新たな研究で、東日本大震災による原発事故での、福島県で起きた一連の災害の後に、糖尿病、高血圧、脂質異常症、精神疾患を患っている人の割合(有病率)が上昇したことがわかりました。
この研究は大阪大学感染症総合教育研究拠点によっておこなわれ、研究結果は「International Journal of Disaster Risk Reduction」という医学誌に掲載されています。
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研究グループは、2009~2020年の全国のデータを解析し、福島県で起きた一連の災害前後での糖尿病、高血圧、脂質異常症、精神疾患の有病率の変化を調べました。
その結果、一連の災害が起きてから9年間にわたり、福島県全域で糖尿病、高血圧、脂質異常症の有病率が上昇したことが判明。さらに、震災の被害が特に大きかった「浜通り地域」と呼ばれる福島県東部では、以上の疾患に加えて精神疾患を患った人の割合が上昇したことも明らかになったのです。
この研究結果から、研究グループは「災害後に起こる二次的な健康被害の影響も考慮に入れる必要がある」と指摘しました。
災害時、食事に制限のある人が多い高齢者は、高血圧や糖尿病の悪化などに特に注意が必要です。
さらに避難所は空調設備が整っていないことも多く、高齢者は特に身体の冷えを感じる人も多いかもしれません。また環境の急激な変化で睡眠不足やストレスが生じることも考えられます。
そうした寒さや睡眠不足、ストレスなどに長時間さらされると、血圧が高い状態が続いてしまうリスクがあります。
厚生労働省所轄の医薬基盤・健康・栄養研究所によると、寒さで血圧が上がっている場合には、下半身を中心に身体を温めると効果的だそうです。
さらに避難所では、糖尿病対策も重要です。被災地に送られる食品は、手軽にエネルギーが補給できるごはんやパンなど、炭水化物が多い傾向にあります。しかし炭水化物は、血糖値の急上昇を招くリスクがあるため、血糖値が気になる人は食べ方を工夫すると良いでしょう。
同研究所によると、肉や魚の缶詰などタンパク質が多い食品や野菜など、食物繊維の多い食品から食べることで血糖値の上昇が緩やかになるそうです。
今回の研究で、災害時のストレスが生活習慣病の発症リスクを高める可能性があることがわかりました。持病のある人は、災害時の健康リスクについても把握しておくことが大切ですね。
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