田中 達也さんの
執筆記事一覧

大学卒業後、カンボジアに移住。NGOスタッフとして現地の子どもたちに日本語を教える。帰国後、2年にわたりグループホームの職員として認知症介護に従事した後に独立。現在はフリーライターとして、介護業界や海外観光などに関わる記事を執筆している。保有資格:介護職員初任者研修修了、日本語教師養成講座修了。
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食事の準備が介護のストレス!?介護の中で負担を感じるときは?

朝日新聞社が運営するサイト「なかまぁる」のサブブランド「project50s」は、花王株式会社と共同で介護に関するアンケート調査を実施。その結果、食事の準備や洗濯がストレスに感じている人が多い傾向にあることがわかりました。 家族の介護をしている人を対象にアンケートを実施 今回、朝日新聞社は花王とともに家族の介護をしている人を対象に、介護生活に関するアンケートを実施しました。その概要は以下のとおりです。 調査期間:2023年7月7日~8月20日 対象:家族の介護や生活のサポートをしている配偶者や子世代 回答者数:627人 調査方法:ウェブ上でのアンケート また、アンケート回答者のうち、要介護1~5の人の家族は344人、要支援1~2または要介護認定を受けていない人の家族は283人だったといいます。 洗濯や食事の準備がストレスである人多数 2023年11月6日、朝日新聞社はアンケートの結果を公表しました。 アンケートの中で、「親や親族の生活サポート・介護をする際にストレスを感じていることは何か」と尋ねたところ、「食事の準備」と回答した人が最多であることが判明。また、「洗濯」や「通院の付き添い」といった回答も多数を占めました。 次に、「介護の洗濯」に限定して感じているストレスについて尋ねると、「洗濯物のにおい」や「洗濯前の汚れの処理」がストレスに感じている人が、特に多いことが明らかになりました。 最近では、さまざまな企業や自治体が配食サービスを展開しています。毎日頑張って食事づくりをしても、介護をしている人自身が体を壊してしまっては元も子もありません。無理のない範囲で介護を続けていくためにも、食事の準備が負担に感じている人は、一度利用を考えてみても良いかもしれませんね。
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「認知症の妻」と「心臓病を患う夫」。生と死がテーマの映画が公開

「CLIMAX クライマックス」などで知られるアルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が今回、認知症をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」を製作しました。日本では12月8日より全国の映画館で公開予定だといいます。 「病」と「死」をテーマにした最新作がリリース アルゼンチンの映画監督ギャスパー・ノエ氏が創り上げた、「病」と「死」をテーマにした最新作「VOLTEX ヴォルテックス」が、2023年12月8日より全国の映画館で公開されることが明らかになりました。 主演は、「サスペリア」などさまざまなホラー映画を世に送り出してきた巨匠、ダリオ・アルジェントで、心臓病を患い、余命いくばくもない夫を演じます。 また、フランソワーズ・ルブランが演じる妻も認知症を患っていて、残り少ない命。「VOLTEX ヴォルテックス」では、画面を二つに分割するスプリットスクリーンによって、老夫婦の「人生最期の日々」がそれぞれの視点から描かれていきます。 さらに、病や不測の出来事、家族との不和が老夫婦二人を襲い、やがて死んでいくといいます。 死までの過程を冷徹に描く 二人は元々、仲むつまじい老夫婦でした。しかし、妻の認知症が進行してからは一転、意思疎通すら難しくなり、息子ともあまりうまくいっていないようなシーンが映し出されます。 多くの映画では、死にゆく命だったとしても、支えてくれる家族や友人がいるなど希望が持てるシーンが描写されることもありますが、「VOLTEX ヴォルテックス」はそんなわずかな「救い」すらなく、老夫婦がそれぞれ歩む死までの道のりが淡々と描かれていきます。 このたび、「VOLTEX ヴォルテックス」の場面写真と30秒の予告編が解禁されました。ベッドの上で心臓発作を起こし苦しむ夫の横にいながら、認知症の妻は「うるさい」とばかりに布団をかぶるだけ…。二人の人生は、どのような結末を迎えるのでしょうか?
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人種によって認知症リスクが違う!?南アジア人は発症リスクが高い!?

