AIが要介護リスクを予測!医療ビッグデータを活用した国内初の取り組み
更新日
2022/01/27
神戸市が管理している「ヘルスケアデータ連携システム」の情報を活用して、市民の要介護リスクを予測する研究をおこなっていることを神戸大学が発表しました。
神戸大学によると、
神戸市民の約38万人分のデータをAI(人工知能)に読み込ませて、要介護状態になる原因を予測するとのことです。
この研究データを使って、今後、神戸市の「データヘルス政策」に貢献したいとしています。
AIが介護リスクを予測する
神戸市民の健康情報データを活用して、AIによって要介護の予測をするシステムを開発していることを、神戸大学らの研究グループが発表しました。
このデータの対象となるのは、65歳以上の約38万人。医療や介護、健診などのデータを個人ごとにまとめたものを、匿名にして神戸市が提供します。これほどの大規模なデータでの取り組みは、国内初とのことです。
このデータを、日立製作所の独自技術で作られたAIが解析。年齢や性別、血液情報、病状といった膨大な情報をAIに取り込むことで、
一人ひとりの要介護リスクを予測し、その根拠もAIが提示できるようになるそうです。
ちなみに、このAIが今回のシステム開発の要とのこと。これまでのAIでは、予測結果の原因となる事柄を抽出することが難しいとされていました。そのため、AIが解析した結果の理由を人が理解できないため、命やお金といった重要な事項の意思決定には、AIの活用ができないという課題がありました。
しかし、このAIは人に理由を説明できるので、今回の研究も含めてさまざまな場面での活用が期待されています。
また、この研究が成功すれば、厚生労働省が推進している「データヘルス政策」の躍進にもつながると考えられています。データヘルス政策とは、健診やレセプトデータなどを分析することで住民の健康増進を図る政策のこと。今回の研究も、
要介護になることをAIで事前に予測し原因を理解することで、介護予防に活用できると考えられます。
要介護の原因を教えてくれるAI
この「AIでの要介護予測」が実現できれば、要介護状態になる前の段階で自分で対策を打てることがあるはずです。
しかも、このAIは原因も教えてくれるので、
自分の状況に応じた予防策を立てられるようになるでしょう。詳細は明かされていませんが、足腰が弱って歩けなくなるのか、何かの病気になるのか、など自分が要介護状態になる具体的な原因を提示してくれるかもしれません。
そうしたら、「食事を変えよう」「運動量を増やそう」「この病気のリスクが高いから気を付けよう」など、普段の生活から要介護予防ができるかもしれませんよね。
もしかしたら近い将来、AIに健康相談をする日が来るのかもしれませんね。
この記事の執筆者
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