がんや脳梗塞などで神経が傷つけられると、痛みが出ることがあります。神経が過敏になって、痛みの信号が出過ぎてしまっている状態です。
こうした痛みは、慢性的になると鎮痛剤などの一般的な薬では抑えられないほどになることも。ときにはモルヒネなどの強い薬を使って痛みをコントロールすることもありますが、それでも痛みが抑えられない場合もあります。
今回、こうした痛みを回復させる細胞があることを九州大学などの研究グループが発見。その細胞が痛みをやわらげるホルモンを作っていることもわかり、将来的には新たな鎮痛薬の開発につながる可能性があるそうです。
九州大学などの研究グループは、痛みを回復させる細胞とホルモンを発見しました。
この研究グループは、神経がダメージを受けると脊髄で「ミクログリア」という細胞が活性化して痛みを発生させることを明らかにしていました。
しかし、実験で神経を損傷させたマウスは傷が治っていないのにも関わらず、痛みが弱くなっており、このメカニズムが詳しくわかっていませんでした。
そこで今回の研究で、自然に痛みがやわらぐ仕組みについて調査しました。
その結果、ミクログリアの一部が変化して「IGF1」というホルモンを作るようになり、痛みをやわらげていることを発見しました。
今回の実験では、マウスから変化したミクログリアを取り除いてマウスの痛みもチェック。すると、通常は徐々に収まっていくはずの痛みが非常に長く持続することもわかりました。
つまり、「変化したミクログリアがIGF1を作り出さないと痛みが収まらない」ということも同時に明らかになったのです。
今回の結果から、変化したミクログリアを増やしたりIGF1を増やすことで痛みをやわらげるような治療薬につながる可能性があるそうです。
神経が傷つけられることで発生する痛みの治療をしている人は、国内で約600万人いるとされています。
特にがん末期となると約7割の人が痛みがあり、そのうちの約8割は激痛に苦しんでいるそうです。
そうしたときに麻薬のモルヒネを使用することもありますが、耐性がついて薬が効かなくなったり吐き気などの副作用が起こるおそれもあります。
そこで今回の研究をもとに新しいタイプの鎮痛薬が登場すれば、こうした激痛で苦しむ人が減る可能性もあるので、今後の研究に期待したいですね。
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