「アニマルセラピー」という言葉があるように、動物とふれあうことでストレスの軽減などの効果があることは有名ですよね。
そのなかでも認知症の症状の緩和が注目されており、介護施設に動物と一緒に訪問するボランティア団体があったり、施設で犬を飼っているところもあるほどです。
動物とふれあうことの効果は海外でも研究されており、アメリカのミシガン大学では、「ペットを飼うことで認知機能の低下を抑える可能性がある」という研究結果が発表されました。
アメリカのミシガン大学医療センターの研究グループは、「ペットを飼うことが認知機能の低下を抑制する可能性がある」ことを明らかにしました。
この調査は、アメリカの保険加入者を対象にした研究データをもとに実施。対象者は、研究開始時に認知機能の低下がなかった平均65歳の約1400人です。
また、対象者の約50%はペットを飼っており、そのうち約30%は5年以上ペットを飼っていました。
研究グループは、彼らの認知機能テストの結果とペットを飼っている年数を比較することで、認知機能の低下とペットの飼育歴の関連を調べたそうです。
その結果、2010~2016年の6年間での認知症スコアの低下速度は、ペットを飼っている人の方が遅いという結果に。特にペットを5年以上飼っている人と飼っていない人の差が、最も大きかったとのことです。
さらに、認知機能の低下スピードの減少は「黒人」「大学教育を受けている」「男性」という条件の人に顕著でした。
この結果に対して、研究グループは「ストレスは認知機能に悪影響を与える可能性がある。ペットを飼うことでストレスが緩和されたのではないか」「ペットを飼う人は身体活動が増えて、認知機能低下の抑制に影響したことも考えられる」と述べています。
今回の研究で、ペットを飼うことで認知症の予防ができる可能性が見えてきました。
もしかしたら、動物を飼うことで「この子の世話をしなきゃいけない」という気持ちが認知機能の低下を遅らせるのかもしれません。
というのも、認知症の進行予防法のひとつに「やりがい、生きがいを感じる生活をおくる」というものがあります。認知症の人が何か役割を受け持つことで、生きがいを感じて症状の進行を遅らせるというケアです。
それと同じように「ペットの世話をする」という生きがいを持って暮らすことで、認知機能の低下を抑制した可能性も考えられます。
だからといって、軽率にペットを飼うのは要注意。特に高齢者の場合は急な入院などのリスクもあります。そのため、「万一のときに誰が世話をするのか」「ペットの引き取り手はいるか」を確認してから動物を迎えるようにしましょう。
また、現在ペットを飼っていて、老人ホームの入居を検討している人はペットと一緒に入居できる介護施設も良いかもしれません。
ペットと一緒に入れる老人ホームについては、以下のページで注意点などを紹介しています。参考にしてみてくださいね。
https://e-nursingcare.com/guide/kinds/pets-together/
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