦しいのが実情です。 このような状況に、韓国政府がどのように対応していくのか。高齢者と若者という対立した立場のように見えて、問題の根本は同じなのかもしれません。

2022/04/15

年金 海外の介護事情 社会保障

高齢者の貧困率は先進国の約3倍⁉日本の倍のスピードで高齢化する韓国

韓国の統計庁が、2020年の韓国の高齢者貧困率が38.9%だったことを発表しました。30%台に下がったのは初めてのことで、前年の2019年よりも2.5ポイント低下したそうです。 しかし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均の約3倍にあたることから、韓国の高齢者の経済状況が悪いことに変わりはないようです。 貧困率が前年よりも減少するも… 韓国の日刊紙「中央日報」が「統計庁が2020年の韓国の高齢者貧困率を公表した」と報じました。 それによると、韓国の65歳以上の高齢者の相対的貧困率(その国の生活や文化を基準にした貧困率)は、38.9%。2019年よりも2.4%減少しており、30%台になったのは調査開始した2011年以降初めてのことです。 韓国の高齢者貧困率は、2011年の46.5%からは低下傾向にある様子。2016年には43.6%となり、2018年は42%まで減少しています。 とはいえ、先進国から見るとかなり高いと言わざるを得ません。 2019年のOECD加盟国の高齢者貧困率は平均13.5%なので、3倍近い数字であることがわかります。 ちなみに、日本の高齢者貧困率は20%。韓国ほどではないにしても、日本も平均よりも高いですね。 このように韓国や日本の高齢者貧困率が高い理由は、高齢化が進んでいることにあります。 2020年時点の高齢化率は、日本で28.4%、韓国で15.79%。当然、韓国の方が高齢者の割合は低いのですが、韓国はこの10年で毎年平均4.2%高齢者の人口が増えているそうです。日本は2.1%の増加率なので、日本の2倍の早さで高齢化が進んでいます。 さらに、韓国が年金制度を導入したのが他の先進国に比べて遅かったこともあり、制度の拡充が高齢化のペースに追いついていないのが現状のようです。 韓国と日本の年金については、こちらの記事でも紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-3989/ 経済成長と社会保障の板挟み 韓国の高齢者貧困率の高さは「経済成長を急いだ反動」とも言われています。 というのも、韓国で年金制度の施行が遅れた理由は、経済成長を優先させたから。社会保障を充実させると企業の負担が増えるため、経済成長の足かせになると考えたようです。 しかし経済成長を優先した結果、セーフティネットの整備が遅れて高齢者の貧困率が高くなってしまいました。 そうした現状を見て、国の将来を支える若者が希望を持てなくなってしまっています。 ”今”の経済も重要ですが、”将来”の自分である高齢者が安心して暮らせる政策を実行してもらいたいですよね。

2022/03/10

海外の介護事情 認知症対策

認知症介護の実体験から制作された映画。現実と幻想が入り混じる演出

今月25日に認知症の父とその介護をする娘を描いた「選ばなかったみち」が公開されました。 この映画は、2020年の第70回ベルリン国際映画祭でコンペティション部門に出品された作品。監督自身の介護体験をもとに作られた脚本は、認知症の父親の幻想と介護する娘の葛藤をリアルに描いています。 実際の介護経験から描かれるリアルな描写 今月25日、サリー・ポッター監督作品「選ばなかったみち」が公開。監督が自身の弟の介護をした経験をもとに脚本の執筆もおこなっています。 物語はニューヨークのアパートで一人暮らしをするメキシコ移民のレオと、その娘のモリーを中心としたヒューマンドラマ。元作家のレオは、現在は認知症を発症しており、モリーやヘルパーとの意思疎通も難しい状態です。 物語は、ある日の朝レオを病院につれていくためにモリーがアパートを訪ねるところから始まります。 しかしモリーが隣にいるのにも関わらず、レオの心は故郷のメキシコや、一人旅で行ったギリシャに旅立ち、現実世界にはありません。 この映画のなかでは、ニューヨークの現実とメキシコ・ギリシャの幻想が同時に進行していきます。 幻想の中の出来事が現実のレオにも影響を及ぼし、レオは幻想の出来事に反応します。しかし、周囲の人には突拍子もない行動をしているようにしか見えず、理解ができません。 このようにコミュニケーションもままならない父を介護するモリーは、父の介護をしたい気持ちと自分のキャリアや生活との間で悩む様子がリアルに描かれています。 認知症ケアを疑似体験できる作品 この映画は監督自身の介護の経験をもとに描かれているため、認知症のレオの様子や介護に翻弄されるモリーの描写にリアリティがあります。 そのため、介護を経験したことのある人は共感できる部分があるかもしれませんし、経験したことのない人は、認知症の人がどんな様子なのかを感じるきっかけになる映画かもしれません。 この映画では3つの世界が同時進行しており、レオの言動は幻想世界とつながっています。そのため、幻想世界を体験している観客にはわかりますが、登場人物たちにはわからず、「意味不明な行動をする認知症男性」として扱われているのが印象的です。 この映画は「認知症の人の行動には理由がある」と気付かせてくれる作品になっていると言えるかもしれませんね。

2022/03/01

海外の介護事情 調査結果

高齢者が貧困に苦しむ韓国。貧困率や自殺率もOECD加盟国トップ

今月13日、韓国の日刊紙「東亜日報」が、経済開発協力機構(OECD)に加盟する38ヵ国の中で、韓国の老人貧困率が最も高いことを伝えました。 この老人貧困率の高さは、韓国の高齢者の高い自殺率とも無関係ではないそうです。 老人貧困率がトップ 東亜日報によると、OECD加盟国の中で老人貧困率が最も高いのが韓国だそうです。 この記事では、2020年の韓国の老人貧困率は40.4%で、OECD加盟国の中でトップだったと報じています。さらにこれは、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・日本の主要5ヵ国(G5)の平均14.4%の3倍近い数字。ちなみに、日本の老人貧困率は20%ですので、日本の2倍の割合であるとわかります。 だからといって、先進国の中で韓国の高齢化が特別に進んでいるというわけではありません。韓国の高齢化率は2020年で世界44位。日本はもちろん、アメリカ(39位)やドイツ(6位)よりも高齢者の割合は低い状況です。 では、なぜ韓国の老人貧困率が高いかというと、年金制度が不十分であることが理由に挙げられるそう。韓国では年金制度が整っておらず、日本よりも受け取れる年金額が低いようです。 具体的には、韓国の個人世帯の平均年金受給額は約8万円、夫婦世帯では約13万円。日本の個人世帯は約15万5000円、夫婦世帯は26万円なので、日本の約半分しか年金を受け取れない状況なのです。 この受給額は、韓国が日本より物価が低いと言っても、生活するには足りない金額のようです。 韓国の高齢者が考える適正生活費は、個人では月約16万円、夫婦世帯は月約24万円とのこと。日本の多くの高齢者世帯は、生活費の大半を年金で賄っていますが、韓国ではそうはいかないですね。 華やかさの裏には… この記事によって、韓国では日本よりも年金制度が整っていない影響で、多くの高齢者が貧困に苦しんでいることがわかりました。 そのためなのか高齢者の自殺率も高く、OECD加盟国の中で1位。10万人あたりの自殺者数が2016年で53.3人なので、OECD平均の18.4人の3倍近い数字です。このように、韓国では高齢者が貧困を理由に自殺するケースが多く、社会問題になっています。 日本では韓国フードやK-POPなどの人気により、韓国の華やかな点ばかり注目されがちですが、その裏で大きな問題を抱えているようですね。

2022/01/26

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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