施設の入居を検討しているときに「有料老人ホーム」の名前を見かけるでしょう。有料老人ホームがあるということは、「無料老人ホーム」もあるのかと考えてしまうかもしれませんが、無料老人ホームは存在しません。 しかし、低所得者が安価に入居できる老人ホームはあります。それは、国や自治体が運営している公的な施設のことです。 この記事では、比較的、安価に入居できる公的施設の種類や、公的施設と民間施設の費用の違いを紹介します。また、安い老人ホームを探すポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。 「無料老人ホーム」は存在しない 「無料老人ホーム」という老人ホームは存在しません。しかし、低所得者が安価に入居できる老人ホームはあります。例えば、ケアハウスや介護老人保健施設などの公的施設です。 無料老人ホームは、「有料老人ホーム」という名前を聞いて「無料老人ホームがある」と勘違いして広まったのだと考えられています。 この記事では、比較的、安価で入居できる公的施設と、有料老人ホームなどの民間施設を紹介します。 公的施設なら安価に入居できる 公的施設は無料ではありませんが、有料老人ホームなどの民間施設よりも、比較的、安価で入居できます。公的施設は国や自治体からの補助を受けているため、費用も安めに設定されているのです。 主な公的施設は以下です。 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 ケアハウス(軽費老人ホームC型) どんな施設なのか、それぞれ詳しく紹介します。 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホームとは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養」とも呼ばれています。要介護3以上の人が入居できます。 特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。 終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ人の多い施設です。 特養は費用の安さゆえに人気が高く、地域によっては入居まで数年待ちが必要な場合もあります。 介護老人保健施設(老健) 介護老人保健施設(以下、老健)は、65歳以上かつ要介護1以上で、その中でも特に医療ケアやリハビリが必要な人のための施設です。 老健はリハビリを経て自宅に戻ることを前提としているため、入居期間は、原則3~6ヵ月とされています。ただし、「在宅生活ができる状態にまで復帰していない」「家族の受け入れ体制や生活環境が整わない」といった理由から、この原則の期間が守られないケースも多く見受けられます。 老健で提供されるサービスも、リハビリに関するものが充実しています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士という専門家の指導を受けながら本格的なリハビリを受けることが可能です。 介護医療院 介護医療院は、高齢者に対する「医療」と「介護」のニーズに応えるための生活施設です。たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアや介護サービスの提供はもちろん、看取り・ターミナルケアまでを担います。 それらに加えて、地域住民との交流や入居者向けのイベント・レクリエーションが充実している施設も。高齢化が進む中、地域社会との関わりを強く意識した施設という点で、注目度の高い公的施設です。 ケアハウス ケアハウスは、老人福祉法で定められた軽費老人ホームの一種です。 軽費老人ホームとは、自立した生活が困難になった身寄りがない60歳以上の高齢者が入居できる施設のことです。軽費老人ホームにはA型、B型、C型、都市型の4種類があり、そのうちC型をケアハウスと呼びます。 2008年より、軽費老人ホームはケアハウス(C型)の基準に統一されており(※)、今後A型、B型の施設が新しく建てられることはありません。 ケアハウス(C型)には「一般型」と「介護型」があり、その両方で食事サービスの提供があります。一般型ケアハウスは施設からの介護サービスの提供がなく、介護型ケアハウスは施設に介護サービスが付帯しています。 ※参考:「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準について(平成20年5月30日老発0530第2号厚生労働省老健局長通知)(抄)」(厚生労働省) 民間施設の種類 国や自治体が運営している公的施設に対して、民間企業が運営している民間施設もあります。民間施設は公的施設に比べて費用が高い傾向にあります。 民間施設はサービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居条件も施設によりさまざまです。自立している人から介護が必要な人まで幅広く受け入れている施設もあり、幅広い選択肢の中から自分に合った施設を選べます。 主な民間企業は以下です。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム 公的施設と民間施設の費用の違い 公的施設・民間施設、それぞれの費用の目安は以下です。 公的施設 初期費用月額利用料特別養護老人ホーム(特養)0円約8~14万円介護老人保健施設(老健)0円約7~14万円介護医療院0円約7~14万円一般型ケアハウス0~数十万円約6~17万円介護型ケアハウス数十万~数百万円約10~20万円 民間施設 初期費用月額利用料介護付き有料老人ホーム0~数千万円約15~35万円住宅型有料老人ホーム0~数千万円約15~30万円サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)0~数十万円約11~25万円グループホーム0~数十万円約10~15万円 公的施設の初期費用は基本0円の場合が多いです。月額費用は14万円以下が多く、安く抑えられています。 対して民間施設は、初期費用は0〜数千万円と幅があり、月額費用も10~40万円と施設によって異なります。 全体的に費用を比べてみると、公的施設の方が費用が抑えられており、安く利用できることがわかります。 年金だけで入居できる施設もある 収入が年金のみの人でも入居できる老人ホームはあります。特に公的施設は低価格で入居でき、非常に人気の施設です。 また、昨今では民間施設も低価格でサービスを提供しており、年金だけで生活していける可能性があります。 ただし受給しているのが国民年金のみ(=受給額が少ない)の場合は、老人ホームの選択肢が少なくなり、最悪のケースとして入居先がないことも考えられます。 生活保護を受給する手もある 施設の入居費用の確保がどうしても難しい場合は、生活保護を受給する手段も。生活保護の受給者も入居できる施設はあります。 しかし、生活保護受給者が入れる施設はとても少ないので、探すには注意が必要です。また、生活保護受給者が入居可能な施設でも、受け入れ人数を制限している場合もあります。生活保護受給者の定員が埋まっていれば入居できません。 「生活保護受給者を受け入れてくれる施設は少ない」「定員が制限されている」ということを考えて、希望の地域だけではなく広い地域の施設を検討しましょう。 安い老人ホームを探す際のポイント 公的施設・民間施設に限らず、値段が抑えられた老人ホームを探すポイントがあります。 安い老人ホームを探すポイントは以下です。 前払金 立地 部屋の形態 食事の内容 それぞれ詳しく見てみましょう。 前払金 前払金は入居一時金ともいいます。入居一時金は施設を利用する権利の購入金のこと。数百~数千万円の金額設定の施設もあるため、入居一時金が必要か施設に必ず確認しましょう。 入居一時金は、一般的に入居後に毎月償却されていきますが、入居者の退去や死去した時点で全額償却されていない場合は、入居者本人や家族に未償却分の費用が返されます。 入居一時金は、入居時に初期償却したうえで毎月償却がおこなわれているため、入居者の退去や死亡時に受け取れる未償却分の費用が少額になる場合もあります。 立地 月額利用料の大半を占める家賃や管理費は立地条件などで変動します。一般の物件と同じような基準で決められていると考えて良いでしょう。 施設の場所が駅から徒歩数分だったり、一等地に立地していると費用も高めになりますが、駅から離れた郊外や地価の安い地域、アクセスが難しい立地の場合は費用も安めに設定されることが多いです。 また、都市より地方の施設を選ぶことで、費用の安い老人ホームを見つけられます。 ただ、「自宅から近い場所が良い」「自然豊かなエリアに囲まれたい」「都市部や商業施設に近いほうがいい」といった入居者の希望もそれぞれ異なるため、本人の希望と費用面がマッチした施設を選ぶと良いでしょう。 部屋の形態 部屋の形態でも費用が変動します。例えば、部屋の広さ、日当たり、設備状況など。中でも個室よりも多床室の方が安価で入居できる場合があります。 