高齢化が加速する日本で社会保障費、中でも介護費の増加が特に大きくなっていることが浮き彫りになりました。
厚生労働省が8月31日に発表した2020年度の介護保険事業状況報告によると、2020年度の介護保険の費用額は11兆542億円。前年度と比較して2730億円、率にして2.5%もの増加となっています。
介護保険費用額から高齢者の自己負担分(1〜3割)を除いた給付費は10兆2311億円で、こちらも前年度と比較して2690億円、率にして2.7%の増加となりました。
介護保険費用額、給付費ともに過去最高を更新し、費用額においては初めて11兆円を、給付費は10兆円をそれぞれ超えています。介護費は介護保険制度の創設から増加し続けており、制度の始まった2000年度から比べると約3.2倍にもなっています。
なお、65歳以上の1人当たりの給付費は28万6000円で、前年度より6000円の増加です。
今回の報告では2020年度末時点の要支援・要介護の認定者数は682万人。前年度同月から13万人(2.0%)の増加となっており、過去最多となる数字です。要支援・要介護認定者が高齢者全体に占める割合は18.7%(0.3ポイント増)で、こちらも同様に過去最高を記録しています。
このうち、最も重い要介護5の割合は8.6%、要介護4は12.5%、要介護3は13.3%。一方で軽度となる要支援1~要介護度2の人が65.6%を占める結果となっています。
介護費の増加は、高齢化の進展による介護サービス需要の拡大が最大の要因です。
今後は1947年〜1949年に生まれた、いわゆる「団塊の世代」が、75歳以上の後期高齢者となり、2025年度には全員が75歳以上に。高齢化は今後も続いていくことが予想されます。
以上のような観点から、介護費増加の傾向は変わらないでしょう。
出生・死亡などの集計によれば、2040年度にかけて高齢者の増加ペースはゆるやかになっていく一方で、「支え手」となる現役世代の人口は急速に減少していくと考えられています。少ない支え手で多くの高齢者を支えなければならないため、介護保険の財政基盤は更にあやういものになっていくでしょう。
介護保険外サービスや、介護保険サービスと介護保険外サービスの両方を利用する混合介護の充実をはかる、医療と介護の連携を強化するなど、さまざまな対策を検討していくことが今後求められています。
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