新たな研究で、南アジア人は白人や黒人に比べて認知症の発症リスクが高い可能性が示されました。この研究はカレッジ・ロンドン大学によっておこなわれ、その研究結果はPLos Oneという科学誌に掲載されています。 80万人以上の高齢者を対象に調査を実施 今回、研究グループはイギリスの大規模医療データに登録された人のうち、86万5674人の65歳以上の高齢者を対象に調査をおこないました。 具体的には、高血圧や肥満、糖尿病、睡眠障害、血中濃度が低い方が認知症のリスクが高まるとされるHLDコレステロールの値といった、危険因子が認知症の発症リスクがどの程度影響を及ぼすのかについて、白人・黒人・南アジア人と人種ごとに調査を実施したといいます。 また追跡期間中に、対象者のうち14万9228人が認知症を発症したことが明らかになりました。 南アジア人はほかの人種よりも認知症リスクが高い 研究グループが白人・黒人・南アジア人と各人種ごとに認知症の発症リスクを統計的に解析した結果、南アジア人はほかの人種よりも高血圧や肥満、HLD低値、睡眠障害が白人よりも大きな認知症の発症リスクにつながる可能性が示されました。 また、黒人は高血圧が白人よりも認知症の発症リスクにつながることがわかりました。 以上の結果を受けて、今回の研究をリードしたカレッジ・ロンドン大学のナーヒード・ムカダム氏は「大規模サンプルを用いて、危険因子が認知症の発症に及ぼす影響を人種ごとに比較検証した研究は今回が初めてだ。今後は南アジア人や黒人などの民族マイノリティーにターゲットを絞った認知症予防の取り組みが必要になるだろう」と指摘しています。 今回の研究はイギリス国内の状況を調べたものであるため、日本人にも同じ仮説が当てはまるかはわかりません。 しかし、高血圧や肥満、睡眠障害などの生活習慣病が認知症につながることは多くの研究で明らかになっているのは事実。日々を健康に過ごすためにも、毎日の生活習慣を見直していきたいですね。 参考:「南アジア人、黒人と白人の民族性と認知症に対する潜在的に修正可能な危険因子の影響:英国の電子医療記録に関する研究」
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体操で歩く能力を伸ばす!?動画を見て簡単に「ロコモ体操」ができる

厚生労働省は、国民が高齢になっても健康な毎日が送れることを目指した「スマート・ライフ・プロジェクト」の一環として、「毎日かんたん!ロコモ予防」と題した特設ウェブコンテンツを公開したことを明らかにしました。 ロコモとは立ったり歩いたりなどの身体能力が低下した状態のこと。この状態を放置すると、将来要介護や寝たきりの状態になりやすくなるといいます。 担当者は、「本コンテンツが、国民一人ひとりの健康づくりや健康支援に役立てられることを願っている」と述べています。 「ロコモ」とはどのような状態か ロコモは、正式には「ロコモティブシンドローム」と言い、2007年に日本整形外科学会が提唱した言葉だと言われています。 日本整形外科学会によると、ロコモとは加齢にともなう筋力の低下や関節・脊椎の病気、骨粗しょう症などが原因で要介護や寝たきりになったり、そのリスクが高かったりする状態のことを指すそうです。 東京大学22世紀医療センターの研究によると、現在日本におけるロコモとその予備軍の人口は、推計4700万人にも上ることが判明。これは、4000万人弱の人がかかっているとされる、高血圧の人口よりさらに多い数字です。 日本整形外科学会によると、特に女性がロコモの状態になりやすいとのこと。厚生労働省の調査では、要介護状態になる原因の3割を筋肉や骨などの運動器の障害が占めていることが明らかになっています。 ロコモの状態を防ぐためには? では、ロコモの状態を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか? 厚生労働省が今回公開したウェブコンテンツ「毎日かんたん!ロコモ予防」では、日本整形外科学会が推奨している「ロコトレ」という運動を動画で視聴可能。高齢者でも取り組みやすいようにアレンジされたスクワットなどのやり方が公開されています。 日本整形外科学会も「ロコモを防ぐためには、運動が最も大切である」と述べています。長く健康に過ごすためにも、毎日少しずつ運動の習慣を取り入れていきたいですね。 参考:「毎日かんたん!ロコモ予防」
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池袋の高齢者暴走事故、1.4億円の支払い!免許返納が進まない理由は