多床室とは相部屋のことを指します。プライベートを確保できる個室と違い、安価であることが多いです。多床室は4人〜6人で利用する居室。プライベートスペースはカーテンなどで区切られ、最低限のプライバシーを守れるようになっています。 ただし、「同部屋の人による夜間のいびきや物音が気になる」「同部屋の人と気が合わない」などの問題が生じるおそれがあるデメリットもあります。 食事の内容 施設によって食材やメニュー、料理方法も違うため、費用の差が出ます。調理スタイルも施設によって異なり、自施設のスタッフが調理するところもあれば、外部業者に調理や配達を委託して食事を温めるだけの施設もあります。 入居者で気になるのが、誤嚥予防や持病への対応。咀嚼や飲み込みがしにくい入居者向けにきざみ食やソフト食、ムース食、ミキサー食といった介護食や、糖尿病や高血圧といった持病の方向けの治療食を提供する施設もあります。その場合は、別途費用が必要になるかどうかを確認しましょう。 また、アレルギーや好き嫌い、選択制メニューといった柔軟な対応も食費に上乗せされることもあるため、食費の内訳を確認すると良いでしょう。 安い老人ホームを探す際の注意点 安い老人ホームを探すには、無理のない施設を選ぶことが大切です。施設選びがその後の生活の質を決めるといっても過言ではありません。 施設の費用だけに注目して施設を決めてしまうと、安価な施設であるがゆえに、交通が不便、プライバシーが守られない、娯楽も少ない…といった入居後の不満やストレスにつながる場合もあります。 優先順位を決める 安い老人ホームを選ぶのに大切なのは「何を重視するのか」ということです。どう選んで良いかわからない人は、それぞれの希望条件やポイントに優先順位をつけて考えてみるのがおすすめ。そうすることで最優先にすべきポイントやゆずれないポイント、妥協できるポイントが見えてくるはずです。 老人ホームは入居したら毎月確実に費用を支払うことが必須です。そのため、現在の収入や見込まれる今後の収入、貯蓄や資産などに見合った無理のない施設選びをしましょう。 所得に応じて費用の軽減制度もあるため、生活保護受給者や低所得者でも入居可能か、地域の相談窓口などに確認しましょう。 ただ、安価な施設は待機人数が多いのがデメリット。在宅での介護が困難な人は民間施設に入居しながら、待機を待つという手もあります。 老人ホームを探す際の相談窓口 老人ホームを探す際には以下の窓口を利用するのがおすすめです。 地域の相談窓口「地域包括支援センター」など 施設紹介サイト それぞれ詳しく見てみましょう。 地域の相談窓口「地域包括支援センター」など これから介護を始める人やその家族がまず利用することが多いのが、地域包括支援センターや自治体、社会福祉協議会などの地域の相談窓口です。生活保護や施設への入居の相談ができます。 地域の相談窓口には、主に以下のものがあります。 地域包括支援センター 自治体の窓口 社会福祉協議会 市町村の役所には、地域包括支援センターをはじめ、高齢者向けの相談窓口が複数設置されているところが多くあります。窓口の案内が載っているので、役所のホームページで生活相談や施設への入居相談の窓口を探してみましょう。ホームページで探すのが不安な場合は、役所に電話をすれば相談内容に合った窓口へ繋いでくれます。 地域包括支援センターや高齢者向けの相談窓口では、生活保護などの手続きはもちろん、ケアマネジャーも紹介してくれます。何からすれば良いかわからない場合は、まずは地域の相談窓口を利用してみましょう。 介護施設紹介サイト 老人ホームを探す場合には、紹介サイトを利用するのも良い方法です。紹介サイトでは、さまざまな施設の情報が提供されているので、入居希望者の状態に合った施設を探せます。 また、紹介サイトの相談員に相談すると、いくつかの希望に合った施設を紹介してくれることもあります。自分一人で施設を探すよりも、入居希望者に合った施設を効率的に見つけられます。 よくある質問 無料老人ホームとはどんな施設ですか? 「無料老人ホーム」という老人ホームは存在しません。しかし、低所得者が安価に入居できる老人ホームはあります。例えば、ケアハウスや介護老人保健施設などの公的施設です。 安価の老人ホームはありますか? 公的施設は無料ではありませんが、有料老人ホームなどの民間施設よりも、比較的、安価で入居できます。公的施設は、国や自治体からの補助を受けているため、費用も安めに設定されているのです。主な公的施設は「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「介護医療院」「ケアハウス(軽費老人ホームC型)」があります。 公的施設と民間施設ではどちらが安価ですか? 民間施設よりも公的施設の方が、全体的にリーズナブルに費用を抑え、安く利用ができます。公的施設の初期費用は基本0円の場合が多いです。月額費用は14万円以下が多く、安く抑えられています。対して民間施設は、初期費用は0〜数千万円と幅があり、月額費用も10~40万円と施設によって異なります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "無料老人ホームとはどんな施設ですか?", 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2023/10/20
仕事と介護を両立する中で、介護休業を検討する人もいるでしょう。 しかし「介護休業を取りたいけど、収入がなくなるのが不安」「介護休業給付金は誰でも対象になるの?」と疑問に思う方もいるのでは? そこで、本記事では、介護休業給付金の受給条件や支給金額、申請方法などについて紹介していきます。 介護休業給付金の仕組みを知りたい方や、安心して家族の介護に集中したい方は、ぜひ参考にしてください。 介護休業給付金とは 介護休業給付金とは、家族の介護で仕事を休業する場合に、原則として給料の67%を受け取ることができる制度です。 介護休業は「育児・介護休業法」で規定された労働者の権利であり、一定の要件を満たす方は雇用保険から「介護休業給付金」を受け取ることができます。 給付金の支給期間は、1人の家族につき介護休業開始日から最長93日間。給付金は最大3回まで分割して受け取ることができます。 介護休業給付金を受給できれば、休業中の経済的な負担を軽減することができるでしょう。 介護休業とは 介護休業とは、労働者が要介護状態にある家族を介護する必要がある場合に事業主に申し出ることで、休業期間を得られる制度。目安として、介護のために2週間以上休まなければならないときに取得できます。 また介護休業は、介護休業終了後に職場復帰をする人を対象としています。介護休業を取得する時点で休業後に離職することが決まっている場合は対象にならないため、注意が必要です。 介護休業の取得条件は 介護休業を取得できるのは「常時介護を必要とする対象家族を介護する男女の労働者」です。 対象となる家族の範囲は、次の通りです。 配偶者(事実婚の相手も可) 父母(養父母でも可) 子(養子でも可) 配偶者の父母(養父母でも可) 祖父母 兄弟姉妹 孫 介護休業が取得できないケース 以下の条件に該当する場合には、介護休業を取得することはできません。 日々雇い入れられる者 期間を定めて雇用される者のうち、取得予定日から起算して93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までの間に、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかな者 ※2022年4月1日より育児・介護休業法が改正されたため「同一の事業主に1年以上引き続き雇用されていること」という取得要件は撤廃されています。 次の労働者については、労使協定を締結することで介護休業の対象外となり、介護休業は取得できません。 入社1年未満の労働者 介護休業の申し出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 介護休業給付金の受給条件は 介護休業給付金の受給条件は、無期雇用と有期雇用では異なります。 無期雇用の場合 無期雇用とは、期間の定めのない労働契約を締結している労働者のこと。正社員のように雇用期間が無期限である人を指します。 無期雇用の場合は、介護休業を開始した日より前の2年間の雇用保険加入期間が12ヵ月以上あることが受給条件です。 有期雇用の場合 有期雇用とは期間に定めのある労働契約を締結している労働者のことで、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員に多い契約形態です。 有期雇用の場合は、介護休業開始予定日から93日を経過する日から6ヵ月を経過する日までに労働契約が終わると決まっていないことが受給条件です。 介護休業給付金が受給できないことがある? 受給条件を満たしていても、介護休業給付金の受給対象外になることがあります。 ここでは介護休業給付金が受給できない5つのケースについて見ていきましょう。 ...
