認知症などによって判断能力が低下した人の代わりに、後見人が財産の管理や介護サービスの契約などをおこなえるようにする「成年後見制度」。年々利用する人は増えていますが、認知症患者の増加率に比べると伸び悩んでいるのが現状です。
そこで政府は成年後見制度の利用を促進するために、新たに「利用促進基本計画」を策定。今月25日に閣議決定されました。
この計画によって、制度のわかりにくい点や後見人が終身契約である点など「使いにくい」とされてきた部分が見直されるそうです。
今月25日、政府は成年後見制度の利用促進基本計画を閣議決定しました。
これは来年度から5年間の制度利用促進に関するもの。2016年から5年間の利用促進基本計画が今年度で終了することを受けて策定されました。
成年後見制度は、認知症や精神障害などの理由で判断能力が不十分とされる人が、財産の管理や介護サービスなどの契約をするときの代わりに後見人を立てる制度。親族が後見人になることもあれば、弁護士や司法書士などの士業に依頼することもあります。
新たな基本計画では、都道府県に対してオンラインによる相談の協力を弁護士会などに呼びかけるように要請することを検討します。
これまでも、市区町村が弁護士や司法書士などと連携して住民からの相談窓口を充実させることを求めてきましたが、地方の弁護士がいない過疎地域などでは実現が難しく、整備が進んでいない実情があったためです。
また、成年後見制度の利用者の判断能力に合わせて3段階に分かれている点も変更を検討するそう。3段階に分かれていることが制度のわかりにくさにつながっているとして、一元化することも考えています。
加えて、これまで後見人が不要になったり後見人がふさわしくないために利用を停止したい場合でも、利用中断はできませんでした。そのため、更新型の有期契約に変更することで、利用者が必要とする援助に柔軟に合わせて後見人を交代できるようにすることも検討されるそうです。
成年後見制度の開始から20年以上。利用者は徐々に増えてはいますが、増加率が高くならないのが現実です。
成年後見の利用者は、2021年末時点で約24万人。認知症の人が約630万人とされているので、利用率は3.8%にとどまっていることになります。
この理由として考えられているのが、制度の「わかりにくさ」と「使い勝手の悪さ」。そのため、今回の基本計画で制度が改正されることによって、利用者の増加が期待されています。
「年を重ねると判断力が落ちる」という不安は誰しもが持つもの。成年後見制度はそういったときにサポートしてくれる制度なので、もう少し利用しやすくなってほしいですよね。
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