親の介護をするお金がない!一人っ子だから兄弟からの支援もありません。どうしたら良い?

親の介護をするお金がない!一人っ子だから兄弟からの支援もありません。どうしたら良い?

更新日 2023/09/07
母が亡くなってから、急に父の様子が変わってしまい、介護が必要になってしまいました。もともとはマメな性格で掃除を率先してやる人だったのに、母が亡くなってからは無気力になって、家の中は荒れ放題に。ぼーっとしていることも増えました。

そのため介護サービスを使い始めたのですが、支出が増えて家計が苦しいです。でも、私は一人っ子でお金の工面をしてくれる兄弟もいません。親の介護をしたくてもお金がないときはどうしたら良いですか?

(大森さん・パート・63歳)

介護にかかるお金や老人ホームの利用料を軽減する制度があります。そうした制度を上手く活用していきましょう。

もし、費用の軽減制度の対象にならない場合や、制度を利用してもなお介護のお金が足りない場合は、生活保護の受給も検討してみてください。

一人っ子の介護は、介護の負担が集中しやすいです。大森さんが体調を崩してしまっては元も子もないので、介護サービスを上手く活用していきましょう!

一人っ子で親の介護のお金がない!どうする?

母が亡くなってから父の様子がおかしくなって、介護サービスを利用するようになりました。でも、父の年金が少なくてこれまでの生活を維持するので手一杯。介護のお金が捻出できません。

私も自分の生活でギリギリで、お金の支援はあまりできそうにありません。それに、私は一人っ子でお金の工面をしてくれる兄弟もいませんし…。

父の介護をしたくてもお金がないんです。介護のお金がないときはどうしたら良いですか?

一人っ子の介護はお金の面でも大変ですよね…。例えば、介護にかかる費用を軽減する制度があるので、それを利用してみるのはどうでしょうか?

費用が抑えられる制度があるんですか!ぜひ教えてください。

では、介護や医療費全般が軽減される制度と、介護施設の利用費が軽減される制度についてお話ししますね。

介護費用の軽減制度を利用する

介護費や医療費の軽減制度には、以下のようなものがあります。

  • 福祉用具購入費
  • 居宅介護住宅改修費
  • 高額介護サービス費
  • 高額介護合算療養費制度
  • 医療費控除

福祉用具購入費

「福祉用具購入費」は、福祉用具を購入した場合に、介護保険が適用されて一部の費用が手元に戻ってくる制度。以下の特定の福祉用具を購入した場合に、費用の助成を受けられます。

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、入浴用介助ベルト)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部分
  • 排泄予測支援機器

費用の助成を受けるには、事前の申請が必要なので忘れないでくださいね。

居宅介護住宅改修費

「居宅介護住宅改修費」は、介護リフォームの費用を助成する制度です。介助が必要な方が暮らしやすいように自宅を改修した場合に、最大20万円が支給されます。

20万円も!最近、父が段差でつまづくことが多くなったのでリフォームしても良いのかも。

それは良いですね!以下のリフォームが対象となりますので、念のため確認しておいてください。

  • 廊下や階段、浴室、トイレ、玄関まわりなどへの手すりの設置
  • 段差解消目的のスロープ設置、浴室床のかさ上げなど
  • 滑り防止および円滑な移動のための床材変更(畳・じゅうたん・板材など)
  • 扉の取り替え(開き扉・引き戸・折り戸など、ドアノブ交換など)
  • 洋式便座などへの便器の取り替え
  • 上記の住宅改修に付帯して必要となる改修(下地補強、給排水設備工事、壁・柱・床材の変更など)

高額介護サービス費

「高額介護サービス費」は、所得に応じた介護サービス費の自己負担額の上限を超えた場合、超えた分のお金が払い戻される制度です。

高額介護サービス費の負担限度額は、以下のように定められています。

区分負担の上限(月額)
生活保護を受給している方など15,000円(個人)
前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下24,600円(世帯)
15,000円(個人※1)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方24,600円(世帯)
市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,400円(世帯)
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満93,000円(世帯)
課税所得690万円(年収約1160万円)以上140,100円(世帯)