2023/07/31
家族の介護が必要になると心配なのが介護費用です。特に年金や貯蓄が少ない場合、親のお金だけで介護費用がまかなえるのか不安な方も多いのではないでしょうか。 この記事では、介護保険サービスの自己負担割合や介護にかかる費用の目安を解説。介護費用を軽減する制度とその支給要件と申請方法も紹介します。 自分の将来の介護費用が心配という方も、ぜひ参考にしてください。 介護保険の仕組みを理解して費用を把握しよう 介護にかかる費用の大部分を占めるのが「介護保険サービス費」です。要介護度により上限額が決まるほか、所得などにより自己負担割合も変わります。まずは介護保険の仕組みを知り、介護費用の把握につなげましょう。 介護保険サービスは基本的に1割負担 介護保険サービスの利用費は、利用者自身が負担する「自己負担」と、介護保険制度が負担する「介護給付」で支払います。このうち介護給付の半分は、40歳以上の方が納める介護保険料で、残りの半分は税金でまかなわれています。 自己負担は基本的には1割ですが、所得などの条件によっては2割または3割になることも。これは介護保険費用の増大が社会問題化し、一定以上の収入がある高齢者の自己負担額が引き上げられたことによります。 今後も自己負担額を増やすために法改正などが検討されています。収入によっては自己負担割合が変わることもあるので、制度の変更には注目しておきましょう。 自己負担割合はどうやって決まる? 自己負担額は、世帯人数と合計所得金額によって変わります。どのようなパターンがあるか具体的に見ていきましょう。 世帯に65歳以上の方が1人の場合(単身者含む) 世帯に65歳以上の方が2人以上の場合 介護費用の目安は? それでは、実際に介護が必要になるとどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここからは、在宅介護と施設介護、それぞれの費用の目安を紹介していきます。 在宅介護の場合 生命保険文化センターがおこなった全国実態調査によると、在宅介護を始める際にかかる一時的な費用の平均は74万円、月額費用の平均は8.3万円となっています。 出典:「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人 生命保険文化センター) 一時的にかかる費用には、自宅を介護に適した環境にするためのリフォーム費用や車椅子、介護用ベットといった介護用品の購入費用が含まれています。 出典:「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人 生命保険文化センター) また月額費用としては紙おむつなどの消耗品の購入や、デイサービスなどの外部サービスを利用した場合の費用などが挙げられます。 施設介護の場合 老人ホームには、国や自治体などが運営する「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」があります。次の表は、公的施設と民間施設の費用の相場です。 公的/民間 施設の種類 初期費用 月額費用 民間 介護付き有料老人ホーム 0~数千万円 15~30万円 住宅型有料老人ホーム 0~数千万円 11~25万円 サービス付き高齢者向け住宅 0~数十万円 11~25万円 グループホーム 0~数十万円 10~15万円 公的 ケアハウス 0円~数十万円 6~17万円 特別養護老人ホーム 0円 8~14万円 介護老人保健施設 0円 8~14万円 介護医療院 0円 10~20万円 老人ホームの費用には、契約時に支払う「初期費用」と毎月かかる「月額費用」があります。表中の月額費用は家賃・管理費・食費・水道光熱費などの最低限必要な費用のため、医療費や介護保険自己負担額、日用品や嗜好品購入費などは別途必要です。 表を見てわかる通り、公的施設の費用は民間に比べて安く、厚生年金を受給している方なら年金だけでの入居も不可能ではありません。ただし、公的施設は費用が安いことから待機期間が長い傾向にあり、すぐに入れるとは限らないことは理解しておきましょう。 【具体例】要介護3の場合 在宅介護特別養護老人ホーム(ユニット型個室)有料老人ホーム介護サービス費27,048円23,790円20,220円家賃(居住費)0円60,180円115,000円管理費0円0円98,000円食費0円43,350円54,000円その他35,000円10,000円10,000円合計62,048円137,320円297,220円 なお、この表における在宅介護の費用には家賃・管理費・食費は含まれていません。これらは介護が必要になる前からかかっているので、対象外としています。ただし介護を始めるにあたって家をリフォームする場合はその分の支出は一時的な費用として追加します。 上記表によると、在宅介護にかかる費用は62,048円と最も安く、最も費用が高い介護付き有料老人ホームとの金額差は235,172円にものぼります。 在宅で介護をおこなう場合には家賃や管理費、食費などが追加でかからず費用を安く抑えられている一方で、施設入居の場合には、居住費や食費を別途支払う必要があるため費用が高くなっています。 また、施設を利用して自宅が空き家になる場合でも、家の維持管理費などは支払うことになるために二重で居住費用がかかることもあります。 受け取れる年金額を把握しよう 受け取れる年金額を把握しよう 受け取れる年金額は国民年金のみで約6万円程、厚生年金の場合は約21万円程が支給されています。 以下では、令和4年度の月額の年金金額をまとめました。 厚生年金国民年金令和4年度219,593円64,816円 出典:「令和4年4月分からの年金額」(日本年金機構) すでに年金を受給している方で「いくら年金をもらってるかわからない」という場合は、銀行口座の確認をしましょう。年金は2ヵ月に一度支給されるので、その金額を1/2にすることで月額の金額を把握することができます。 年金だけでは介護費用が足りないときの助成制度 年金受給額は人によって異なり、年金だけでは介護費用が足りないという方も少なくありません。そこで、介護の費用負担を軽減するために、次のような制度があります。 介護休業給付 居宅介護住宅改修費 福祉用具購入費 家族介護慰労金 高額介護サービス費 高額介護合算療養費制度 医療費控除 それでは、それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。 介護休業給付 家族の介護のために介護休業を取得すると、雇用保険から介護休業給付を受けられます。休業中も給与の約67%を受け取れるので、介護のために仕事を休まざるを得ない雇用保険加入者はぜひ活用しましょう。 給付額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算します。ただし、1つの支給単位期間(介護休業開始日から起算した1ヵ月ごとの期間)で休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われた場合、給付額は0円です。 また、80%未満でも収入によっては減額される場合があります。 支給要件・申請方法 介護休業給付の受給には、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月あることに加え、以下の要件を満たす必要があります。 介護休暇ではなく介護休業を取得していること 介護休業を開始する前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること 介護休業終了後に離職の予定がないこと 期間雇用者は介護休業開始から93日~6ヵ月経過までの期間に雇用期間の終了予定がないこと 要件にあてはまる場合、対象となる1人の家族に対して93日まで支給されます。通算93日以内であれば、3回までは分けての取得も可能です。 介護休業給付を受けるには、介護休業修了の翌日から2ヵ月後の月末までにハローワークで申請します。 居宅介護住宅改修費 介護が必要になっても自宅で安全に生活し続けられるよう次のようなリフォームをおこなうと、介護保険から居宅介護住宅改修費が支給されます。 手すりの設置 段差の解消 床材の変更・滑り止め設置 扉の取り換え 便器の取り換え 上記に付帯して必要となる工事 新築工事は対象外のため、支給を受けるには完成後に改めて設置工事をおこないます。賃貸住宅に居住している場合も家主の承諾が得られれば改修できますが、転居や退去に伴う原状回復費用は全額自己負担です。 支給限度基準額は要介護度や工事の内容に関わらず20万円です。受け取れる金額は介護保険の自己負担割合によって異なり、たとえば自己負担割合が1割の方が上限の20万円を超えるリフォーム工事をおこなった場合、支給額は自己負担額の2万円を除いた18万円です。 支給要件・申請方法 居宅介護住宅改修費の支給要件は次の通りです。 要介護認定で要支援・要介護の認定を受けていること ...