2019年に東京・池袋で起こった、高齢ドライバーによる暴走事故に決着がつきました。当時30代の女性とその長女の命を奪った92歳の受刑者に対し、東京地裁の裁判長は1億4000万円の損害賠償を支払うように命じたのです。 警察庁の調べによると、池袋の暴走事故のような高齢ドライバーによる交通事故の発生件数自体は減ってきてはいるものの、依然として死亡事故のリスクは高齢者以外のドライバーによる事故に比べて大幅に高いと言います。 高齢者を悲惨な事故の加害者にさせないために、私たちに何ができるのでしょうか? 今回は、高齢ドライバーを取り巻く課題について触れつつ、事故を減らす一助になる「免許返納」の勧め方について考えていきます。 池袋の高齢者暴走事故、1.4億円の支払い命令  2019年4月の東京・池袋にて、当時87歳だった男が、30代女性とその長女を時速約96kmの乗用車ではねるという事故が発生。はねられた女性とその長女は、その後死亡が確認されました。 この事件で妻子を亡くした30代の男性は損害賠償を求め、男を提訴。2023年10月27日、東京地裁はドライバーの男に対して、1億4000万円の損害賠償を支払うように命じました。 判決では、「今回の事故は被告の一方的で重大な過失によるものだ」と認定。また、「被告は被害者に謝罪もせず、今回の判決が出るまで不合理な弁解を続けた。遺族の心情を逆なでする行為だ」と述べられました。 遺族の男性は、「2人の命を無駄にしないという信条の下、交通事故を防ぐための活動を続けていく」と話しています。 高齢ドライバーによる事故は減っているが…  参考:「令和4年における交通事故の発生状況について」(警察庁) 警察庁の発表によると、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故は年々、減少傾向にあることが判明。2012年における75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故件数は、10万人当たり11.5件だったのが、2021年では10万人当たり5.7件にまで減少しました。 一方、2021年における75歳未満のドライバーによる死亡事故件数は、10万人当たり2.5件。75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故件数が75歳未満のものより倍以上も高いことを踏まえると、高齢ドライバーによる死亡事故のリスクは依然として高い水準にあると言えるでしょう。 高齢ドライバーの事故原因 高齢ドライバーによる事故はどのような原因で引き起こされるのでしょうか? 参考:「令和4年における交通事故の発生状況について」(警察庁) 警察庁が、2021年における75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の人的要因を調べたところ、ハンドル操作を誤ったりブレーキとアクセルを踏み間違えたりなどの「操作不適」が30.1%で最多であることがわかりました。 高齢になると、瞬発的に筋肉を動かす能力が特に衰えやすくなると言われています。筋肉を瞬発的に動かしにくくなった結果、ブレーキとアクセルを状況に応じて瞬時に切り替えるなどの瞬発力が求められる車の操作に失敗し、大きな事故につながったと考えられます。 次に多かったのは、ぼんやりしたまま運転を続けるなどの「内在的前方不注意」で、その割合は20.3%に上ったことが判明しました。また、左右の安全確認を怠るなどの「安全不確認」も19.5%みられました。 年齢を重ねるにつれて、視野が狭くなったり視力そのものが低下したりして、前方に障害物があっても気づけなくなるリスクが高まります。加えて集中力も続かなくなるため、75歳以上の後期高齢者が車を運転すること自体が、リスクの高い行為だと言えるでしょう。 どうして高齢ドライバーは運転免許を返納しないのか 国や警察は、運転が不安になってきた高齢者に対して、運転免許証の自主返納を勧めています。免許証を返納すると、「運転経歴証明書」が発行され、公的な身分証として利用可能。ほかにもタクシーやバスなどの交通機関で割引になるなどの特典もあります。 しかし、高齢になっても運転免許証を返納しない人も少なくないのが実情。その理由として真っ先に考えられるのは、やはり車なしでは生活が難しいという点でしょう。 特に地方では、バスの廃線・便数の減少などで車がなければ買い物に行くことすら困難な地域も少なくありません。また、電車も本数が少ないうえに、そもそも自宅から駅までが遠いということも考えられます。 また、株式会社エイチームライフデザインがおこなったアンケート調査によると、「自分はまだ運転できているから」「運転の趣味がなくなるから」「仕事で車が必要だから」などの理由で、運転免許証を返納しないと考えている高齢者が一定数存在することも明らかになっています。 高齢の親に運転免許返納を勧める方法 では、どのような方法なら、高齢者も運転免許証の返納を受け入れやすくなるのでしょうか? 参考:「運転免許証の自主返納制度等に関する世論調査」(内閣府) 内閣府がおこなったアンケート調査の中で「どのようなときに運転免許証を返納しようと思うか」と複数回答で尋ねたところ、64.8%と過半数の人が「自分の身体能力の低下を感じたとき」と回答したことが判明しました。 また、37.4%の人が「家族や友人、医者などから運転をやめるように勧められたとき」と回答していたこともわかりました。 以上のことから、体力テストなど客観的な身体能力の指標をもとに、免許証を返納するように説得を試みるのが有効な手段であると言えそうです。 親に免許返納を勧めるときのポイント 最後に、高齢者に免許返納を勧める際に留意しておきたいポイントについてお伝えします。 高齢の親などに免許証返納するように伝えるときに、気を付けておきたいポイントは以下のとおりです。 頭ごなしに否定しない 免許返納後の代わりの移動手段を提案する 車のコストを計算して伝える 免許返納の経験者から話してもらう かかりつけ医や親族に説得をお願いする 相談窓口に相談する 「危ないから運転をしないで」のように頭ごなしに否定してしまうと、ますます頑なにさせるリスクがあります。なるべく、運転免許証を返納するメリットを伝えるようにすると良いでしょう。 家族が送り迎えをしたり割引サービスを受けながら公共交通機関を利用したりするなど、自分で車を運転する以外の移動手段を提案するのも良い方法のひとつ。自家用車を利用する場合と公共交通機関を利用する場合で、かかるコストを比べてみるのも良いかもしれません。 また、免許返納を経験した知り合いやかかりつけ医、親族など自分以外に親のことをよく知っている人から説得してもらうのも有効。それでも免許証の返納を渋る場合は、各都道府県に設置されている公的な安全運転相談窓口に相談してみるのもひとつの手かもしれませんね。 参考:「運転が不安になってきたシニアドライバーやそのご家族へ 運転免許証の「自主返納」について考えてみませんか?」(政府広報オンライン) 参考:「「運転免許の自主返納」に関する当事者とその家族の意識調査を公開!~家族の想いと高齢者の本心が明らかに~」(株式会社エイチームHP)
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シーツで排泄の有無がわかる!?ベッドに敷くだけで「におい」を区別

