「デイサービス」というと、どんな介護サービスを受けられるイメージがあるでしょうか。
食事や入浴といった身の回りの介助を受けたり、歌や体操、簡単な脳トレクイズをするイメージを持っている人もいるかもしれません。
そんなイメージを覆すデイサービスが群馬県前橋市にあります。
その名も「こぐれ学園」。黒板を学習机で囲む様子は学校そのもので、『古事記』『源氏物語』の原文を読むという大学レベルの講義をおこないます。
こうした授業を受ける利用者の約7割は認知症の人で、この学園に通うことで認知症の症状が軽くなったという人もいるそうです。
前橋市にある「こぐれ学園」は、学校形式のデイサービスです。
このデイサービスの特徴は、本格的な授業を受けられること。源氏物語や古事記といった古典を原文で学んだり、音楽や美術といった実技科目を学ぶこともあります。
このデイサービスで授業をしているのは、地域に暮らしている専門家。大学の名誉教授など各分野の深い知識を持った人材が講師を務めているそうです。
この授業は1コマ60分。認知症の人は集中力が続かないと一般的には言われていますが、この学園では、多くの利用者が60分間集中して授業を受けているとのことです。
というのも、建物を学校の教室のようにすることで、かつて学校に通っていたことを思い出し、脳が活性化するため。認知症の人はついさっきのことは忘れてしまうことが多いですが昔のことはしっかり覚えているため、「学校」という空間がかつての記憶を刺激して脳が活性化して集中できるようになると考えられています。
このように授業を受けることで脳が刺激を与えることで、認知症の症状が緩和されたケースもあるそうです。
例えば、認知症になってから10年間笑顔を見せたことのなかった男性が、デイサービスから帰ったときに笑顔で「ただいま」と家族に言えるようになったり、重度の認知症で歯ブラシの使い方がわからなかったのに、このデイサービスに通って自分で歯磨きをできるようになった人もいるそうです。
デイサービスで脳トレというと、小学生レベルの簡単な計算問題や漢字クイズといったイメージがありますが、このデイサービスでは大学レベルの本格的な授業をおこないます。
その授業をする講師のなかには、自身も認知症を抱えている人もいるとのこと。40年にわたって高校の数学教師をやっていたことからデイサービスでの数学講師を依頼したところ、認知症であることがまったくわからないほど堂々と授業をしているそうです。
このように、認知症になると何もできなくなると思ってしまいがちですが、かつて得意だったことや好きだったことの記憶を活用することで、認知症の人もいきいきと暮らせるということがこのデイサービスの取り組みからわかりますね。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。