毎日の生活を安心して過ごすため、自立している元気なうちから老人ホームに入ろうと考える人もいるでしょう。老人ホームを探しているときに「自立型老人ホーム」の名前を見かけることもあるかもしれません。
「自立型老人ホーム」という名前の施設はありませんが、自立している人でも入れる施設はあります。例えば、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などです。
この記事では、自立している人も入れる施設の種類を紹介します。また、自立している人が老人ホームに入るメリットや注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「自立型老人ホーム」という老人ホームは存在しません。しかし、要介護認定を受けておらず、自立している人でも入れる施設はあります。特に民間企業が運営する民間施設は入居条件がさまざまなので、自立している人を受け入れている場合も多いです。
自立している人も入れる施設は、主に以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
民間施設で代表的な介護施設に有料老人ホームがあります。有料老人ホームは主に民間企業が運営していることもあり、入居条件は施設により異なります。
自立している人から介護が必要な人まで幅広く受け入れている施設もあり、幅広い選択肢の中から自分に合った施設を選べます。
有料老人ホームは以下の3種類です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
健康型有料老人ホームは、身体介護の必要のない人が生活する施設。浴室やキッチンといった居室設備が備わっており自立した生活が可能です。
食事提供など生活面のサービスはありますが、介護サービスの提供はなく、介護が必要になった場合には退去しなければなりません。
健康型有料老人ホームはとても数が少ないので、入居先を探す際には注意が必要です。全国の有料老人ホームのうち、健康型有料老人ホームが占める割合はわずか0.2%しかありません。
出典:「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」(公益社団法人全国有料老人ホーム協会)
健康型有料老人ホームは、「入居一時金がほかの有料老人ホームと比較して高額である」「入居中に要介護状態になった場合には退去しなければならない」という点により、入居希望者はそれほど多くはありません。そのため、健康型有料老人ホームの数が少ないのです。
住宅型有料老人ホームは、主に自立・要支援もしくは要介護が低い高齢者向けの施設です。
住宅型有料老人ホームでは、スタッフによる食事や掃除などの生活支援、緊急時の対応といったサービスが受けられます。しかし、施設から介護サービスの提供はありません。
介護が必要な場合は、外部の介護サービス事業者(訪問介護、デイサービスなど)と契約する必要があります。
住宅型有料老人ホームは介護ケアに対応していないので、将来、手厚い介護や医療ケアが必要になった際に、退去しなければいけない可能性があります。
介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などを施設のスタッフにより提供します。
また、看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。
介護付き有料老人ホームは、主に介護が必要な人向けの施設ですが、施設によっては自立している人も入居できます。
自立している人が入居する場合には、月額利用料以外に生活サポート費として別途料金がかかる場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは、基本的に介護を必要としない自立している高齢者が住まう施設。バリアフリーの設備が整っており、安否確認、生活相談などのサービスを提供しています。
また、サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があります。
一般型サ高住は比較的元気な自立している向けの施設。介護型サ高住は主に介護が必要な人向けの施設ですが、施設によっては自立している人も入居できます。
ケアハウスは、老人福祉法で定められた軽費老人ホームの一種です。軽費老人ホームとは、一人での生活が不安で身寄りがない60歳以上の高齢者が入居できる施設のことです。
ケアハウスには「一般型」と「介護型」があり、その両方で食事サービスの提供があります。一般型ケアハウスは施設からの介護サービスの提供がなく、介護型ケアハウスは施設に介護サービスが付帯しています。
自立している人が入れるのは一般型ケアハウスです。介護型ケアハウスには要介護1以上が必要になります。
介護施設ではありませんが、シニア向け分譲マンションという高齢者向けのマンションがあります。シニア向け分譲マンションとは、高齢者が暮らしやすいように設計された分譲マンションのことです。
シニア向け分譲マンションは、原則、日常生活を問題なく営める健康な高齢者が入居対象です。マンションにはシアタールームやカラオケといったアミューズメント施設やイベントが充実しています。
シニア向け分譲マンションでは、バリアフリーの設備が整っており、防犯や見守り、コンシェルジュサービスなどさまざまなサービスが受けられます。しかし、シニア向け分譲マンションは介護施設ではないので、介護サービスの提供はありません。
自立している人が老人ホームに入るといくつかのメリットがあります。主には以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
自立している人が老人ホームに入るメリットのひとつは、「普段の生活を安心して送れるようになる」という点です。
健康や体力に自信があっても加齢とともに身体の機能は低下します。今までは簡単にできていたことも難しくなり、生活に不都合が出てくる可能性もあります。
その点、老人ホームに入居すると生活面でのさまざまなサービスを活用できるのは大きなメリット。また、万が一のときにもすぐに助けてもらえるので、安心して毎日を過ごせるでしょう。