介護用品の開発やサービス提供を手がける株式会社abaは、ベッドに敷くだけで排泄を感知するセンサー「Helppad」の後継機「Helppad2」の販売を10月30日から開始しました。 「Helppad2」は第一世代が発売されてから数年にわたっておこなわれてきた、ユーザーからのフィードバックを基に改良したものになっているといいます。 排泄を感知するセンサー「Helppad」の次世代機を発売 2023年10月30日、株式会社abaはおむつを開けずに、利用者の排泄状況がわかるセンサー「Helppad」の次世代機「Helppad2」をリリースしました。 「Helppad2は、『おむつを開けずに中の様子が見たい』という介護士の声を反映した製品だ」と語るのはabaのCEOを務める宇井吉美さん。ベッドに敷くだけで、利用者の排泄状況がわかるようになっているといいます。 ベッドに敷くだけで利用者の排泄を検知 Helppad2はシーツのようにベッドに敷くタイプのセンサー。その上で利用者が排泄すると、センサーがにおいを検知して介護士に通知するシステムになっています。おむつを開けずに排泄状況がわかるため、介護士の負担が軽減されるといいます。 また、abaは食品や消臭剤などの「排泄物以外のにおい」と「排泄物のにおい」の区別をさせるため、排泄時のセンサーの反応データを大量に取得。排泄時のみセンサーが反応するように、アルゴリズムを調整し続けたそうです。 さらに、汚れることも想定していて、速乾性のあるカバーは洗濯可能。パッドとセンサーベルトには防水加工が施されているため、排泄物で汚れてしまっても、アルコールなどを湿らせた布などで拭き取れるといいます。 排泄介助は介護者のみならず、介護される側にも心身ともに多大な負担がかかります。実際、排泄介助をされるのが嫌で、排泄しても介護士に伝えないという人も少なくありません。今回紹介した「Helppad2」ならおむつを開けずに排泄状況が確認できるため、利用者の心身への負担も減らしていけるかもしれませんね。
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遠距離でも介護できる!?遠方で一人暮らしの家族を持つ人のための本