2023/06/29
「特別養護老人ホームに入居したいけど、少しでも費用の負担を減らせる制度はないかな」と不安を抱えている方もいるかもしれません。 そこで、この記事では特別養護老人ホームの費用を減免する5つの制度を紹介。対象となる条件や申請方法も解説しています。特別養護老人ホームの費用に頭を悩ませている方はぜひ参考にしてください。 特別養護老人ホームの費用を減免する5つの制度 特別養護老人ホームでは、次の制度の活用により費用を抑えられます。それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。 制度名減免される費用項目申し込み方法特定入所者介護サービス費居住費・食費お住いの自治体にて申し込み高額介護サービス費介護サービス費の自己負担額お住いの自治体にて申し込み高額医療・高額介護合算療養費制度医療保険と介護保険の自己負担額お住いの自治体にて申し込み社会福祉法人などの利用者負担軽減制度介護サービスの自己負担額、居住費および食費お住いの自治体にて申し込み医療費控除介護サービスの自己負担額・居住費・食費所轄税務署に確定申告書を提出 特定入所者介護サービス費 特別養護老人ホームの食費や居住費は、原則、全額自己負担です。しかし、所得や預貯金などが一定以下の人については負担限度額が設けられており、これを超えた分は「特定入所者介護サービス費」として介護保険から給付されます。 負担限度額は所得や預貯金などの額に応じて4段階に区分され、所得が低い人ほど負担限度額も低く設定されています。 対象者 次の表に該当する人は、特定入所者介護サービス費の対象です。基本的に住民税非課税世帯の方が対象ですが、一定以上の預貯金などがあると対象外になります。なお、所得や預貯金などの基準となる金額は夫婦と単身で異なります。 段階 対象者 預貯金の基準(夫婦の場合) 第1段階 生活保護を受給している方など 要件なし 世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者 1,000万円(2,000万円) 第2段階 世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円以下 650万円(1,650万円) 第3段階 ① 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金年収入額(※)+その他の合計所得金額が80万円超~120万円以下 550万円(1,550万円) ② 世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える方 500万円(1,500万円) ※世帯とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、個人とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。 預貯金などに含まれる資産 預貯金などに含まれる資産は、普通預金や定期預金などの預貯金のほか、有価証券(株式、債権など)、投資信託、金銀(口座残高で時価評価額が容易に把握できる貴金属)、手許現金(タンス預金など)です。ローンなどの負債がある場合は、合計金額から差し引きます。 それぞれの金額は通帳や口座残高の写しのほか、インターネットで取引している場合は明細のページをプリントアウトしたもので確認します。なお、タンス預金などの現金は自己申告です。 段階ごとの負担限度額 段階ごとの特定入所者介護サービス費の負担限度額は、次の表の通り決められています。 例えば第1段階の方が多床室を利用する場合、1日あたりの負担限度額は居住費が0円、食費が300円なので、1ヵ月(30日)の自己負担額は9000円になります。 段階 居住費(日) 食費 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 多床室 第1段階 820円 490円 320円 0円 300円 第2段階 820円 490円 420円 370円 390円 第3段階① 1310円 1310円 820円 370円 650円 第3段階② 1310円 1310円 820円 370円 1360円 申請方法 特定入所者介護サービス費の給付を受けるには、住民票のある市区町村に申請して「負担限度額認定」を受ける必要があります。申請は、介護保険負担限度額認定申請書に必要事項を記入し、自治体の担当窓口で手続きします。 申請には次の書類等が必要です。 介護保険負担限度額認定申請書 同意書 介護保険被保険者証 預貯金などの残高がわかるものの写し(夫婦の場合は配偶者分も) マイナンバーが確認できるもの 申請者の本人確認書類 印鑑 自治体によって必要な書類が異なる場合もあるため、あらかじめ確認したうえで申請しましょう。なお、申請が承認されると「介護保険負担限度額認定証」が交付され、入居する特別養護老人ホームに提出することで食費や居住費が軽減されます。 高額介護サービス費 高額介護サービス費を利用すると、1ヵ月間に支払った介護サービス費の自己負担額が負担限度額を超えた場合に超過分が払い戻されます。 対象者と負担上限額 高額介護サービス費は所得に応じた6段階で負担上限額が設定されており、上限を超えると対象になります。 例えば、生活保護を受給している方は1万5000円を超えると対象となり、1ヵ月あたりの介護サービスの自己負担額が2万5000円だった場合は1万円が払い戻されます。 所得ごとの負担上限額は次の表をご覧ください。 設定区分対象者負担上限額(月額)第1段階生活保護を受給している方など1万5000円(個人)第2段階市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下2万4600円(世帯)1万5000円(個人)第3段階市町村民税世帯非課税で第2段階及び第2段階に該当しない方2万4600円(世帯)第4段階①市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満②課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1160万円)未満③課税所得690万円(年収約1160万円)以上①4万4400円(世帯)②9万3000円(世帯)③14万100円(世帯) 申請方法 サービス利用料の自己負担額が負担上限額を超えると、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてきます。申請書を受け取ったら必要事項を記入・捺印し、市区町村の窓口に持参または郵送します。 申請には次の書類等が必要です。 高額介護サービス費支給申請書 介護保険被保険者証 印鑑 通帳など口座番号がわかるもの(本人名義) 申請が受理されると「支給決定通知書」が届き、指定した口座に負担上限額を超えた金額が振り込まれます。また、その後も上限を超えた月は初回に指定した口座に自動的に還付されます。 高額医療・高額介護合算療養費制度 「高額医療・高額介護合算療養費制度」とは、医療サービスと介護保険サービスの両方を利用し、自己負担額の合計が負担上限額を超えたときに超過分が支給される制度です。 負担上限額は所得に応じて設定されており、合算期間は1年間です。同じ医療保険制度に加入している家族の分も合算できますが、高額介護サービス費として支給された金額は差し引いて計算します。 対象者 高額医療・高額介護合算療養費制度の対象となるのは次の場合です。 国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度の各医療保険における世帯内であること 1年間の医療保険と介護保険の自己負担合算額が、各所得区分に設定された限度額を超えた世帯であること 負担上限額 高額医療・高額介護合算療養費制度の負担上限額は、所得のほか70歳未満の人がいる世帯と70歳以上の人がいる世帯で区分されます。国民健康保険と後期高齢者医療など家族で加入する医療保険制度が異なると、合算できないため注意が必要です。 各区分の負担上限額は次の表でご確認ください。 75歳以上 70~74歳 70歳未満 介護保険+後期高齢者医療 介護保険+被用者保険または国民健康保険 年収約1160万円~ 212万円 年収約770~約1160万円 141万円 年収約370~約770万円 67万円 ~年収約370万円 56万円 60万円 市町村民税世帯非課税など 31万円 34万円 市町村民税世帯非課税 かつ年金収入80万円以下等 本人のみ 19万円 介護利用者が複数 31万円 申請方法 高額医療・高額介護合算療養費制度の申請先は、加入する公的医療保険によって異なります。国民健康保険または後期高齢者医療保険の方はお住いの市区町村の窓口で、協会けんぽや健康保険組合などの被用者保険は職場を通して申請します。 申請には次の書類等が必要です。 高額介護合算療養費等支給申請書(兼自己負担額証明書交付申請書) 健康保険証 介護保険被保険者証 通帳など口座番号がわかるもの 印鑑 なお、被用者保険に加入している方は「自己負担額証明書」も必要です。市区町村の窓口で「高額介護合算療養費等支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」を提出し、交付された証明書を添えて職場で手続きをおこないます。 