2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。そのため、さまざまな認知症研究が進められていますが、認知機能に異常が出ていない超早期の段階で発症を遅らせる方法については、いまだ効果的な手が確立されていないのが現状です。
そういった状況で、エム社はAI(人工知能)がMRIの脳画像を分析することで、早期の認知症リスクを判断するプログラム「MVision brain(エムビジョンブレイン)」を開発しました。
今年4月より東京ミッドタウンクリニックで試験的に導入され、今後複数の医療機関で利用できるようになる予定だそうです。
MRI研究の第一人者の森進氏が創業したエム社は、認知機能の低下が起こる前の段階から認知症リスクを発見できる「MVision brain」を開発したことを発表しました。
これは、脳のMRI画像をAIが分析することで、脳の萎縮や血管の劣化を発見できるシステム。通常の脳ドックにAI診断を追加する形で利用できるそうです。
一般的に、AIが何かを分析したり判断するためには、事前に大量のデータを学習する必要があります。
しかし、アメリカなどでは病気になってからでないとMRIを撮影しないため、健康な人のデータが残っていないそう。一方で、日本には大量に健康な人の脳のMRI画像があるため、AIが学習するのにうってつけだったとのことです。
また、これまでの脳のMRIは、医師が目視でMRI画像を確認することで診断していました。そのため、医師によって見るポイントが異なったり、大きな変化が起きない超早期の段階では異常の発見が難しいという問題がありました。
対してこのAIシステムでは、4万件以上のデータを活用してAIが脳全体を計測します。大量のデータと比較して相対的に評価することで、脳の健康状態を把握できます。
また、診断後に「脳健康状態レポート」が送られてきます。このレポートでは、同年代のなかでの自分のランキングや「脳のどの部位が萎縮しているか」なども確認できるそうです。
MVision brainは現段階では東京ミッドタウンクリニックでしか利用できませんが、今後さまざまな医療機関で活用できるようになる予定とのことです。
このシステムの特徴は、今までのMRIのオプションとして利用できること。そのため、これまでと同じように脳ドックを受けるだけで、認知症リスクの診断を受けられます。特別なことをせずに詳細な検査ができるのは助かりますよね。
「認知症なんてまだまだ先の話」と思ってしまいがちですが、早め早めの検査で認知症予防の先手を打っていきたいですね。
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