新たな研究で、梅の果汁を煮詰めて作る梅肉エキスが、高血圧や心臓肥大を防ぐ可能性がマウスを使った実験で示されました。
この研究は大阪河崎リハビリテーション大学やアメリカのテンプル大学などの研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「Hypertension Research」という日本高血圧学会の学術誌に掲載されています。
研究グループは、血圧を上昇させて高血圧や動脈硬化を引き起こしやすくなるホルモン「アンジオテンシンⅡ」をマウスに投与。そのマウスの一方には通常の水を、もう一方には梅の果汁を煮詰めて作る「梅肉エキス」を加えた水で飼育し、それぞれ比較しました。
2週間にわたって飼育したマウスの大動脈を採取し観察したところ、梅肉エキス入りの水で飼育されたマウスは血圧が正常値に保たれ、血管の炎症や心臓肥大も起こっていなかったことが判明。一方、通常の水で飼育されていたマウスには、血圧の上昇や血管の炎症などが確認されました。
以上のように、梅肉エキスを摂取することで高血圧などを抑制できる可能性が今回の研究で示されたのです。なお、梅肉エキスのどの成分が有効かについては、さらなる研究が必要だとしています。
2023年6月13日、研究グループは和歌山市内で、今回の研究に関する記者会見を開きました。
テンプル大学の江口暁氏は「梅の知名度そのものが海外ではそれほど高くない。研究はアメリカでも発表しているため、今回の研究を皮切りに梅の関心が高まれば世界中に売れるだろう」と話しました。
また、国内での梅の消費が落ち込んでいる現状を受けて、大阪河崎リハビリテーション大学に所属する宇都宮洋才氏は「梅が売れなくなって困っているという話をよく聞く。これを機に梅の良さを再認識してもらって、少しでも消費につながればうれしい」と述べました。
梅には疲労回復や食欲増進、免疫力アップなどさまざまな健康効果があると言われています。日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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