「老人ホームに入るにはお金がない」「入居中の施設費用が払えなくなった」といった悩みを抱えて施設探しをしている方もいるかもしれません。
そこで、今回は安い老人ホームの探し方や、費用が払えなくなったときの対処法を解説。介護にかかる費用を抑える方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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「少しでも費用を抑えて入居したい」と思っている場合、まずは低価格な老人ホームを探します。以下のような特徴のある施設は、比較的費用が抑えられている傾向があるので、安い施設の特徴を押さえておきましょう。
自治体や社会福祉法人などが運営している公的な介護施設は、民間施設よりも安い傾向があります。公的な介護施設の主なものには、以下のようなものがあります。
特別養護老人ホームは、要介護3以上の方が入れる介護施設。終身利用ができるので、人気の施設です。
介護老人保健施設は、要介護1以上の方が入れる施設で、3~6ヵ月の一時利用が前提。リハビリを通じた在宅復帰が目的の施設であり、医療体制も充実しているのが特徴です。
軽費老人ホームは、身寄りのない高齢者が入居する施設。その中でも、介護サービスを利用できる「C型」に分類される施設は「ケアハウス」と呼ばれます。
公的施設においては、都心よりも地方の方が介護報酬(利用料金)が低く設定されています。そのため、介護報酬が低く設定されている都道府県の施設に入居すれば費用を抑えられます。
民間施設においては、一般的な賃貸物件と同様、地方や駅から遠い立地にある施設の方が安い傾向があります。
民間施設は築年数が古いと、賃貸物件と同様に料金が下がる傾向があります。
しかし、建物が古いと設備も古く、対応できるケアに制限がかかるケースも。また、バリアフリーが十分でない場合や使い勝手が悪くて入居後に後悔する可能性もあります。必ず見学をして建物や設備の劣化状態を確認しましょう。
公的施設・民間施設のどちらでも、個室よりも多床室の方が費用が安くなります。
ただ、多床室に入居すると同室の入居者と生活リズムが合わなかったり、物音などがストレスに感じる可能性もあります。個室よりもプライバシーを守るのが難しいので、プライバシーを確保するために施設がどのように対応しているか、見学時に確認が必要です。
入居前は費用が支払えると思っていても、入居後に支払いが難しくなることがあります。例えば、以下のようなケースがあります。
費用の支払いが滞ったからといって、すぐに退去を求められることはまずありません。施設によって異なりますが、1~2ヵ月の猶予期間が設けられています。
猶予期間については、契約時に渡される重要事項説明書や契約書にも記載されています。事前に確認しておきましょう。
実際に支払いが滞ってしまったり、料金を支払えなくなりそうなときの対処方法を紹介します。
老人ホームの利用料金を滞納したり、支払いの目処が立たなくなったときには、まずは施設のケアマネジャーや生活相談員などに相談をしましょう。
支払い期日の延長や、分割払いにするなどの対応をしてもらえることがあります。
現在、入居する施設では、今後の支払いが続けられないと判断した場合、現在の施設よりも安い施設への転居をおすすめします。猶予期間中に安い施設に転居するようにしましょう。
また、入居中の施設に入居一時金の償却期間が残っている場合、未償却分から未払い利用料や居室の原状回復費用が差し引かれます。
転居先に特別養護老人ホームなどの公的施設を検討している場合、費用が安くて人気が高いため、入居待ちが発生する可能性も。入居を検討する場合は、ケアマネジャーや役所の福祉課の窓口に相談しましょう。
老人ホームの費用に限らず、介護にはさまざまなお金がかかります。そこで、少しでも介護に関する費用負担を抑えるために、費用の減免制度について紹介します。
特定入所者介護サービスは、所得の低い人を対象とした補助制度です。特養や老健、介護医療院といった「公的施設」に入居する際に活用できる制度で、住居費や食費を安く抑えることができます。
なお、特定入所者介護サービス費を利用できる対象者は4段階に分かれます。以下で入居者本人がどれに当てはまるのか確認しておきましょう。
出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)
制度を利用するには、本人または代理人の住まいの各自治体の窓口へ申請します。以下、主に必要な書類をまとめました。
「高額介護サービス費制度」は、1ヵ月の介護保険サービス自己負担額が限度額を超えた場合、超えた分の金額が戻ってくる制度です。支給対象の方には自治体から「高額介護サービス費支給申請書」が送られてくるので、忘れずに申請しましょう。
高額介護サービス費の支給を受ける際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、申請時に必要な主な書類をまとめました。
「高額医療・高額介護合算制度」は、同一世帯で支払った介護保険サービスと医療費の自己負担額の合計が基準を越えた場合、越えた分の金額が戻ってくる制度です。合算期間は8月1日から翌年の7月31日です。