「高額介護合算療養費」は、介護保険と医療保険の自己負担額の合計が、限度額を超えたときに超えた分が戻ってくる制度です。

限度額は、以下のように所得に応じて定められています。

70歳以上70歳未満
年収約1160万円以上212万円212万円
年収770万~1160万円141万円141万円
年収370万~770万円67万円67万円
年収156万~370万円56万円60万円
市町村民税世帯非課税31万円34万円
市町村民税世帯非課税
(所得が一定以下)
19万円34万円

なるほど。この費用を上回ったときに、超えた分のお金が戻ってくるんですね。

医療費控除

「医療費控除」は、医療費が一定額を超えた場合に控除が受けられるものです。通院などにかかった医療費だけでなく、介護サービスの中でも以下のサービスであれば対象となります。

介護施設の費用の軽減制度を利用する

介護施設の居住費や食費を軽減する「特定入所者介護サービス費」という制度もあります。すべての介護施設に適用されるわけではなく、以下の公的施設であれば制度を利用できます。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院

加えて、所得に応じて以下の5段階に分けられており、段階ごとに各施設の金額が設定されています。

  • 第1段階:生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で本人及び世帯全体が市民税非課税
  • 第2段階:世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円以下
  • 第3段階(1):世帯全員が住民税非課税かつ本人の合計所得金額+課税年金収入額+非課税年金収入額が80万円より大きく120万円以下
  • 第3段階(2):世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
  • 第4段階:上記以外の方

出典:「特定入所者介護サービス費」(厚生労働省)

特別養護老人ホーム

特養は、要介護3以上の方が入居できる施設。寝たきりなどの要介護度が高い方や看取りの方にも対応しているので、「終の棲家」として人気があります。

「特定入所者介護サービス費」を利用すると、特養の費用は以下のようになります。

負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階②
食費 300円 390円 650円 1360円
居住費 多床室 0円 370円 370円 370円
従来型個室 320円 420円 820円 820円
ユニット型個室的多床室 490円 490円 1310円 1310円
ユニット型個室 820円 820円 1310円 1310円

部屋のタイプによっても費用がかなり違うんですね。父はまだ要介護2なので、入居はできないですが、ゆくゆくは検討しないといけないのかも…。

介護老人保健施設

老健は、リハビリや医療ケアが充実している施設です。リハビリを重点的におこなって、在宅復帰することが前提の施設のため、入居期間は基本的に3~6ヵ月と短いのが特徴です。

老健も居室タイプによって料金が異なります。詳しい料金は、以下の表のとおりです。

負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階②
食費 300円 390円 650円 1360円
居住費 多床室 0円 370円 370円 370円
従来型個室 320円 420円 820円 820円
ユニット型個室的多床室 490円 490円 1310円 1310円
ユニット型個室 820円 820円 1310円 1310円

介護医療院

介護医療院は、かなり充実した医療体制が特徴。医師が常駐しており、胃ろうなどの経管栄養やたん吸引といった、常に医療ケアが必要な方も入居可能です。

介護と医療のサポートが必要な方を対象とした施設のため、要介護1以上で医療ケアが必要な方が入居対象です。

「特定入所者介護サービス費」を利用したときの介護医療院の費用は、以下のとおりです。

負担限度額(日額)
第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階②
食費 300円 390円 650円 1360円
居住費 多床室 0円 370円 370円 370円
従来型個室 490円 490円 1310円 1310円
ユニット型個室的多床室 490円 490円 1310円 1310円
ユニット型個室 820円 820円 1310円 1310円

どうしても親の介護のお金がないときは生活保護も検討して

いくつか費用の助成制度をご紹介しましたが、制度の対象にならなかったり、制度を活用しても経済的に厳しい場合もあるでしょう。

そういうときは、生活保護の受給も検討してください。

えっ、生活保護ですか?生活保護でも介護サービスは利用できるんですか?

もちろんです!生活保護になった場合、介護保険料や介護サービス費は生活保護費の中から支払われます。なので、自己負担はありません。

生活保護を受給するためにはいくつもの条件がありますので、簡単に決断できるものではないかもしれませんが、介護のお金がない場合には、一度検討してみてください。

  • 介護のお金がないときは、費用の軽減制度を活用して
  • 公的施設なら所得に応じて利用料が安くなる
  • どうしても介護のお金がないときは生活保護の検討を

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