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度 「社会福祉法人などの利用者負担減免制度」は、生活保護を受けている方や所得が低く生計が困難な方が介護保険サービスを利用しやすくするための制度です。自治体が特別養護老人ホームなどの介護事業者に補助金を出すことで、利用者の費用負担を軽減します。 対象者 社会福祉法人などの利用者負担軽減制度は、住民税非課税世帯の方が対象です。さらに、以下の5点の要件を満たす必要があります。 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下である 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下である 日常生活の費用以外に活用できる資産がない 費用の負担能力のある親族等に扶養されていない 介護保険料を滞納していない 減免される額 特別養護老人ホーム利用料のうち制度の対象となるのは、介護保険サービスの自己負担額、居住費、食費。利用者負担の1/4が減免されます。さらに老齢福祉年金の受給者は1/2が減免されるため、費用を抑えて特別養護老人ホームに入居できます。 申請方法 社会福祉法人などの利用者負担減免制度は、市区町村の窓口または郵送で申請します。 申請には主に次の書類が必要です。 社会福祉法人等による利用者負担減免対象者確認申請書 収入等申告書 ほかにも自治体ごとに必要な書類があるため、確認したうえで手続きしましょう。 制度の対象になると「社会福祉法人による利用者負担減免確認証」が交付され、特別養護老人ホームに提出することで費用の減免を受けられます。 医療費控除 出典:「医療費を支払ったとき」(国税庁) 医療費控除とは、その年に自分または自分と生計を共にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合に、確定申告時に負担した医療費の一部を所得から控除することを言います。 対象者 介護保険サービスを利用した際に医療費控除の対象となるのは、自分と同じ生計で暮らしている配偶者や子ども、もしくは親族などのために費用を払った場合です。 その人が自分と同居していない場合でも、自分がその人の生活費をほぼ負担している場合には、同じ生計で暮らしているという扱いで医療費控除の対象になります。 控除の対象となるもの 特別養護老人ホーム利用料のうち、介護サービス費、食費、住居費として支払った自己負担額の1/2が医療費控除の対象となります。理美容代など日常生活でも通常必要となる費用は控除の対象外となるので注意が必要です。 申請方法 1月1日~12月31日までの1年間の医療費は、翌年2月16日~3月15日の間に確定申告することで控除を受けられます。確定申告は管轄の税務署や確定申告会場のほか、e-Taxでもおこなえます。 申告には次の書類が必要です。 控除対象となるサービスの領収書 医療費控除の明細書 確定申告書 源泉徴収票 本人確認書類 医療費控除の領収書を添付することで領収書の原本は提出不要です。ただし、後日、税務署から提出を求められることがあるため、5年間は保管が必要です。 なお、医療費控除は過去5年間さかのぼって申告することが可能。期限内に申告できなかった場合は翌年に申告すれば医療費控除が受けられます。 特別養護老人ホームの費用が支払えなくなってしまったら 収入状況が変わって特別養護老人ホームの費用が払えなくなっても、通常2~3ヵ月の猶予があるためすぐに退去を求められることはありません。まずは施設のケアマネジャーなどに相談し、減免制度の利用などの対策をおこないます。 対策をおこなっても費用が払えない場合は、猶予期間内に料金の安い施設に転居します。また、費用に困窮する場合には生活保護受給の検討も必要です。 よくある質問 特別養護老人ホームではどんな減免制度が利用できますか? 特別養護老人ホームで利用できる減免制度には、特定入所者介護サービス費・高額介護サービス費・高額医療・高額介護合算療養費制度・社会福祉法人などの利用者負担軽減制度・医療費控除の5つがあります。それぞれ対象となる要件が異なるため、どれが利用できるかわからない方は施設の担当者に確認しましょう。 減免制度の申請方法はどうすれば良いですか? 申請窓口や必要な書類は制度ごとに異なります。まずは施設に詳細を確認し、必要な書類を揃えたうえで申請をおこないましょう。 特別養護老人ホームの費用相場はどれくらいですか? 特別養護老人ホームの費用は、要介護度や居室タイプ、提供されるサービスにより異なります。目安となる月額費用は9~13万円程度です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "特別養護老人ホームではどんな減免制度が利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2023/04/24
家族の特養への入居を検討するにあたり、「申し込みしてからの待機期間が長い」と噂を聞き、不安に思っている方もいるでしょう。 そこで特養の申し込み方法や待機状況とあわせて、待機期間に利用できる介護サービスについても解説します。 特別養護老人ホーム(特養)の申し込みの流れ 特養に申し込む時の流れについて、新宿区を例に見ていきましょう。全国どこでも同じような流れになるので参考にしてください。 問い合わせ・資料請求・見学 見学後に申込書を提出 審査 優先順位通知が届く 面談 入所の可否決定後、契約書を交わし入所 参考:「特別養護老人ホームの入所申込」(新宿区) ①:問い合わせ・資料請求・見学 入所を希望する施設に、電話やメールなどで問い合わせや資料請求をします。 入所を検討していると前もって伝えると話がスムーズに進みます。不明な点を詳しく聞きたいときは、電話で連絡しましょう。問い合わせや資料請求だけでなく、見学の申し込みについてもこのタイミングで相談するのがよいでしょう。 ②:問い合わせ後・見学後に必要書類を提出 資料や問い合わせた情報をもとに見学をして、入所する施設を決めたら、申し込みに必要な書類を用意します。提出する書類は事前に施設などに確認し、漏れがないようにしましょう。 書類を提出して施設に受理されると、入所待機者リストに登録されます。 ③:審査 地域ごとに定められた審査の指針があり、それにそって申し込みの対象者が入所できるかどうかが判断されます。 ④:優先順位通知が届く 特養の「優先順位」とは、施設ごとの判定基準により、入所優先度を順位付けしたものです。その「優先順位」を申込者あてに連絡するのが「優先順位通知」です。 新宿区の場合は、入所調整基準にもとづいて3ヵ月に1度のペースで郵送しています。順位は状況により変更になるので、通知に記載された順位はおおよその目安と考えましょう。 ⑤:面談 入所の候補者になると、施設から申し込みの対象者に連絡がきます。その後、面接を受けて、健康診断書の提出などをします。 ⑥:入所の可否決定後、契約書を交わし入所 施設の入所判定会議で入所の可否が決まります。 入所が可能となると、施設に空室が出たら入所することになります。入所日を調整して、重要事項の説明や契約書を交わしたら、施設での生活が始まります。 特別養護老人ホーム(特養)の申し込みに必要な書類 特養の申し込みに必要になるのは、主に以下の書類です。 入所申込書 重要事項説明書 介護認定調査票のコピー 健康診断書 戸籍謄本 住民票 印鑑証明書 身元引受書 必要な書類は施設や市区町村によって異なります。 健康診断書は受け取るまで一定の時間がかかり、即時発行できない場合もあります。必要書類に漏れがあると申し込みが受理されないので、必要な書類について事前に把握して、早めに準備をするようにしましょう。 特別養護老人ホーム(特養)はどれくらい待つ? 特養の入所待ちの状況は地方と都心部で異なります。地方であれば、申し込みから3ヵ月未満、都心部であれば地域にもよりますが、半年〜1年程度かかります。 特養は費用が安くて人気があるので、入所までに数年かかるイメージがあるかもしれません。しかし、入所条件が要介護1から3に引き上げられたことにより、現在では以前よりは入所待ちの人数が減っています。 特別養護老人ホーム(特養)に早く入所するための方法 特養は自治体や社会福祉法人が運営する施設で、費用が安くて人気があります。そのため、入所までの待機期間が長く、終身利用が可能なので空きが出にくい特徴があります。 少しでも早く入所したい場合は、次の方法を試してみましょう。 最新情報をチェック 特養によっては、ネットなどで空室の状況や、ベッドの空き状況を公開しているところがあります。最新の情報をまめにチェックして、空室が出たらすぐに入所の手続きができるように準備しておきましょう。 空き情報をネットなどで確認できない施設には、まめに問い合わせることで、空き室情報をタイミングよく得られる可能性があります。 そのほか、待機人数が比較的少ない施設や開設して間もない施設は、比較的早く入所できる可能性が高い傾向です。担当のケアマネジャーが空き情報などを把握している可能性もあるので、すぐに特養に入所したいということを伝えておくとよいでしょう。 同時に2ヵ所以上申し込む 入所を申し込める施設の数に制限はありません。申し込み費用もかからないので第1希望だけでなく第2・第3希望の施設にも申し込んでおきましょう。