株式会社祥伝社は、女優として活動している柴田理恵さんが自身の体験談をつづった『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』を刊行することを発表。遠くにいても在宅で介護するハウツーを学べるといいます。 今、「遠距離介護」の情報が求められている背景 団塊世代全員が75歳以上になる2025年には、国民全体の約5人に1人が75歳以上の後期高齢者になると言われています。高齢化社会が進展するのに伴い、「家族の介護」に悩む人も少なくないのが実情です。 今回紹介する書籍の監修をおこなっている、NPO法人となりのかいごが2020年におこなった調査によると、「介護を自分の手ですることは親孝行になる」と考えている人が64.8%に上ったことが判明。一方で、その意識で頑張りすぎた結果、介護開始から3年以内に離職した人の割合も53.4%と、過半数を占めていることがわかっています。 また、一人で家族の介護を抱え込んでしまうと、そのストレスを高齢の親に向けてしまうケースもあります。 厚生労働省の「令和3年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」によると、2021年時点で、高齢者の世話をしている家族や親族、同居人などによる高齢者虐待の相談・通報件数は、3万6378件に達したことが明らかになりました。 介護離職や高齢者虐待など、家族介護にまつわるさまざまな課題を解決するには、「無理せずに家族を介護する方法」を模索することが不可欠なのです。 負担をかけずに遠距離介護をする方法 以上のような介護にまつわる課題を解決するために生まれたのが、今回紹介する『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』です。 この書籍では、柴田さんが、要介護4の判定を受けた母親の「東京に行かず、富山の実家で一人暮らしを継続したい」という思いを実現するためにおこなった試行錯誤を紹介。その上で、「どうすれば離職せずに介護できるか?」「遠距離の介護でどこまでできるか?」などといった、介護に関するさまざまな悩みを専門家がアドバイスするという内容になっているといいます。 「無理をしない介護」を実現するためには、今回紹介したような図書を読んだり周りの人にアドバイスを求めたりして、できるだけ多くの意見に耳を傾け、それらをもとに試行錯誤していく必要があります。介護の相談窓口として、地域包括支援センターも各自治体に設置されているため、介護の悩みがある方は早めに相談してみることをおすすめします。
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犬をお世話すると認知症リスクが下がる!?犬と一緒に健康に過ごそう

