年を取ってからホームレス⁉3割の業者が仲介にしりごみする理由
更新日
2022/01/27
高齢化が進んでいることに伴って、
単身高齢者の”住宅難民”が増えています。新たに賃貸契約をしたくても、高齢であることを理由に不動産業者に断られてしまうのです。
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の調査では、
高齢者世帯への賃貸斡旋をおこなっていない業者や斡旋に消極的な業者は30%を超える結果に。入居後に孤独死したり
認知症になった場合の対応を懸念し、高齢者への仲介を避けているようです。
こういった課題を解決するために、国土交通省は「<大家さんのための>単身入居者の受入れガイド」を公開。具体的な対策を提案しています。
ほとんどの業者が仲介したがらない
高齢化が進む一方で、高齢者への物件仲介を断る不動産業者も少なくありません。
全宅連の調査によると、高齢者世帯への賃貸斡旋を行っていない業者は約25%、消極的な業者は11.5%という結果。加えて50%以上が「高齢者の状況によって斡旋するかどうかを判断している」とのことで、積極的に斡旋している業者は8%程度に留まりました。
加えて不動産オーナー側も、高齢者に物件を貸すことに積極的ではない様子。
孤独死や認知症のリスクを恐れているようです。
2021年の10月に、「自然死や不慮の死の場合は、次の入居者に告知する必要はない」というガイドラインが発表されました。とはいえ、亡くなって長期間に渡って発見されなかった場合には清掃が必要だったりと、現状復帰に時間がかかります。
また、入居後に認知症になってしまった場合、
ゴミの不始末による近隣トラブルや、ガスの消し忘れによる火災などの恐れもあります。認知機能が落ちて、賃料が払えなくなることも考えられます。
高齢化で借り手不足が起こる?
高齢になれば死や認知症のリスクが高まるので、仲介業者や不動産オーナーが高齢者に貸したがらないのは当然と言えば当然なのかもしれません。
だからといって、このまま高齢者を避け続けるのは、高齢者だけでなく貸主側にもデメリットになります。というのも、今後、高齢者の数は増える一方だから。
国土交通省によれば、単身高齢者世帯は、2030年に800万世帯まで増加。内閣府の発表によれば2017年は約630万世帯だったので、1.3倍になる見込みです。
そうなると、借り手も単身高齢者が増えることになります。そのため、このまま
高齢者を門前払いしていては、借り手が見つからずに空室が続くことになるでしょう。
それを受けて、貸し手のさまざまな不安を解消するために「<大家さんのための>単身入居者の受入れガイド」を国土交通省が公開。契約前の確認事項や、亡くなった際の相続人への対応方法、活用できる公的制度などを記載しています。
貸し手の不安を解消して、他の借り手と同様に住宅を貸せるようにすれば、
借り手・貸し手双方の利益になるのではないでしょうか。
この記事の執筆者
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