複数申し込んでおけば、先に空きが出た施設に入所できます。 人気の低い居室タイプに申し込む 特養は居室のタイプで費用が変わります。中でも月額利用料が数万円高くなる「ユニット型個室」と「ユニット型準個室」は比較的人気がありません。そのため、予算内であればユニットタイプに絞って複数の施設に申し込むことで、早期に入所できる確率が高まります。 申し込みの理由を丁寧に記入する 特養の申込書の「入所希望理由欄」は、入所の優先順位に大きく影響する項目です。具体的な状況を丁寧に記入して、入所の必要性が高いと判断されれば、入所が早まる可能性があります。 同居家族がどれくらいの負担を抱えているか、なぜ自宅での介護が難しくなっているのか、暴言や暴力の状況、徘徊の周期や回数・時間帯や行動範囲、介護する家族の仕事や人間関係への影響などを詳しく記載しましょう。具体的に書くほど強いアピールになります。 探す地域を拡げてみる 一般的に人気の高い特養ですが、入所待ちの人数は地域によって差があります。数年待ちが必要な激戦区もあれば、定員割れしていることもあります。 「広域型特養」ならどこにお住まいの方でも申し込めるため、探す地域を広げるのも一案です。近隣地域まで範囲を広げることで、比較的早期に入れる施設が見つかるかもしれません。 特別養護老人ホーム(特養)の待機期間が長いときの対処法 特養にはまだ入所できないけれど、自宅だけでの介護は負担が大きいという場合に利用できる介護サービスについて解説します。 有料老人ホームへ一時的に入居する 特養への入所待機期間に、有料老人ホームを利用する方法もあります。特養と比べると、有料老人ホームは料金が高めに設定されている場合もありますが、特養の空きが出るまでの短期利用と割り切って利用するのもひとつの手です。 有料老人ホームの中には、入居一時金がなく、月々の費用だけで済む場合もあります。また、ほとんどの老人ホームは、施設や併設する事業所での介護サービスを受けられるため、待機期間を過ごす場としておすすめです。 ショートステイを利用する ショートステイには、連続利用は30日間までという上限がありますが、1日帰宅すれば、翌日から再びショートステイを30日間連続利用できます。 これは、「ロング・ショート」と言われています。この方法だと長期間利用できて家族の負担を減らすことができます。 ただし、ショートステイを保険適用料金で利用できる回数は要介護度によって異なり、その回数を超えて利用した分は全額自己負担になるので注意が必要です。 在宅介護サービスを利用する 特養の入所待機期間は、在宅で使える介護サービスをフル活用する方法もあります。在宅介護サービスには次のようなものがあります。 訪問介護 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリ デイサービス デイケア 小規模多機能型居宅介護 居宅療養管理指導 ケアマネジャーに相談して、複数の介護サービスをうまく組み合わせれば、ほぼ24時間ケアを受けられるようにすることもできます。 よくある質問 特別養護老人ホームは申し込み順ですか? 特別養護老人ホームへの入所は、申し込み順ではありません。介護してくれる人がいないひとり住まいの方や、介護の必要性が高い方など、介護状況や生活状況などから総合的に判断し、優先度を決定しています。 特別養護老人ホームに入所を拒否される場合もありますか? 介護施設は、基本的には入所を拒否することはないのですが、入所条件を満たしていなかったり、施設で対応できない医療行為が必要だったり、問題行動がある場合は受け入れを断られてしまうことがあります。 特別養護老人ホームの費用相場はどれくらいですか? 各居室タイプにより金額は異なりますが、9〜13万円が基本的な月額費用です。 特養の費用は、入所者本人とその配偶者や子供(扶養義務を負っている人)の合計所得によって負担限度額が決まります。また、要介護度が高くなるほど高額になります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "特別養護老人ホームは申し込み順ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2023/04/24
介護保険の利用を検討しているため詳しく内容を知りたいと考えていたり、「将来のために介護保険について学んでおきたい」と考えている人もいるでしょう。 介護保険法は介護が必要な人を支えるための法律です。介護保険法は、介護保険制度という介護や介護予防に必要な費用の一部を給付する制度について定められています。 この記事では介護保険法や介護保険制度について詳しく解説します。また、介護保険制度の対象者や介護保険の対象の介護サービスについても紹介しますので、是非参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! 介護保険法のことがわかる! 介護保険制度の仕組みがわかる! 要介護認定のことがわかる! 介護保険法とは? 介護保険法は、介護や支援を必要とする人に対して、介護や介護予防に必要な費用の一部を給付する制度(介護保険制度)について定めた法律です。 介護保険は40歳以上のすべての人が被保険者となり、被保険者は要介護度や要支援度の認定を受け、定められた負担割合で介護や支援サービスを利用することができます。 介護費用の一部給付や介護認定のほか対象となる施設や事業者など、広範囲にわたって取り決められています。 老人福祉法と介護保険法の違い 介護にまつわる法律には、介護保険法のほかに老人福祉法があります。老人福祉法とは、高齢者福祉を担当する機関や施設、事業に関するルールについて定めた法律です。老人福祉法は高齢者福祉の施策やサービスの提供体制を整えることを目的としています。 老人福祉法では主に以下の事項が定められています。 福祉の措置:介護が必要な人を対象に、市町村がおこなうべき体制整備や措置について 事業・施設:民間事業者による老人居宅生活支援事業に適用される規則、老人福祉施設などの老人のための施設の設置および運営について 有料老人ホーム:有料老人ホームの設置・運営について 老人福祉法では主に高齢者を対象とした施設などについての規定が置かれているのに対し、介護保険法は介護に焦点を当てた制度や施設についての規定が置かれています。 介護保険法は3年ごとに改正される 介護保険法の制定から20年以上が経過し、要介護・要支援の認定を受けた方は3倍以上に増加しました。また、介護を取り巻く環境は常に変化し続けているため、3年に1度改正することで時代の流れや新たなニーズに適応させています。 改正は次のように過去に7回おこなわれました。 2005年改正(2006年4月施行) 新たなサービス体系の確立 サービスの質の確保向上 予防重視型システムへの転換 施設給付の見直し 負担の在り方制度運営の見直し 2008年改正(2009年5月施行) 業務管理の体制整備 本部への立入検査など 処分逃れ対策 指定更新の欠格事由の見直し サービス確保対策の充実 2011年改正(2012年4月施行) 医療と介護の連携の強化 介護人材の確保とサービスの質の向上 高齢者の住まいの整備 認知症対策の推進 保険者による主体的な取組の推進 保険料の上昇の緩和 2014年改正(2015年4月施行) 新たな基金の創設と医療介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係) 地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係) 地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係) 2017年改正(2018年4月施行) 自立支援重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進(介護保険法) 医療介護の連携の推進等(介護保険法、医療法) 地域共生社会の実現に向けた取組の推進等(社会福祉法、介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法) 2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割とする(介護保険法) 介護納付金への総報酬割の導入(介護保険法) 2020年改正(2021年4月施行) 地域住民の複雑化複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援 地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進 医療介護のデータ基盤の整備の推進 介護人材確保及び業務効率化の取組の強化 社会福祉連携推進法人制度の創設 出典:「介護保険制度の概要」(厚生労働省) 2024年の介護保険法の改正について 2024年以降におこなわれる介護保険制度の見直しについて、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は、2022年12月20日に以下の項目を公表しました。 地域包括ケアシステムの深化・推進 生活を支える介護サービス等の基盤の整備 様々な生活上の困難を支え合う地域共生社会の実現 保険者機能の強化 ...
