そもそも、「レカネマブ」とはどのような医薬品なのでしょうか?
レカネマブは、日本の大手医薬品メーカーであるエーザイとアメリカの医薬品メーカーであるバイオジェンが共同で開発した医薬品。アルツハイマー型認知症の要因とされる、「アミロイドベータ」と呼ばれる特殊なたんぱく質を除去する効果があるとされています。
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドベータが蓄積し、健康な神経細胞が破壊されて脳萎縮が起こると言われていて、今回承認が了承されたレカネマブは、それを防ぐ効果が期待されているのです。
また、日本やアメリカでおこなわれた大規模研究によると、軽度の認知症の進行を27%程度遅らせることに成功したという報告がなされています。
ただ、すでに承認されたアメリカのレカネマブの薬価は約390万円と非常に高価。そのうえ、レビー小体型認知症や血管性の認知症などアルツハイマー型以外のタイプには使用できず、アルツハイマー型認知症であっても早期の患者にしか投与できないという制約もあります。
2023年8月21日に開かれた医薬品第一部会にて、専門家グループは国内におけるレカネマブの使用を了承。これを受けて、厚生労働省大臣が近日中に正式に承認する流れとなります。
仮に大臣が8月中に承認した場合、実際に日本の医療現場で使えるようになるのは早くても10月頃になる見込みです。
レカネマブを使用するには、脳内のアミロイドベータの蓄積具合を確認するために、脳せき髄液を採取する髄液検査や陽電子放射断層撮影(PET)といった高度な検査が必要。しかし、髄液検査は身体に負担がかかり、PETができる施設は全国に約60ヵ所ほどと多くありません。
以上のような課題があるものの、認知症の原因物質に直接作用する効果は魅力的で、今後の認知症治療を大きく変える可能性も秘めています。これからの動向にも注目ですね。
参考:「新規の抗認知症薬レカネマブについて」(可知記念病院)
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