ただし、同一世帯内でも「夫が75歳以上で後期高齢者医療保険、妻が75歳未満で国民健康保険」など、加入する保険が異なる場合は合算することができません。さらに、基準を500円以上越えない場合は適用外です。
高額医療・高額介護合算制度を利用する際は、各自治体の窓口に申請しましょう。以下、主に必要な書類をまとめました。
条件を満たすことで介護保険料の減免措置を受けることができます。各自治体による条件をクリアし、減免措置を受けられた場合、介護保険料は最大で7割程度安くなります。
以下、主な条件をまとめました。
条件により必要な書類は異なるので、減免制度を利用する際は各自治体の窓口に確認しましょう。
各自治体では、高齢者の生活を支援するための助成制度が設けられている場合が多いです。条件として、収入や資産が一定以下であるということや、住民税非課税世帯であることなどが挙げられます。
以下は、独自の助成制度を設けている自治体の内容をまとめました。
上記以外にも独自の助成制度を設けている自治体は多数あります。まずは、お住まいの自治体の窓口に助成制度の有無、内容を確認しましょう。
自治体独自の助成制度を利用する際は、各窓口に申請する必要があります。各窓口は自治体により名称がさまざまで、「保険年金課」「介護保険課介護給付係」「介護福祉課」などが挙げられます。
また、助成制度を利用する際の必要な書類は各自治体により異なります。以下、主に必要な書類をまとめました。
入居中の老人ホームの支払いができなくなったり、現在の収入では老人ホームに入りたくても入れない場合は、生活保護の受給も検討しましょう。
生活保護を受給すれば、その受給額で老人ホームの費用がまかなわれるため、お金の心配はなくなります。
しかし、生活保護を受給することでさまざまな制限が生じるうえ、すべての施設で生活保護受給者を受け入れているわけではありません。
ただ、年金の受給額が少ない場合は、生活保護を受給することで検討できる施設の選択肢は広がります。本当に経済的に困ったら、生活保護を検討しましょう。
経済的に老人ホームに入れる状況でも、少しでも費用を抑えたいところ。そういう場合に有効な方法を紹介します。
老人ホームのなかには、洗濯や買い物代行サービスなどを利用すると追加料金が発生するところがあります。そういった施設に入居した際は、家族が洗濯や買い物をおこなうと費用を抑えられます。
実際におこなう場合は、面会時に洗濯物や買ったものの受け渡しができるかどうか、事前に施設に確認しましょう。
有料老人ホームなどでは、入居時に「入居金」が必要な場合があります。さらに、なかには「入居金ありプラン」「入居金0円プラン」と支払い方法が選択できることもあります。
入居金とは、家賃の前払金にあたるもの。入居時に一括で家賃を払うことで月々の費用が抑えられる仕組みになっています。そのため、「入居金0円プラン」では、初期費用はかからないですが、月々の費用が高く設定されています。
「入居金0円プラン」は、初期費用がかからないのがメリットですが、入居期間が長くなるほどトータルの費用は「入居金ありプラン」よりも高くなります。
そのため、入居期間が長くなると想定される場合は「入居金ありプラン」を、短いと想定される場合は「入居金0円プラン」を選ぶと最終的な出費は抑えられます。
貯蓄が老人ホームに入居するのには足りない場合に活用できる、お金の捻出方法を紹介します。
具体的には、以下の方法があります。
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関からお金を借りる高齢者が対象の制度。自宅を売却するわけではないので、融資を受けてもそのまま住み続けられます。
借りたお金は、死亡後に自宅が売却された代金で返済します。もし、自宅の評価額が下がってしまったときには返済ができなくなる場合も。借入期間が長くなるほど借入残高が増えていくことも要注意です。
対象の地域などの条件がいくつかあるので、金融機関に確認をしましょう。
生活福祉資金とは、厚生労働省がおこなっている低所得の高齢者向けの貸付制度です。土地や建物を担保にして、生活費や医療費などを借りられます。
融資主体は、社会福祉協議会です。市区町村によって貸付条件が異なるので、詳細は福祉協議会などの窓口に問い合わせましょう。
参考:「生活福祉資金(長期生活支援資金)の概要について」(厚生労働省)
マイホーム借り上げ制度は、賃貸可能な状態の物件を貸し出すことで賃料収入を得られる制度。50歳以上の高齢者の自宅を一般社団法人 移住・住み替え支援機構(JTI)が借り上げて貸し出します。
この制度に申し込み後、1人目の入居者が決定すると、空室になった場合でも決められた賃料が手に入ります。これによって、自宅を売却せずに安定した収入を得られます。
老人ホームの利用料が支払えなくなっても、1~2ヵ月の猶予期間があります。その間に、施設に相談して支払いの目処を立てるか、より安い老人ホームに入居するなどの対応をおこないます。
公的施設であれば、民間施設よりも料金が安い傾向があります。また、地方の施設や駅から遠いなどの立地面が悪い施設、建物が古い施設、多床室の施設であれば、相場よりも安く入居できるでしょう。
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