2023/03/27
親の介護に対する備えは具体的に何をしたら良いのか。最近ではこのような疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。高齢社会が進み、現役世代は仕事と介護の両立という大きな問題に直面しています。 この記事では、仕事と介護を両立するためのポイントや、自治体や企業などの社会的な取り組みについて解説します。 介護離職とは何か?仕事と介護の両立ポイント 介護離職とは、身内の介護のために勤めていた会社を辞めることです。社会問題となっている介護離職の現状と、仕事と介護を両立するためのポイントを紹介します。 介護離職とは 仕事と介護の両立は心身共に大きな負担がかかります。介護離職の原因として「仕事と介護の両立が難しい職場だった」という意見が半数以上を占めており、介護を担う可能性が高いのは働き盛りの40〜50代が多くなっています。 管理職などの重要な役職にある社員が抜けるのは会社にとっても大きな損失です。それゆえ介護と仕事の両立を支える制度を整えることは企業にとって急務でしょう。 また介護離職者はその後の転職も難しく、安定した収入源がなくなるために経済的に困窮する状態に陥るケースが多いです。 仕事と介護を両立させるためのポイント 仕事と介護を両立するためのポイントとして、まずは職場に身内の介護が必要になっている現状を伝えましょう。突然の休暇や遅刻の理由を職場が理解していれば協力が得られやすくなり、業務を他の人に任せやすくなります。 職場に伝えてない状態は周囲に不審を抱かせ、ますます両立しづらい状況となるでしょう。双方のためにもまずは職場に理解をしてもらえるよう努めましょう。 介護に対する自治体と企業の取り組み 仕事と介護を両立するための自治体や企業の支援制度や取り組みは、次のようなものがあります。 家族介護慰労金 家族介護慰労金とは、在宅介護している家族が条件を満たした場合に支給されるお金のことです。介護者への労いと、要介護度が高い高齢者を在宅介護している同居家族への経済的負担の軽減することを目的としています。 支給条件としては介護保険サービスを利用せず、要介護度4〜5の要介護者を1年以上介護している同居家族が対象で、自治体により年額10〜12万円が支給されます。 介護休業制度 介護休業制度とは、育児・介護休業法に定められている労働者が要介護の家族の介護をするために利用できる制度です。目的としては現在、社会問題となっている介護離職者をゼロにすることを目指しています。 企業としても、中心的役割の優秀な労働力の流出を防げるのでメリットがあると言えます。 ゆとりある老後を送るためには ゆとりある老後生活の概念は人それぞれですが、高齢社会が進む日本では「老後」と呼ばれる期間が特に長いので、老後資金の確保は不可欠です。 老後資金の確保 老後資金とは、定年退職後の生活のために準備しておくべき生活費のことです。では、老後までにどれくらいの金額が必要なのでしょうか。またゆとりある老後の資金を貯めるために今からどのようなことをするべきでしょうか。 老後の生活収入としては定年退職後に支給される公的年金に頼ることが一般的です。しかし、ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金だけでは不足することが予想されます。老後資金を作るための方法についてはこちらで解説をしていきます。 今からできる家計見直しポイント ゆとりある老後生活を送るために、今からできる家計の見直しポイントを紹介します。まずはじめに大切なのは、日常生活を送るための費用を把握するために家計簿をつけることです。 それにより、居住費や光熱費、食費、医療費などの出費を「固定費」と「変動費」に分類できます。 見直しポイントとしてはまず固定費に注目します。中でも居住費は一度見直すことで効果的で長期の節約につながります。詳しい内容はこちらで解説していきます。 75歳以上のすべての高齢者が加入する医療制度 加齢や持病の影響で医療費は年々高額になっていきます。そのため、75歳以上の全ての高齢者が加入する後期高齢者医療制度という医療制度があります。 後期高齢者医療制度 後期高齢者医療制度とは、75歳以上の全ての高齢者および64〜74歳で寝たきりなどの一定の障がいがあると認定された人が加入する医療制度です。 年を重ねると病気を発症したり、持病が悪化するといったケースで医療費が高くなります。 そのため後期高齢者医療制度では、一定の条件に含まれる高齢者にかかる医療費を、高齢者が支払う窓口負担や保険料だけで賄うだけではなく、公費や現役世代の支援金も活用することで、高齢者を社会全体で支えています。 介護に対する備えに関するよくある質問 仕事と介護を両立させるためにはどうすれば良いですか? まず職場に身内の介護が必要になっている現状を伝えることが重要です。突然の休暇などが介護によるものだと上司や同僚がわかっていれば協力が得られやすく、仕事を他の人にお願いすることもできます。 介護を理由に会社を休むことはできますか? 昨今では、介護休業制度を設けている企業が増えてきています。介護休業制度とは、労働者に認められている権利のひとつで、要介護状態にある家族の介護をおこなうために業務を休業できる制度を指します。 ただし、介護休業を取得するためには条件があるので注意しましょう。 公的年金のみでゆとりある生活は送れますか? ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金だけでは不足することが予想されます。老後の資金を貯めるためには、今から家計の見直しをし貯蓄につなげましょう。主な見直しポイントとしては固定費に着目し、できるだけ支出を抑えるようにしましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "仕事と介護を両立させるためにはどうすれば良いですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2022/02/03
企業の福利厚生制度のひとつである介護休業制度。最近では利用する人も増えてきているようです。働きながら介護をしている人は、介護の身体的、精神的負担を考慮して「仕事を休む」という選択肢を一度考えてみても良いかもしれません。 この記事では介護休業制度の具体的な内容や申請方法、事業主のメリットやデメリットなどについて紹介します。 介護休業制度とは? 介護休業制度とは、労働者に認められている権利のひとつで、要介護状態にある家族の介護をおこなうために業務を休業できる制度のことです。 具体的に休業できる日数は介護の対象となる家族一人につき93日とされていて、その日数を最大で3回に分割して休業することが可能です。 なお93日とは休業中の土日祝日も含めた93日のことで、営業日ではないので注意しましょう。 このような制度があるにも関わらず、介護離職の数は年々増え続けており、能力の高い労働者が介護を理由に退職してしまうのは企業にとっても大きな損失です。 良い人材を流出させないためにも介護休業制度を適切に運用し、活用していくことが必要になってきます。 介護休業の対象者 介護休業制度を利用できる労働者は、要介護状態にある家族を実際に介護する労働者です。ここでいう労働者に雇用形態の定めはなく、正社員以外にもアルバイトやパート、派遣社員、契約社員などの有期契約の労働者も含まれます。 ただし、有期契約の労働者については、契約期間や契約の終了する時期によって対象者が限定されるので注意しましょう。 また、日雇労働者などの日々雇い入れられる労働者においては介護休業を取得することはできません。 なお、介護休業制度を利用するにあたり性差はなく、男性でも女性でも利用することができます。 有期契約労働者が介護休業を取得するための要件 雇用形態が有期契約の場合でも介護休業制度を利用することは可能ですが、以下の2つの条件を満たしている必要があります。 入社して1年以上が経過していること介護休業開始予定日から起算して、93日を経過する日から6カ月経過する日までに、労働契約が満了し、雇用契約が終了することが明らかでないこと 介護休業制度の本来の目的は、労働者が仕事と家庭を両立しながら継続して働けるようにすることです。そのため、こういった条件を定めることで、介護休業を取得してすぐに退職するといったことが起きないようにしています。 対象外になる労働者 事業主は原則として介護休業を申請された場合にはその申し出を拒否をすることはできません。しかし、以下のいずれかに該当する場合は労使協定で定められている限り、対象外とすることができます。入社してから1年未満 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する1週間の所定労働日数が2日以下基本的に介護休業は労働者の権利になるので、自由に取得できることを前提に制度を構築するようにしましょう。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...
2022/02/03
高齢者世帯が負担に感じる支出はどのようなものがあるのでしょうか。この記事では今からできる家計の見直し方法について解説し、支出を抑えるためのポイントをご紹介します。まずは実践できるところから始めてみましょう。 老人ホームの入居・生活にかかる費用はいくらくらい? 老人ホームに入居して生活する費用は、受け入れ条件が異なりますが公的施設に比べ民間の老人ホームの方が高くなる傾向です。 公的な介護施設の費用相場 公的な介護施設は「公的施設」や「介護保険施設」と呼ばれており、65歳以上の介護度が高い人や経済的理由などにより自宅での生活が困難な人が利用できます。 特に、特別養護老人ホームは入居一時金が0円、月額利用料も約7.5~14万円(利用する居室の広さやタイプによって料金が変わる)が相場で終身利用が可能なので希望者が多く待機期間が発生する可能性があります。 民間の老人ホームの費用相場 民間事業者が運営する老人ホームは、入居者の要望を満たすための手厚いサービスを揃えています。 そのため、公的施設と比較すると初期費用・月額利用料ともに高くなる傾向ですが、入居条件は公的施設ほど厳しくなく待機期間についてもさほど心配は要りません。費用相場は入居一時金が数十万円から数千万円、月額利用料は12〜30万円です。 高齢者が負担に感じている主な支出とは 高齢者の暮らしの中で負担に感じている主な支出とはどのようなことでしょうか。内閣府が調査した令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果で確認すると、第1位は「食費・光熱水費」、続いて2位が「保健・医療関係費用」となっています。ちなみに第3位は「交通費・自動車維持費などの費用」でした。 過去1年の実際の大きな支出項目を照らし合わせると同じく食費・光熱水費・医療関係が上位を占めていました。 家計管理をして現状を把握することは大切です。では、実際に支出を抑えるために何ができるかを考えてみましょう。 出典:「令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果」(内閣府) 今からできる家計見直し8つのポイント 老後の資金だけでなく、万が一の入院や手術などの大きな出費があっても慌てないように、今から家計を見直して老後に対する心構えをしましょう。 下記では、今からできる家計見直しの8つのポイントについて見ていきましょう。 家計簿をつける居住費公共料金保険料通信費無駄な買い物はしない車を処分する交際費を抑える 家計簿をつける 毎月の収支を把握しているつもりでも、細かい金額まで把握している人は実際多くありません。総務省の統計によると、現役世帯と高齢者世帯の1カ月の平均支出額を比較すると高齢世帯は現役世帯の7割の生活費で暮らしています。 老後に資金不足になるのは、現役時代の金銭感覚が抜けない世帯に多いようです。 老後に余裕のある家計を実現するため、まずは家計簿をつけることから始めましょう。家計簿に書き込んで管理するのは大変ですが、家計簿アプリを活用すれば自動記録もできます。毎月の費用を把握して具体的に節約できる項目を見つけましょう。 居住費 家計の固定費の中で大半を占めるのが家賃や住宅ローンなどの居住費です。こういった固定費を見直すことで無理なく長期的な節約につながります。 特に賃貸に住んでいる人は、ライフステージに合わせて物件を住み替えれば大幅に家賃の節約をすることができます。検索条件の立地、間取りや築年数など家賃相場を左右する項目を変更してみましょう。 また、公営住宅・高齢者向け優良賃貸住宅・サービス付き高齢者向け住宅などの利用条件などの確認もしてみると選択肢が広がるかもしれません。 住宅を購入している人は 住宅を購入し、ローンを組んでいる方は返済期間の変更、繰り上げ返済などにより利息を減らせる場合があります。また、住宅購入時と現在では借入先によって金利が変動するため、借り換えをすることで利息の節約につながる可能性があります。住宅ローンの借り換えを検討する際は、事務手数料などの諸経費が発生するので、その費用を含めてメリットを慎重に考える必要があります。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...