施設によっては食事のサービスもあるので、自分で食事を用意しなくて良い点も老人ホームに入るメリットのひとつです。
例えば有料老人ホームでは、基本的には1日3回の食事とおやつが提供されます。入居者に必要な栄養バランスが考慮されているだけでなく、一人ひとりの飲み込む力や適切な塩分摂取量に応じた食事を作ってくれるので、食事に気を配る必要がある人でも安心です。
一方、サ高住では食事の提供が義務つけられていないので、食事提供の有無は施設によりさまざまです。
食事の提供があるサ高住では、希望者のみ食事が提供される体制が多く、「朝は自分でパンを買ってきて食べる」「昼は外食して夜ごはんだけ施設で食べる」など、ライフスタイルに合わせて注文できます。
しかし、食事の提供がない施設もあるので、入居する際には食事について確認しましょう。
老人ホームでは、レクリエーションやイベント、趣味のクラブ活動などを積極的におこなっている施設も多く、ほかの入居者と交流を深められます。
また、最近の老人ホームでは、ジムのようなトレーニング用の部屋やカラオケが併設されていたり、園芸、囲碁、将棋、麻雀などが充実していることもあります。入居者と友人になれば、話し相手に困ったり、寂しい思いもしないでしょう。
自立している人が老人ホームに入る際の注意点があります。主に以下です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
自立している人が入れる施設はとても少ないので、探すときには注意が必要です。例えば、有料老人ホームは全国に約8500件ありますが、全国有料老人ホーム協会の調査によると自立している人向けの健康型有料老人ホームは全国の有料老人ホームの中で16件しかありません。
なぜなら、現在、日本では⾼齢化が進み、要介護者が増加している傾向にあるから。そのため、入居の必要性が高い要介護者向けの施設が優先的に作られているのです。
入居を希望する施設が満室の場合には、空きが出るまで入居を待つことになります。施設入居の順番待ちをしている間に要介護度が上がり、入居を希望していた施設に入れなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
食事を提供している施設に入居した場合、その食事が口に合わないこともあるかもしれません。
「施設が食事を提供する」といっても、提供の仕方は施設によってさまざまです。調理師が栄養バランスを考え、毎日手作りする施設もありますが、人件費や材料費を抑えるために、電子レンジや湯煎で温めただけのレトルト食品を提供する施設もあります。特にレトルトなどの食事は、普段食べ慣れていない人にとっては口に合わない可能性も高いです。
入居前に事前見学や体験入居をすれば、その際に施設で食事もできます。事前見学や体験入居を積極的に利用して、食事が自分の口に合うか試してみましょう。
将来を見据え、自立している間に介護体制が整っている施設に入り、「最期までその施設で過ごそう」と考える人もいるでしょう。
良い選択ではあるのですが、そうした介護サービスが手厚い施設は介護が必要な人を多く受け入れているため、要介護の高い人や認知症の人と同じフロアで生活する可能性があります。
自立している元気な人が要介護の高い人や認知症の人が多くいる施設に入居した場合、以下のようなことが起こる可能性があります。
また、認知症の人から突然大きな声で怒鳴られたり暴力をふるわれたりした場合、「病気が原因だから仕方ない」と被害者側が簡単に割り切れないこともあります。
まずは、今の身体状況に合わせて自立している人向けの施設に入居し、介護が必要になったら介護が手厚い施設に引っ越すという手段もあります。自分にはどちらが合っているのか、事前見学などを通して入居後の生活をイメージし、入居先を決めましょう。
自立している人向けの施設に入居した場合、入居後に年齢や病気などによって要介護度が上がったとき、住み続けるのが難しくなる可能性があります。
例えば、住宅型有料老人ホームや一般型サ高住、一般型ケアハウスでは施設に介護体制が整っておらず、介護サービスを受けたい人は外部の介護事業者を利用することになります。入居者の要介護度が高くなり手厚い介護が必要になると、入居中の施設では対応できなくなり、退去を促される場合があります。
また、年齢が上がると認知症を発症する可能性もあります。自立している人向けの施設ではスタッフがいない時間帯もあるので、認知症の人へのサポートは難しいです。
介護が必要になってから探すと時間がかかってしまうため、入居前に介護が必要になったときの転居先の候補も、一緒に見つけておくことがおすすめです。
老人ホームを探す際には、紹介サイトを利用するのがおすすめです。紹介サイトにはさまざまな施設の情報が提供されているので、入居希望者の状態に合った施設を探せます。
また、紹介サイトの相談員に相談すると、いくつかの希望に合った施設を紹介してくれることもあります。自分一人で施設を探すよりも、入居希望者に合った施設を効率的に見つけられます。
とくに「いい介護」には、「お客様の相談を受けて10年以上」というベテラン相談員が多数在籍しています。老人ホームをお探しの際にはぜひご相談ください。
「自立型老人ホーム」という老人ホームは存在しません。しかし、要介護度がなく自立している人でも入れる施設はあります。例えば、「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「ケアハウス」「シニア向け分譲マンション」などです。
自立している人が老人ホームに入ると「生活面のサービスを利用して安心して生活できる」「食事を提供している施設なら食事を自分で用意しなくて良い」「ほかの入居者と交流ができる」というメリットがあります。
自立している人が老人ホームに入る際には「施設の数が少ない」「施設の食事が口に合わない場合がある」「要介護度が高い人や認知症の人と一緒に生活をする可能性がある」「要介護度が上がると退去の可能性がある」などの点に注意しましょう。
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