新たな研究で、犬を飼育している人は飼育していない人に比べて、認知症の発症リスクが下がる可能性が示されました。 この研究は、高齢者の健康増進を目指す独立行政法人東京都健康長寿医療センターによっておこなわれ、その研究結果は「Preventive Medicine Reports」という科学誌に掲載されています。 1万人以上の医療データを解析 東京都健康長寿医療センターの研究グループはこれまで、犬を飼育している高齢者では、心身機能が大きく衰えてしまう「フレイル」の発生リスクが大幅に下がることや、犬を飼育している高齢者のうち運動習慣がある人は、より健康的に生きられることを報告してきました。 そこで今回は、フレイルや運動習慣と強い関連性がある認知症に着目。ペットの飼育が認知症の発症率にどう影響があるのかについて調べました。 今回、研究グループは、2016年におこなわれた調査に回答した1万1194人(平均年齢74歳)のデータを使用しました。対象者の犬の飼育率は8.6%、猫の飼育率は6.3%で、2020年までの介護保険情報を調べたところ、要介護状態に移行した認知症の新規発症率は5%でした。 犬を飼育している高齢者は認知症リスクが下がる傾向に 研究グループが入手したデータをもとに統計的な解析をおこなった結果、犬を飼っている高齢者はそうでない人に比べて、認知症を発症するリスクが40%低いことが明らかになりました。 また、犬を飼育している高齢者のうち、運動を習慣的におこなっている人や社会的な孤立状態にない人では、より認知症の発症リスクが低下することが判明。一方、猫を飼っている人と飼っていない人の間では、特に認知症リスクに差はみられませんでした。 研究グループは、「日常的に犬を世話することによる飼育者の身体活動や社会参加の維持が、飼育者自身の認知症の発症リスクを低下させているのではないか」と分析しています。 ペットによる健康効果は多くの研究から明らかになってきていて、動物によるセラピーを実践している高齢者施設も増えてきています。余裕がある方は、ペットとともに健やかな毎日を過ごす選択をしても良いかもしれませんね。
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高齢者のためのマットレス!?利用者の状態に合わせてタイプを選べる

マットレスの製造や販売を手がける株式会社エアウィーヴは、「エアウィーヴ ウェルネスモデルマットレスM80(通気タイプ)」を新たに商品化したことを明らかにしました。 担当者は、「これまでの『ウェルネス(介護)モデルマットレス』シリーズに新たなラインナップが増えたことで、より利用者の状況に応じて寝具を選べるようになった」と述べています。 ウェルネスモデルマットレスの通気タイプを商品化 エアウィーヴは、「エアウィーヴ ウェルネスモデルマットレスM80(通気タイプ)」を開発。2023年10月23日より福祉用具貸与事業者向けに受注を開始したことを明かしました。 エアウェーヴが自社開発のマットレスのラインナップにウェルネス(介護)モデルを加えたのは2019年。それ以降高い支持を得ていたものの、「カバー自体に高い通気性がほしい」という声が多く寄せられたといいます。 それを反映させて生まれたのが、今回の「エアウィーヴ ウェルネスモデルマットレスM80」。水を使って体を拭く清拭が必要な方は防水タイプ、蒸れを軽減したい方は通気モデルと、利用者の状態に最適なタイプを選択可能です。 通気タイプの特徴 「ウェルネスモデルマットレスM80」では、エアウィーヴが独自に開発したエアファイバーを中材に使用。体圧を分散させる性質を持つため、肩や腰に負担をかけずに寝られるといいます。また反発性も高く、体が沈み込み過ぎないようになっているため、寝返りがしやすく、介助もしやすくなっているそうです。 また、通気性を高めたカバーも特徴のひとつ。カバーとマットレスの中材はともに簡単に洗えるため、在宅介護をするような一般家庭でも手入れしやすいといいます。 介護度が高い高齢者は特に、一日のうちベッドで過ごす時間がどうしても長くなる傾向にあります。長時間ベッドにいても体に負担をかけずに済むように、マットレスはこだわりのものを使いたいですね。

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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