2022/01/21
60歳以降を老後と考えた場合、60歳時の平均余命は、男性で23.84年、女性で29.04年。いわゆる「老後」と呼ばれる期間はことのほか長く、これだけの期間にゆとりある老後生活を送るためには、定年退職後から支給される公的年金だけでは、不足することが予想されています。 快適で充実した老後を送るためにも、老後資金は不可欠です。そこでこのページでは、老後までに準備したほうが良い金額とはどれくらいなのか、考えてみたいと思います。 老後資金の現実 定年退職以降の期間が長くなっている現在、大多数の人が公的年金や老後の生活に不安を感じていることが厚生労働省などの調査からわかっています。公的年金に対する不安を解消するためには、何らかの自助努力が必要になります。 総務省統計局の家計調査より、高齢者夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入と消費支出の実態を見てみると、毎月約4万1,000円不足するという試算が出ています。つまり、平均的な高齢夫婦世帯の月額家計収支は「マイナス」なのです。 この状態でたとえば20年間生活すると、不足する生活費の合計は以下の計算の通り。 4万円×12ヶ月×20年間=960万円 これはあくまでも平均的な家計であり、ここから旅行や趣味などを楽しめるような「ゆとりのある老後生活」を送りたいとなると、さらに多くのお金が必要になってきます。 老後資金の内訳 老後資金の中で最も割合を占めるのは、もちろん「生活資金」です。 食費や生活費などの日常生活にかかる費用はもちろんのこと、80歳以上になると要介護状態になる率が急激に上がり、それまでの日常生活費との構成比が変わってきます。 また、生活資金は日常生活に伴う費用だけではありません。たとえば、子どもがいる人の場合は、子どもの結婚や孫の誕生、新居購入など子どもが迎えるライフイベントに伴い、親として援助などの出費が必要になる場合があります。 それ以外に必要となる資金としては、「入院・手術費用」と「介護費用」があります。さらに「がん治療費用」や「先進医療技術料」も備えておきたいところ。 さらには、葬儀代や入院費用の清算、墓を新規購入する場合の費用など、自身が亡くなった後に相続人が負担する費用「死後清算費用」も必要になってきます。 資⾦計画を立て、老人ホームの入居に備える 前述の「介護費用」の多くを占めるのが、老人ホーム(介護施設)の費用。時代背景としても、核家族化が進んでいること、長寿化によって介護期間が延びていることにより、家族の介護負担が増えている現状があるため、在宅介護ではなく、有料老人ホームで暮らしたいと思う人が近年増加しています。 また、昔に比べ、高齢者の生き方の価値観も多様化しており、「ひとりで生活するのは大変だから」「誰にも迷惑をかけたくないから」と、積極的に施設入居を希望している人も増加傾向にあります。 ただ、老人ホームに入居するにあたって、気がかりなのがお金の問題です。 老人ホームの入居・生活にかかる費用はいくらくらい? 有料老人ホームをはじめとする介護施設の多くは、月々の基本的な費用のほかに、家賃などの前払い金となる入居一時金が必要です。金額は施設によって異なり、何千万円という単位で入居一時金を設定しているケースもあります。 このように、介護施設に入るためにお金の不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。 この入居費用を捻出するための土台となるのが年金ですが、「年金頼り」では介護施設への入居は難しいのが現状です。預貯金などの金融資産に加えて、持ち家などの不動産を活用することも考えていきましょう。 入居費用と年金・預貯金のバランスを考える 公的な介護施設への入居 介護保険制度の中で利用できる公的な介護施設(特別養護老人ホームなど)は、非常に人気があります。金銭的な負担が少ないので、入居待機者が数多くいる状態です。 公的な介護施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金=0円、月額利用料=約7.5~14万円とされています(利用する居室の広さやタイプによって料金が変わります)。 比較的低料金で利用できる公的な介護施設の場合、介護サービス費自己負担額と施設の月額利用料(家賃、管理費、食費)を合計した目安金額で毎月5~15万円くらいなので、いわば自宅で過ごしているときと大きな差はありません。この点はやはり魅力的といえるでしょう。 ただ、費用面での安心感はありますが、やはり入居への“倍率”も鑑みると、あらかじめ有料老人ホームも視野に入れておくと良いでしょう。 民間の老人ホームへの入居 民間事業者が運営する施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金が数十万円から数千万円、月額利用料=12~30万円とされています。 民間運営のため、公的施設より入居一時金の幅が大きいことや月額利用料は高くなりますが、公的施設と比べると入居の順番待ちがほとんどなかったり、金額が高い分、手厚いサービスやケア体制で介護が受けられるなど、プラスアルファが期待できます。 入居一時金と月々の費用、そしてサービス面などを考慮し、5年間や10年間など長期スパンで全体のバランスを比較検討してみましょう。 介護のお金は自分(親)の預金や財産から 子どもには子どもの人生があり、住宅ローンの支払いや教育費などに日々預貯金を費やしています。そのためのお金を親の介護費用に使ってしまうことは、子どもたちの今の生活をも圧迫することにつながるため、できれば避けたいところです。 また、親が80代になると、子どももおおよそ50~60代になっているので、そうなってくると次は自分自身の老後費用や介護費用に充てなければなりません。 もし親の介護が想定よりも長期に渡れば、後になって大きな後悔を招くことにもなります。 親としても、自分のせいで子どもの将来設計や日常生活を経済的に圧迫させることには気が引けるでしょうから、「介護は自分たちのお金で」と思っている人は多いでしょう。 子ども側としても、親を介護するというとき「介護費用は親のお金を充てる」という基本方針を明確にしておきましょう。 老後資金に関するよくある質問 老後資金はいくらあれば安心できますか? 世帯収入が公的年金だけの場合、不足分を貯蓄などで補う必要があります。仮に、毎月5万円を30年間貯蓄などから補った場合、合計で1800万円が必要です。また自営業などで国民年金の場合は、さらに上乗せが必要なので資金計画は早めにおこないましょう。 老後資金がない場合はどうすれば良いですか? 今からできることとして、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」が挙げられます。また困ったときは、国の支援制度を利用することを検討しましょう。 老後とはいつからを指しますか? 老後とは何歳頃からなのかについては、人によって捉え方がさまざまです。公益財団法人生命保険文化センターの調べによると、老後資金を使い始める平均年齢は65.9歳というデータがあり、年齢の分布は65歳が最も多く、次いで70歳、60歳という順に続きます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "老後資金はいくらあれば安心できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/21
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。