以前の記事で、「バスの来ないバス停」についてお伝えしました。今回、別の場所でも同じような取り組みがおこなわれていたので、紹介します。
長野県大町市にあるNPO法人「なかまと」が運営する、認知症対応型グループホームの前には、手作りの「バスの来ないバス停」が設置されています。
家に帰ろうと思った認知症の人が、行方不明になるのを防ぐために考案したそうです。
グループホームの前に設置された、「バスの来ないバス停」は、高さが1mほどの小さなモニュメント。バケツのふたやガーデニング用の柵、まな板を組み合わせて、まるで本物のバス停のように作られています。
また、バス停の横にはベンチも設置。ここに座って、来ないバスを待つ仕組みになっているそうです。
この「バスの来ないバス停」は、NPO法人「なかまと」の理事長である井澤泉氏が、国内外の事例を参考にして考案。2022年の夏頃に手作りしたと言います。
井澤氏は「入居者がほっとした気持ちになれるスポットを作りたかった」と話しています。
認知症を患っている人にみられやすい症状のひとつに「帰宅願望」という症状があります。
認知症によって記憶や場所、時間などの感覚や判断力などが侵されることで、「自分がなぜこの場所にいるのか」「ここはどこなのか」「目の前に立っている人物はだれなのか」などがわからなくなってしまうことがあります。
自分が今いる場所や周りの人などがわからなくなることで不安を覚え、安心感を求めて「家に帰りたい」と望むようになるのが、「帰宅願望」という症状です。
特に、仕事や学校から帰宅する時間帯に近い夕方頃に、帰宅願望は強くなりやすいと言われています。
帰宅願望のある認知症の入居者に「家には帰れない」などと否定すると、本人が混乱してしまうおそれがあります。施設の目の前に「バスの来ないバス停」があれば、症状が収まるまで穏やかな時間を過ごせそうですね。
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