鳥取県が、県内で2020年度に報告された高齢者の虐待が65件に上ったことを発表しました。
そのなかの61件が家族によるものだったことを受けて、県は「家庭内の問題を抱え込まずに関係機関に早めに相談してほしい」と呼びかけています。
また、厚生労働省は2020年度の家族による高齢者への虐待が統計を取り始めてから最も多くなったことを公表しています。
鳥取県は、2020年度の高齢者虐待件数が報告されているもので65件であることを公表しました。
そのうちの9割を占める61件が家族によるもの。残りの4件は老人ホームなどの職員によるものだそうです。
虐待の被害者の8割が女性。家庭内で虐待した人は息子が45%、夫が19%、娘が17%。虐待被害者の4割以上が虐待した家族と2人暮らしだったこともわかっています。
虐待内容で最も多かったのは、暴行を加える「身体的虐待」の47件。暴言や威圧的な態度をとる「心理的虐待」が32件、「介護の放棄(ネグレクト)」が9件、被害者の金銭を勝手に使うなどの「経済的虐待」が7件だったとのことです。
全国的には、家族による高齢者の虐待件数は増加傾向にあります。特に2020年度は統計が始まってから最も多い1万7281件でした。
これについて厚生省は、「新型コロナウイルスの拡大で外出自粛が長引くなかで、家族の介護負担が増大したことによるもの」という見解を示しています。家族の負担が増えたことでストレスが溜まり、虐待につながってしまったようです。
高齢者の虐待のニュースを聞くと「自分は虐待なんてしない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、家族の介護というのは長期戦。親の介護の場合、一般的には10年前後が介護期間の目安と言われています。
はじめのうちは、ある程度自分でできていたので介護者の負担が少なかったものの、介護度が進行していくと在宅介護では限界になることもあります。
そうなると、身体状況の悪化による介護者の身体への負担と、介護の長期化による精神的負担は大きいものに。介護のストレスから手を上げてしまうこともあるかもしれません。
それを避けるために、介護が本格的に始まると思ったら利用できるサービスをリストアップしておきましょう。
訪問介護やデイサービスなど在宅介護で利用できる介護サービスだけではなく、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設系サービスもはじめから検討しておくと、いざというときに慌てなくて済むかもしれません。
介護のすべてを抱え込もうとせず、「使えるサービスはとことん使う」くらいの気持ちが介護する側もされる側も穏やかに暮らせる介護になるのではないでしょうか。
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